2011年05月08日(日) 00時01分00秒
soulsearchinの投稿
▽八竹亭おやじさん、とんかつやに転身~不死鳥の如く頑固に復活(パート1)
テーマ:エッセイ>ブログ関連
▽ 八竹亭おやじさん、とんかつやに転身~不死鳥の如く頑固に復活(パート1)
【Another Story of Stubborn Kind Of Fellow: The Master Of Hatchiku-tei Became The Master Of Tong-katsu Restaurant (Part 1)】
突然閉店。
ツイッターでつぶやいたら、思いのほか反響があったので、「八竹亭」のおやじさんのことを書いてみる。
「ねえねえ、あの八竹亭、なくなっちゃったの? おやじさん、どうしたの?」昨年4月頃、神山町に住んでいた友人のタキオノに緊急電話をいれた。「八竹亭」とは、神山町で約30年ほど続いていたカウンターだけの定食屋だ。僕も四半世紀ほど、渋谷にいると、けっこう通っていた。定食屋というとうらぶれた雰囲気が漂うかもしれないが、意外とそうでもなく、出されるものはかなりしっかりしていた。
その八竹亭が、2010年3月に突然店をたたんでいたのだ。そして、その行方がわからなくなっていた八竹亭(看板には和風レストランと書かれていた)のおやじさんはどうしていたのだろうか。
八竹亭は、多くの人は「はっちくてい」と読む。ただ「はちく」と読む人も若干いるようだ。おやじさんは、江尻栄市さんという。八竹亭の薄汚れた壁に掛けられていた調理士免許か、営業許可書かなにかにフルネームが書かれていたが、誰もその名前は知らないで、みな「おやじさん」とか「八竹のおじさん」などと呼ぶ。
ちょうど昨年(2010年)の春過ぎ4月頃、渋谷でライヴを見た後、八竹亭に行こうと思ったら、なんと看板がはずされ、店自体がなくなっていた。休業ではなく、明らかに閉店していた様子。おやじさん一人でやっていた店だから、また、倒れたのかと思った。前回倒れて長期間休んでいたときは、おやじさんが交通事故にあって療養中のときだった。あのときは、看板はあったが、長い間いつ行っても休んでいて心配した。そして、事故のことはずいぶんあとから知った。閉店中も、なぜ閉店しているかなどの張り紙はなかったから、ファンはどうしたのだろうとみな思っていた。だが、今回は店自体がなくなっていたので、引退して店をたたんだのか、あるいは、最悪、おやじさんが亡くなったかとさえ思った。そこで、旧知のタキオノに電話をしたというわけだ。
それから2-3ヶ月後だろうか、「八竹亭」の前を通ると、まったく違うカフェみたいな居酒屋みたいなビストロができていた。(調べると2010年7月末にオープンのビストロで、下北にあった店が引越してきたという) 「ああ、八竹はほんとうになくなったんだなあ」とかなり寂しい思いをしたものだ。
30年くらい前からこの店の常連だったタキオノもその消息を知らないという。タキオノはかつて八竹亭の裏あたりに住んでいて、おやじさんとも顔なじみ。僕も彼に初めて連れていかれたような記憶がある。1986年ごろのことだ。あの頃、八竹亭はおやじさんのお母さん(とても背が小さかった)と、おやじさんの弟さんの3人でやっていた。やがて、お母さんが体調をくずしたかで、店にでてこなくなり、兄弟二人になった。
ところがこの兄弟、仲が悪く、客の前でも喧嘩を始めてしまうこともあり、一時期店の雰囲気が険悪になったこともあった。結局、弟さんはここを辞め、以後はおやじさん(兄)一人で切り盛りするようになった。
いろんなものがおいしかったが、僕は牛肉ピーマン炒め定食とか、魚のバター焼き定食とか、しょうが焼き定食とか、いろいろ食べた。その定食には味噌汁、ゴハン、サラダがついてくるのだが、そのサラダのドレッシングがめちゃくちゃ美味しくて、いつだったか「これ、ちょっと売ってくださいよ」と言ったら、何かのビンにいれて、くれたこともあった。しばし、うちでサラダを食べるときはこのドレッシングをかけて食べたものだった。言ってみれば、当たり前の普通の定食が、おいしかったということだった。
しかし、おやじさん、人見知りはする、あんまり愛想はない、気分屋ということもあって、客の中にも好き嫌いが別れていた。だが、親しくなると、やたら話しかけてくるおやじさんで、こんな話もあった。↓
2008年02月22日(金)
八竹亭のオヤジのホットライン
http://ameblo.jp/soulsearchin/entry-10074474059.html
テレビや雑誌の取材などもけっこうあったようだが、あの調子のおやじさんだった。
それにしても、辞めるなら、たとえば、いつで最後になります、とか、そういうアナウンスが事前にあってもいいと思うが、そんなものは何一つなかった。ま、それもおやじさんぽいと言えば、おやじさんぽい。だからほとんどの常連も、ある日突然店がなくなっていて驚いたはずだ。
衝撃復活。
さて、年が明けて、(2011年)4月の末。その友人タキオノから興奮して電話がかかってきた。「吉岡さん、あの八竹亭のおやじが、とんかつやにいるんだよ!」 「えええっ?? 何それ? とんかつや?」 意味がわからなかった。
彼がその日、近くでとんかつを食べたいと思って「食べログ」で調べたら1位とされる店があったので、とりあえず行ってみた。店名が「カフェ・マメヒコ」というので、怪訝(けげん)に思ったが、ものは試しと行ってみた。中に入ると、そこは落ち着いた木作りのカフェ。「いったいどこにとんかつが?」とさらに怪訝に思ったが、店の人が「お食事はこちらです」と奥に案内してくれた。
マメヒコ・カフェ、この奥にとんかつやがあるなどとは誰も想像だにしない
すると、カウンター10席だけの店が忽然(こつぜん)と姿を現した。そして、店の若い女の子にオーダーをしてから顔を上げ、カウンターの中の主人を見ると、どこかで見たことがある顔が。な、な、なんとあの八竹亭のおやじさんがいるではないか。目があって「おおおっ」となり、「なんでここにいるの?」とひとしきり、昔話に咲いた。そして、すぐに僕に電話をくれたのだ。
タキオノが電話をくれてから、2週間もしないうちに、僕もこのマメヒコにでかけた。住所・電話を聞いていたので、万一、気まぐれでやってないと困るので、一応念のために、訪問前に電話。すると、ちゃんとやっている。「とんかつは予約した方がいいか」と聞くと、「していただいたほうがいい」というので、予約したが、とんかつやで予約なんかしたことは、今まで一度もなかった。(笑)
さて、目的のビルに到着すると、瀟洒(しょうしゃ)な3階建てのビル。階段を上がり、ドアを開くと重厚な木造りのカフェが姿を現した。ほんとにカフェ、喫茶店なんだ。古めかしいオーディオ・スピーカーが鎮座し、ジャズを静かに流している。そして、お店の人に「あの~~、とんかつは?」と聞くと、「はい、こちらです」と奥に案内された。ちょうどその入口の上に、豚が珈琲を飲んでいるイラストが描かれていた。これは聞くところ、オウナーが描いた絵だという。そして、中に進むと、まさにとんかつや然とした白木のカウンターの店が目前に広がった。なんだ、このギャップ。(笑)
そして、最初、向こうはこっちに気づかなかったが、間違いなく、あのよく見かけた八竹亭のおやじさんが、なにやら仕事をしていた。お客さんは一組いたが、話をきくと、当分、予約は必要もなさそうだ。(笑) メニューを見ると、ひれ、ロース、串揚げそれにゴハン、味噌汁などのみ。ひれかつ定食を頼みながら、ちらちらと話を始めた。
まとめるとこういう話のようだ。去年3月頃、前の八竹亭の大家(おおや)と家賃のことでちょっともめ、「じゃあ、やめてやる」と勢いでやめてしまった、という。このあたりが、いかにもこのおやじさんらしい。気に入らない客だったら、客だろうが誰とでも喧嘩してしまうくらいだから。しかし、当時、店の上に住んでいたおやじさんは、住むところがなくなってしまった。
すると、4月のある日、おやじさんが渋谷にあるカフェ、「マメヒコ・パート2」の前でぼーと佇んでいたそうだ。これは、八竹亭と同じ通りにあるカフェだ。ここのオウナー社長も、八竹亭のファンで、長く通っていた。一体どうしたのか、と問うと、これこれしかじかだという。噂では、「行くところがなくなっちゃった」と言ったとか。そこで、とりあえず、社長は三軒茶屋に住まいを確保し、三茶にある「マメヒコ一号店」でスタッフのためにまかないを作ってもらうことにした。
だが、とはいうものの、腕のある職人をまかないだけで雇っておくことには、さすがに社長も抵抗があった。そこで、じゃあ何か店をやろうということになった。しかし、マメヒコはあくまでカフェだ。カフェプラス何か、という業態が浮かんだという。そしていろいろ知恵を絞った末、おやじさんにとんかつをやってもらおうということになった。
とんかつメニュー
店は瀟洒で重厚な木造り。これが立派なカフェ。壁面は北海道での切り木の余り木を使っている。一見レンガのように見えるその切り木をみんなで貼ったという。カフェという言葉が軽い、むしろ、昔ながらの美味しい珈琲を淹れる喫茶、珈琲専門店という感じだ。あの自由が丘のアンセーニュダングルのような感じだ。そして、その裏にまったく別の白木作りカウンターのとんかつやを作った。さらに、そのとんかつやとカフェの間になんと、パン工房を作り、トースト用パン、かつサンド用のパン、焼き菓子も自作するという。
こうして、世にも不思議な、表にカフェ、裏にとんかつや、そして間にパン工房付きという一店三役(Three In One)の店が2010年10月に始まった。おやじさんは、見事にとんかつ職人として蘇ったわけだ。
(この項、明日に続く)
カフエ・マメヒコ・パート3
東京都渋谷区宇田川町38-1 エランビタールフクシマビル3F
電話03-3780-0045
営業時間 喫茶11:00~23:00、とんかつ12:00~23:00
休み なし
クレジットカード可
とんかつは禁煙
行き方 JR「渋谷」駅より徒歩10分。渋谷西武A館、B館の間(井の頭通り)をまっすぐ進み、東急ハンズ前の「神南小学校下」交差点前フレッシュネスバーガーの細道を左に入り、最初の角を右折。ビルの3階。イタリアン・ボスキュートという店と同じビル。
【とんかつ】
ロースかつ定食1800円/ロースかつ単品 1250円
ヒレかつ定食 1800円/ヒレかつ単品 1250円
ごはん 300円、みそ汁 250円
台湾烏龍茶 300円、ビール 600円
持ち帰り用 ロースかつサンド …800円など
【喫茶】
深煎り珈琲 700円、浅煎り珈琲 700円
季節の珈琲 730円、カフェオレ 750円
ダージリン、アッサム、ウバ、アールグレー各700円
ロイヤルミルクティ 800円など
ジャムトースト 500円
小豆トースト 500円
カツサンド 850円
ESSAY>Hacchiku-tei, Mamehiko
【Another Story of Stubborn Kind Of Fellow: The Master Of Hatchiku-tei Became The Master Of Tong-katsu Restaurant (Part 1)】
突然閉店。
ツイッターでつぶやいたら、思いのほか反響があったので、「八竹亭」のおやじさんのことを書いてみる。
「ねえねえ、あの八竹亭、なくなっちゃったの? おやじさん、どうしたの?」昨年4月頃、神山町に住んでいた友人のタキオノに緊急電話をいれた。「八竹亭」とは、神山町で約30年ほど続いていたカウンターだけの定食屋だ。僕も四半世紀ほど、渋谷にいると、けっこう通っていた。定食屋というとうらぶれた雰囲気が漂うかもしれないが、意外とそうでもなく、出されるものはかなりしっかりしていた。
その八竹亭が、2010年3月に突然店をたたんでいたのだ。そして、その行方がわからなくなっていた八竹亭(看板には和風レストランと書かれていた)のおやじさんはどうしていたのだろうか。
八竹亭は、多くの人は「はっちくてい」と読む。ただ「はちく」と読む人も若干いるようだ。おやじさんは、江尻栄市さんという。八竹亭の薄汚れた壁に掛けられていた調理士免許か、営業許可書かなにかにフルネームが書かれていたが、誰もその名前は知らないで、みな「おやじさん」とか「八竹のおじさん」などと呼ぶ。
ちょうど昨年(2010年)の春過ぎ4月頃、渋谷でライヴを見た後、八竹亭に行こうと思ったら、なんと看板がはずされ、店自体がなくなっていた。休業ではなく、明らかに閉店していた様子。おやじさん一人でやっていた店だから、また、倒れたのかと思った。前回倒れて長期間休んでいたときは、おやじさんが交通事故にあって療養中のときだった。あのときは、看板はあったが、長い間いつ行っても休んでいて心配した。そして、事故のことはずいぶんあとから知った。閉店中も、なぜ閉店しているかなどの張り紙はなかったから、ファンはどうしたのだろうとみな思っていた。だが、今回は店自体がなくなっていたので、引退して店をたたんだのか、あるいは、最悪、おやじさんが亡くなったかとさえ思った。そこで、旧知のタキオノに電話をしたというわけだ。
それから2-3ヶ月後だろうか、「八竹亭」の前を通ると、まったく違うカフェみたいな居酒屋みたいなビストロができていた。(調べると2010年7月末にオープンのビストロで、下北にあった店が引越してきたという) 「ああ、八竹はほんとうになくなったんだなあ」とかなり寂しい思いをしたものだ。
30年くらい前からこの店の常連だったタキオノもその消息を知らないという。タキオノはかつて八竹亭の裏あたりに住んでいて、おやじさんとも顔なじみ。僕も彼に初めて連れていかれたような記憶がある。1986年ごろのことだ。あの頃、八竹亭はおやじさんのお母さん(とても背が小さかった)と、おやじさんの弟さんの3人でやっていた。やがて、お母さんが体調をくずしたかで、店にでてこなくなり、兄弟二人になった。
ところがこの兄弟、仲が悪く、客の前でも喧嘩を始めてしまうこともあり、一時期店の雰囲気が険悪になったこともあった。結局、弟さんはここを辞め、以後はおやじさん(兄)一人で切り盛りするようになった。
いろんなものがおいしかったが、僕は牛肉ピーマン炒め定食とか、魚のバター焼き定食とか、しょうが焼き定食とか、いろいろ食べた。その定食には味噌汁、ゴハン、サラダがついてくるのだが、そのサラダのドレッシングがめちゃくちゃ美味しくて、いつだったか「これ、ちょっと売ってくださいよ」と言ったら、何かのビンにいれて、くれたこともあった。しばし、うちでサラダを食べるときはこのドレッシングをかけて食べたものだった。言ってみれば、当たり前の普通の定食が、おいしかったということだった。
しかし、おやじさん、人見知りはする、あんまり愛想はない、気分屋ということもあって、客の中にも好き嫌いが別れていた。だが、親しくなると、やたら話しかけてくるおやじさんで、こんな話もあった。↓
2008年02月22日(金)
八竹亭のオヤジのホットライン
http://ameblo.jp/soulsearchin/entry-10074474059.html
テレビや雑誌の取材などもけっこうあったようだが、あの調子のおやじさんだった。
それにしても、辞めるなら、たとえば、いつで最後になります、とか、そういうアナウンスが事前にあってもいいと思うが、そんなものは何一つなかった。ま、それもおやじさんぽいと言えば、おやじさんぽい。だからほとんどの常連も、ある日突然店がなくなっていて驚いたはずだ。
衝撃復活。
さて、年が明けて、(2011年)4月の末。その友人タキオノから興奮して電話がかかってきた。「吉岡さん、あの八竹亭のおやじが、とんかつやにいるんだよ!」 「えええっ?? 何それ? とんかつや?」 意味がわからなかった。
彼がその日、近くでとんかつを食べたいと思って「食べログ」で調べたら1位とされる店があったので、とりあえず行ってみた。店名が「カフェ・マメヒコ」というので、怪訝(けげん)に思ったが、ものは試しと行ってみた。中に入ると、そこは落ち着いた木作りのカフェ。「いったいどこにとんかつが?」とさらに怪訝に思ったが、店の人が「お食事はこちらです」と奥に案内してくれた。
マメヒコ・カフェ、この奥にとんかつやがあるなどとは誰も想像だにしない
すると、カウンター10席だけの店が忽然(こつぜん)と姿を現した。そして、店の若い女の子にオーダーをしてから顔を上げ、カウンターの中の主人を見ると、どこかで見たことがある顔が。な、な、なんとあの八竹亭のおやじさんがいるではないか。目があって「おおおっ」となり、「なんでここにいるの?」とひとしきり、昔話に咲いた。そして、すぐに僕に電話をくれたのだ。
タキオノが電話をくれてから、2週間もしないうちに、僕もこのマメヒコにでかけた。住所・電話を聞いていたので、万一、気まぐれでやってないと困るので、一応念のために、訪問前に電話。すると、ちゃんとやっている。「とんかつは予約した方がいいか」と聞くと、「していただいたほうがいい」というので、予約したが、とんかつやで予約なんかしたことは、今まで一度もなかった。(笑)
さて、目的のビルに到着すると、瀟洒(しょうしゃ)な3階建てのビル。階段を上がり、ドアを開くと重厚な木造りのカフェが姿を現した。ほんとにカフェ、喫茶店なんだ。古めかしいオーディオ・スピーカーが鎮座し、ジャズを静かに流している。そして、お店の人に「あの~~、とんかつは?」と聞くと、「はい、こちらです」と奥に案内された。ちょうどその入口の上に、豚が珈琲を飲んでいるイラストが描かれていた。これは聞くところ、オウナーが描いた絵だという。そして、中に進むと、まさにとんかつや然とした白木のカウンターの店が目前に広がった。なんだ、このギャップ。(笑)
そして、最初、向こうはこっちに気づかなかったが、間違いなく、あのよく見かけた八竹亭のおやじさんが、なにやら仕事をしていた。お客さんは一組いたが、話をきくと、当分、予約は必要もなさそうだ。(笑) メニューを見ると、ひれ、ロース、串揚げそれにゴハン、味噌汁などのみ。ひれかつ定食を頼みながら、ちらちらと話を始めた。
まとめるとこういう話のようだ。去年3月頃、前の八竹亭の大家(おおや)と家賃のことでちょっともめ、「じゃあ、やめてやる」と勢いでやめてしまった、という。このあたりが、いかにもこのおやじさんらしい。気に入らない客だったら、客だろうが誰とでも喧嘩してしまうくらいだから。しかし、当時、店の上に住んでいたおやじさんは、住むところがなくなってしまった。
すると、4月のある日、おやじさんが渋谷にあるカフェ、「マメヒコ・パート2」の前でぼーと佇んでいたそうだ。これは、八竹亭と同じ通りにあるカフェだ。ここのオウナー社長も、八竹亭のファンで、長く通っていた。一体どうしたのか、と問うと、これこれしかじかだという。噂では、「行くところがなくなっちゃった」と言ったとか。そこで、とりあえず、社長は三軒茶屋に住まいを確保し、三茶にある「マメヒコ一号店」でスタッフのためにまかないを作ってもらうことにした。
だが、とはいうものの、腕のある職人をまかないだけで雇っておくことには、さすがに社長も抵抗があった。そこで、じゃあ何か店をやろうということになった。しかし、マメヒコはあくまでカフェだ。カフェプラス何か、という業態が浮かんだという。そしていろいろ知恵を絞った末、おやじさんにとんかつをやってもらおうということになった。
とんかつメニュー
店は瀟洒で重厚な木造り。これが立派なカフェ。壁面は北海道での切り木の余り木を使っている。一見レンガのように見えるその切り木をみんなで貼ったという。カフェという言葉が軽い、むしろ、昔ながらの美味しい珈琲を淹れる喫茶、珈琲専門店という感じだ。あの自由が丘のアンセーニュダングルのような感じだ。そして、その裏にまったく別の白木作りカウンターのとんかつやを作った。さらに、そのとんかつやとカフェの間になんと、パン工房を作り、トースト用パン、かつサンド用のパン、焼き菓子も自作するという。
こうして、世にも不思議な、表にカフェ、裏にとんかつや、そして間にパン工房付きという一店三役(Three In One)の店が2010年10月に始まった。おやじさんは、見事にとんかつ職人として蘇ったわけだ。
(この項、明日に続く)
カフエ・マメヒコ・パート3
東京都渋谷区宇田川町38-1 エランビタールフクシマビル3F
電話03-3780-0045
営業時間 喫茶11:00~23:00、とんかつ12:00~23:00
休み なし
クレジットカード可
とんかつは禁煙
行き方 JR「渋谷」駅より徒歩10分。渋谷西武A館、B館の間(井の頭通り)をまっすぐ進み、東急ハンズ前の「神南小学校下」交差点前フレッシュネスバーガーの細道を左に入り、最初の角を右折。ビルの3階。イタリアン・ボスキュートという店と同じビル。
【とんかつ】
ロースかつ定食1800円/ロースかつ単品 1250円
ヒレかつ定食 1800円/ヒレかつ単品 1250円
ごはん 300円、みそ汁 250円
台湾烏龍茶 300円、ビール 600円
持ち帰り用 ロースかつサンド …800円など
【喫茶】
深煎り珈琲 700円、浅煎り珈琲 700円
季節の珈琲 730円、カフェオレ 750円
ダージリン、アッサム、ウバ、アールグレー各700円
ロイヤルミルクティ 800円など
ジャムトースト 500円
小豆トースト 500円
カツサンド 850円
ESSAY>Hacchiku-tei, Mamehiko
1 ■私も
いまから15年くらい前によく八竹亭に行きました。当時一緒に行った連れがサングラスをしたまま食事をしていたら「行儀がなってない」と諭された記憶があります。フライものがとても美味しいお店で気にしていましたが、ここに復活…機会を作り伺いたいですね。情報有難うございました。