2011年05月02日(月) 00時01分00秒
soulsearchinの投稿
◎ 「マッピングの衝撃」(パート2)~AIライヴツアー
テーマ:ライヴ評・レポート
◎ 「マッピングの衝撃」(パート2)~AIライヴツアー
(昨日からの続き)
【Mapping : AI Tour, First In Japan】
衝撃。
まさに、このステージングは衝撃としかいいようがない。普通に壁というか垂れ幕だと思ったものが、動き、バウンスし、飛び、消えた。ただの壁と思っていたものが、映像を映し出すスクリーンだったのだ。壁が「動いた」とき、思わず観客から「おおおっ」と声が上がった。
そのスクリーンには続く2時間、様々な映像が映し出され、それが視覚効果をじつに多彩に醸し出す。しかも、ダンサーの動きと、ダンサーたちのシルエットがまるで同時に行われているかのような錯覚さえ起こる。
AIの事務所社長新井さんによると、「何年か前から知ってた。毎回、アルバムが出るたびに、それをサポートするツアーというスタイルも、それそろ変わってきてもいいんじゃないかと思い始めていた。そこで、CDはCD、ライヴはライヴという考え方で行こうと。そんなとき、これを使ってライヴをやってみたら、おもしろいのではないかと考えた」という。
このアイデアそのもの自体はイギリス人が考え出し、今回は香港のチームがオペレーションなどを一切仕切るはずで、準備を進めていた。素材となる映像撮影はロスで3月に。ダンサーたちと踊るシーンを撮影し、ステージでどう動かすか、詳細なマップを作り、シミュレーションを重ねた。
映像は、客席側から投影し、ステージの裏から映し出すものではない。基本的には21面あるスクリーンはちょっとした特殊加工したスクリーン素材だ。
スクリーンに映る映像のダンサーと、リアルなステージにいるダンサーが瞬時に入れ替わったり、瞬間移動したりする、そんな演出になる。今回、シルエットや、スクリーンは向こう側のライトをつけると透けて見えるので、スクリーン越しに見えるダンサーや、スクリーンが奥に凹んでいる場合、生のダンサーが直接見える。
すべての進行表をびっしり決めないといけないために、楽曲、セットリストも早めに決め、音を作り、素材となる映像を撮影し、動きを考えた。
そうした準備を進めている最中の3月11日に事件は起きた。AIやダンサーたちは、ロスでリハーサル、撮影などをしていたが、震災が起こり、香港のチームたちが来れなくなってしまった。そこで、一部を変更して、やらざるをえなくなった、という。
マッピングの言葉自体の意味は「個々の構成要素に対して、別の集合の要素を規則に従って機械的に対応付けたり割り当てたりすること」だという。この場合、21面のスクリーンにそれぞれの映像を別個に、あるいは、全面を使ってひとつの映像を作ったりする。
ひょっとして21台の映写機があるのかと思いきや、なんと2台の映写機でこれらの複雑な映像を映しているという。しかし、それこそ動きはミリ単位で調整しなければならないので、本当にリハーサルが大変だった、という。何度もパソコン上で動きを計算し、実際にステージでやってみて、あわせる作業を何度も行う。
客席から見て一番上の段の左から順に1番から7番、真ん中の段には8番から14番、下の段、ステージと同じ高さのボックスには15番から21番とそれぞれ番号がふられている。そして、ダンサーたちは、どの曲の何小節目で何番のボックスに登場、などと細かく決められている。
たとえば、オープニングでは、壁がすべて飛んだ後、AIは一番上段の3番に登場し、左の2番と右の4番を行き来する。2番と4番はスクリーン越しにAIを見ることになる。一方、2曲目では1-3-5-7-8-12番にダンサーが位置し、そこで踊りながら、AIは19番から登場といった具合だ。
ステージ上の3階建てステージ。上段では1番3番5番7番が凹んでいる。そこにダンサーたちが入り、踊る
また、バックを彩る映像もなかなかいい。「アフター・ザ・レイン」での虹の写真、「サマー・ブリーズ」での海の夕日、「ノーバディー・ライク・ユー」での各ボックスの地球儀や本棚に並べられた本のセットも素敵でかわいらしい。マンハッタンの夜景、夕日、森の木々、宇宙、モノクロのテレビ画面など、各映像がうまくバックをつける。
特に踊りとこれらの映像がシンクロしたときがたまらなくかっこいい。その圧巻は「フェイク」。3階建てアパートにダンサーのシルエットが映り、自由自在、神出鬼没にシルエットが動き、ある瞬間にステージにリアルなダンサーが現れる。
相当なリハーサルをつまないとこれらの動きはなかなかびしっと決まらないだろう。
こうした演出も、もちろんAIがきっちりと歌える歌唱力のある実力派だからこそ映えるもの。単なるギミックにならず、大掛かりな視覚効果と歌唱、ダンスが一体化しているところが素晴らしい。
マンハッタンの夜景から海辺の美しい夕日などを見ると、まるでAIが世界旅行をしているかのようにも思える。ちょうどマイケル・ジャクソンの「ブラック・オア・ホワイト」のプロモーション・ビデオで、マイケルのバックが世界各地を旅したように、これさえ使えば、簡単にAIを世界に連れて行ける。
この「マッピング」の可能性は、本当に無限大だ。映像も無限大なら、その組み合わせなども、無限大。何でもできるはず。いかようにも、進化できる。それにしても、ダンスものとのマッチングは完璧だ。ダンスとマッピングで、ステージは6メートルx14メートルのスクリーンを自由自在に描けるキャンバスに出来る。
たとえば、リアルタイムでパフォーマーたちをカメラで写し、それを後ろのスクリーンに映し出すことも可能だろう。
「マッピング」とは、スクリーンにいる映像と、リアルなアーティストたちが、自由自在にコラボレーションできる新ツールだ。これから多くのアーティストたちがこれを使うようになるだろう。まさに「マッピングの衝撃」だ。
ENT>MUSIC>LIVE>AI
ENT>MUSIC>Mapping
(昨日からの続き)
【Mapping : AI Tour, First In Japan】
衝撃。
まさに、このステージングは衝撃としかいいようがない。普通に壁というか垂れ幕だと思ったものが、動き、バウンスし、飛び、消えた。ただの壁と思っていたものが、映像を映し出すスクリーンだったのだ。壁が「動いた」とき、思わず観客から「おおおっ」と声が上がった。
そのスクリーンには続く2時間、様々な映像が映し出され、それが視覚効果をじつに多彩に醸し出す。しかも、ダンサーの動きと、ダンサーたちのシルエットがまるで同時に行われているかのような錯覚さえ起こる。
AIの事務所社長新井さんによると、「何年か前から知ってた。毎回、アルバムが出るたびに、それをサポートするツアーというスタイルも、それそろ変わってきてもいいんじゃないかと思い始めていた。そこで、CDはCD、ライヴはライヴという考え方で行こうと。そんなとき、これを使ってライヴをやってみたら、おもしろいのではないかと考えた」という。
このアイデアそのもの自体はイギリス人が考え出し、今回は香港のチームがオペレーションなどを一切仕切るはずで、準備を進めていた。素材となる映像撮影はロスで3月に。ダンサーたちと踊るシーンを撮影し、ステージでどう動かすか、詳細なマップを作り、シミュレーションを重ねた。
映像は、客席側から投影し、ステージの裏から映し出すものではない。基本的には21面あるスクリーンはちょっとした特殊加工したスクリーン素材だ。
スクリーンに映る映像のダンサーと、リアルなステージにいるダンサーが瞬時に入れ替わったり、瞬間移動したりする、そんな演出になる。今回、シルエットや、スクリーンは向こう側のライトをつけると透けて見えるので、スクリーン越しに見えるダンサーや、スクリーンが奥に凹んでいる場合、生のダンサーが直接見える。
すべての進行表をびっしり決めないといけないために、楽曲、セットリストも早めに決め、音を作り、素材となる映像を撮影し、動きを考えた。
そうした準備を進めている最中の3月11日に事件は起きた。AIやダンサーたちは、ロスでリハーサル、撮影などをしていたが、震災が起こり、香港のチームたちが来れなくなってしまった。そこで、一部を変更して、やらざるをえなくなった、という。
マッピングの言葉自体の意味は「個々の構成要素に対して、別の集合の要素を規則に従って機械的に対応付けたり割り当てたりすること」だという。この場合、21面のスクリーンにそれぞれの映像を別個に、あるいは、全面を使ってひとつの映像を作ったりする。
ひょっとして21台の映写機があるのかと思いきや、なんと2台の映写機でこれらの複雑な映像を映しているという。しかし、それこそ動きはミリ単位で調整しなければならないので、本当にリハーサルが大変だった、という。何度もパソコン上で動きを計算し、実際にステージでやってみて、あわせる作業を何度も行う。
客席から見て一番上の段の左から順に1番から7番、真ん中の段には8番から14番、下の段、ステージと同じ高さのボックスには15番から21番とそれぞれ番号がふられている。そして、ダンサーたちは、どの曲の何小節目で何番のボックスに登場、などと細かく決められている。
たとえば、オープニングでは、壁がすべて飛んだ後、AIは一番上段の3番に登場し、左の2番と右の4番を行き来する。2番と4番はスクリーン越しにAIを見ることになる。一方、2曲目では1-3-5-7-8-12番にダンサーが位置し、そこで踊りながら、AIは19番から登場といった具合だ。
ステージ上の3階建てステージ。上段では1番3番5番7番が凹んでいる。そこにダンサーたちが入り、踊る
また、バックを彩る映像もなかなかいい。「アフター・ザ・レイン」での虹の写真、「サマー・ブリーズ」での海の夕日、「ノーバディー・ライク・ユー」での各ボックスの地球儀や本棚に並べられた本のセットも素敵でかわいらしい。マンハッタンの夜景、夕日、森の木々、宇宙、モノクロのテレビ画面など、各映像がうまくバックをつける。
特に踊りとこれらの映像がシンクロしたときがたまらなくかっこいい。その圧巻は「フェイク」。3階建てアパートにダンサーのシルエットが映り、自由自在、神出鬼没にシルエットが動き、ある瞬間にステージにリアルなダンサーが現れる。
相当なリハーサルをつまないとこれらの動きはなかなかびしっと決まらないだろう。
こうした演出も、もちろんAIがきっちりと歌える歌唱力のある実力派だからこそ映えるもの。単なるギミックにならず、大掛かりな視覚効果と歌唱、ダンスが一体化しているところが素晴らしい。
マンハッタンの夜景から海辺の美しい夕日などを見ると、まるでAIが世界旅行をしているかのようにも思える。ちょうどマイケル・ジャクソンの「ブラック・オア・ホワイト」のプロモーション・ビデオで、マイケルのバックが世界各地を旅したように、これさえ使えば、簡単にAIを世界に連れて行ける。
この「マッピング」の可能性は、本当に無限大だ。映像も無限大なら、その組み合わせなども、無限大。何でもできるはず。いかようにも、進化できる。それにしても、ダンスものとのマッチングは完璧だ。ダンスとマッピングで、ステージは6メートルx14メートルのスクリーンを自由自在に描けるキャンバスに出来る。
たとえば、リアルタイムでパフォーマーたちをカメラで写し、それを後ろのスクリーンに映し出すことも可能だろう。
「マッピング」とは、スクリーンにいる映像と、リアルなアーティストたちが、自由自在にコラボレーションできる新ツールだ。これから多くのアーティストたちがこれを使うようになるだろう。まさに「マッピングの衝撃」だ。
ENT>MUSIC>LIVE>AI
ENT>MUSIC>Mapping