2011年03月03日(木) 00時01分00秒
soulsearchinの投稿
★△プラネットC(癌惑星)を歩いて ナイル・ロジャーズ著 第37回~39回
テーマ:Walking On Planet C
★△プラネットC(癌惑星)を歩いて ナイル・ロジャーズ著 第37回
【Walking on Planet C by Nile Rodgers 】
『プラネットC(癌惑星)を歩いて』 ナイル・ロジャーズ著 吉岡正晴訳
闘病記。
ナイル・ロジャーズの癌闘病記、「ウォーキング・オン・プラネットC~プラネットCを歩いて」、2011年2月21日分、写真・キャプション、訳注付き。
(このブログは、ナイル本人の了承を得て、日本語に翻訳し、写真なども同じものを掲載しています。第1回からhttp://ameblo.jp/soulsearchin/theme-10032211060.html のファイルにアーカイブが所蔵されています)
【Walking on Planet C by Nile Rodgers 】
第37回 事実は小説より奇なり
#37 Truth is Stranger Than Fiction
Written on Monday, 21 February 2011 05:00 by Nile Rodgers
(Japan Standard Time, 21 February 2011 19:00)
Translated by Yoshioka Masaharu, The Soul Searcher
http://nilerodgers.com/blog/planet-c-blog-roll/262-walking-on-planet-c-truth-is-stranger-than-fiction
左・事実は小説より奇なり。アムトラックで全米横断中に子供の頃の足跡をたどる 右・セント・ルーク病院救急入口
事実は小説より奇なり。僕の人生で起こった多くのことは、まさにそれだ。フィクション(小説・創作)と真実の違いと言えば、少なくとも前者では物語が理に叶っているということがある。一方事実はこうだ。何年も健康を維持するために努力を重ねたにもかかわらず、癌になったことは、僕にとっては、とても理に叶ったものとは言えない。
何年も昔、僕のロックンロール的なライフスタイルのために、何度も救急病院に運ばれた。実際何度も死を宣告された。だが、セント・ルークス・ルーズヴェルト病院の素晴らしいスタッフは、僕がまだ死んでないと信じてくれた。ここでその話を書くと長くなる。詳細は(秋にリリースされる)『ル・フリーク』(自伝)に譲るとして、そのとき、僕は感謝しきれないほど感謝した。だが、マニアックにドラッグと酒の日々に戻るのに数日もかからなかった。そうなってしまったのも、確かに理には叶ってないのだが、それが事実だった。
死にかけたところから辛うじて生き延び、それまで以上にレコードのプロデュースとパーティーに明け暮れるようになった。僕がてがけたのは、ストレイ・キャッツ、B52ズ、デュラン・デュラン、ダン・リード・ネットワーク、エディー・マーフィー、ダイアナ・ロス、エリック・クラプトン、デイヴィッド・リー・ロス、ウェット・ウェット・ウェット、ブライアン・フェリー、シーナ・イーストン、リック・オケイセック、そして無数のテレビCM、いくつかの映画音楽…。これらはほんの氷山の一角だ。
ダイアナ・ロス 「ウォーキン・オーヴァータイム」
デュラン・デュラン 「ノトーリアス」
今日、朝のウォーキングで、自分のプロデュース作品の全リストを持っていくことにした。そして、それぞれのプロジェクトから1曲ずつ歌い3マイル(4.8キロ)歩こうと思った。家に戻り扉を閉めるときに、最後の曲を終えられれば、このブログのエンディングにはなかなかいいではないか。だが、これは見果てぬ夢(絵空事=フィクション)に過ぎなかった。戻っても、半分も歌えなかったのだ。僕は癌の退治を半分でいいなどとは思っていない。完全に根治したいと強い決意を持っている。ちょっと不思議に思えるかもしれないが、これは僕の真実なのだ。
+++++
ナイル・ロジャーズ @nilerodgers ブログ
プラネットC、2月22日分。#38 Surprise
【Walking on Planet C by Nile Rodgers 】
第38回 驚きの連続
#38 Surprise 驚きの連続
Written on Tuesday, 22 February 2011 05:00 by Nile Rodgers
(Japan Standard Time, 22 February 2011 19:00)
Translated by Yoshioka Masaharu, The Soul Searcher
http://nilerodgers.com/blog/planet-c-blog-roll/263-walking-on-planet-c-surprise
今朝、新雪に足跡を残してみたかった
今朝、誰よりも先に新雪に自分の足跡をつけてみたかった。みな、ちょっとした雪だと言っていたが、起きてみると大雪だった。そう、この大雪はサプライズ(驚き)だ。
僕の人生にもサプライズは事欠かない。その中で最大のものは癌だ。癌が僕を襲ってきただけでなく、多くの友人もその犠牲になったことに驚くばかりだ。
ウォーキングを始め、いかに深い新雪を歩くことが難しいかに驚いた。心のDJがいつもどおり反応した。最初に頭にうかんだのは、エアロスミスの「ウォーク・ディス・ウェイ」だった。まったく恥ずかしがることなく、可能な限り大声で歌った。次にピーター・ゲイブリエルの「ウォーク・スルー・ザ・ファイアー」。映画『アゲインスト・オール・オッズ(邦題、カリブの熱い夜)』で彼とともにこの曲を作った。
驚いたことに、僕の心に「ファイアー(火)」という言葉がひらめいた。すぐに浮かんだのが、クレイジー・ワールド・オブ・アーサー・ブラウンの「ファイアー」、さらに、オハイオ・プレイヤーズの「ファイアー」、ダン・ハートマンの「リライト・マイ・ファイアー」、ドアーズ、ホセ・フェリシアーノの「ライト・マイ・ファイアー」だ。フェリシアーノのヴァージョンを最初から最後まで覚えていたのにも驚いた。かなりの長さだったが、歩いている間中、盛り上がった。残りのウォーキングの道すがらずっとこの曲を歌えたことに感謝している。
オハイオ・プレイヤーズ 「ファイアー」
エアロスミス 「ウォーク・ディス・ウエイ」
僕はまた、絶望のどん底に落ちたとき、自身で前立腺癌を公表するという明確な判断を下すことができ感謝している。これによって、孤独で屈辱的な戦いに、多くの友たちと手を組み堂々と逆襲することができるようになったのだ。これこそ新鮮なサプライズ(驚き)だった。
+++++
ナイル・ロジャーズ @nilerodgers ブログ
プラネットC、Japanese Version 2月23日分 #39 Flashback
【Walking on Planet C by Nile Rodgers 】
第39回 蘇る思い出
#39 Flashback
Written on Wednesday, 23 February 2011 05:00 by Nile Rodgers
(Japan Standard Time, 23 February 2011 19:00)
Translated by Yoshioka Masaharu, The Soul Searcher
http://nilerodgers.com/blog/planet-c-blog-roll/264-walking-on-planet-c-flashback
朝のニューズを見てあの地震のことが蘇った
ウォーキングに出る前、朝のニューズを見ていると、ニュージーランドを襲った破壊的な地震を伝えていた。癌に不意打ちされて以来、大惨事に対して無防備だったことを痛感させられている。CNNのジャーナリストが男性にインタヴューしていたが、彼は「地面がぶるぶると震えた(ground felt like jelly)」と言った。その言葉を聞いたとき、あのときのことがフラッシュバックした。
パラマウント映画メインゲート ロスアンジェルス地震で崩壊した道路
1994年、僕はパラマウント映画の『ビヴァリー・ヒルズ・コップ3』と『ブルー・チップス(邦題ハード・チェック)』の映画音楽制作のためにロスアンジェルスにいた。
1月17日の午前4時30分頃、地面がぶるぶると震え、ビルや道路が崩壊した。ノースリッジ地震(ロスアンジェルス地震)だった。ホテルのベッドから投げ出され、部屋中の家具が子供のおもちゃのように宙を飛んだ。
僕は目が悪く何も見えないので、その頃コンタクト(・レンズ)を使っていた。だが、地震が来てコンタクトを探せなかった。電気が落ち、完璧に真っ暗で何も見えず、取るものもとりあえず何か着る物を身につけた。
部屋を這ってかろうじてメガネをみつけ、廊下にでると、LLクールJに鉢合わせた。彼は消火器を持っていた。僕たちはミニバーがドアに倒れ、部屋から出られなくなっていた何人かを助けた。
左・LLクールJ 右・ジョルジオ・アルマーニのタキシードの僕
1階に下りると他の宿泊者も着の身着のままで、気持ち悪くなっている者もいた。だが、ユーモアといつしか芽生えた仲間意識によって、理性を保った。一人の女性が僕のところにやってきてこう言い放った。「これが、地震のときにびしっと決めてるプロデューサーよ!」 僕が真っ暗闇で手にしたのが、タキシードだったのだ。その場にいた全員が爆笑し、見知らぬ者同士がすぐに友達になった。夜通し余震の恐怖が続く中、みなお互いに助け合って過ごした。
僕はみなさんにこの現在進行形の挑戦への支援に対し感謝したい。僕が対戦する大きな相手は癌だが、僕たちは人生における日々の葛藤・苦闘をお互い助け合っている。
いつか、このことが思い出のひとつになればいい。
左・エディー・マーフィーの『ビヴァリー・ヒルズ・コップ3』、中・映画『ブルーチップス』ニック・ノルテ、シャキール・オニール主演、右・LLクールJ
Walking on Planet C>#37-39>Truth Is Stranger Than Fiction, Surprise, Flashback
【Walking on Planet C by Nile Rodgers 】
『プラネットC(癌惑星)を歩いて』 ナイル・ロジャーズ著 吉岡正晴訳
闘病記。
ナイル・ロジャーズの癌闘病記、「ウォーキング・オン・プラネットC~プラネットCを歩いて」、2011年2月21日分、写真・キャプション、訳注付き。
(このブログは、ナイル本人の了承を得て、日本語に翻訳し、写真なども同じものを掲載しています。第1回からhttp://ameblo.jp/soulsearchin/theme-10032211060.html のファイルにアーカイブが所蔵されています)
【Walking on Planet C by Nile Rodgers 】
第37回 事実は小説より奇なり
#37 Truth is Stranger Than Fiction
Written on Monday, 21 February 2011 05:00 by Nile Rodgers
(Japan Standard Time, 21 February 2011 19:00)
Translated by Yoshioka Masaharu, The Soul Searcher
http://nilerodgers.com/blog/planet-c-blog-roll/262-walking-on-planet-c-truth-is-stranger-than-fiction
左・事実は小説より奇なり。アムトラックで全米横断中に子供の頃の足跡をたどる 右・セント・ルーク病院救急入口
事実は小説より奇なり。僕の人生で起こった多くのことは、まさにそれだ。フィクション(小説・創作)と真実の違いと言えば、少なくとも前者では物語が理に叶っているということがある。一方事実はこうだ。何年も健康を維持するために努力を重ねたにもかかわらず、癌になったことは、僕にとっては、とても理に叶ったものとは言えない。
何年も昔、僕のロックンロール的なライフスタイルのために、何度も救急病院に運ばれた。実際何度も死を宣告された。だが、セント・ルークス・ルーズヴェルト病院の素晴らしいスタッフは、僕がまだ死んでないと信じてくれた。ここでその話を書くと長くなる。詳細は(秋にリリースされる)『ル・フリーク』(自伝)に譲るとして、そのとき、僕は感謝しきれないほど感謝した。だが、マニアックにドラッグと酒の日々に戻るのに数日もかからなかった。そうなってしまったのも、確かに理には叶ってないのだが、それが事実だった。
死にかけたところから辛うじて生き延び、それまで以上にレコードのプロデュースとパーティーに明け暮れるようになった。僕がてがけたのは、ストレイ・キャッツ、B52ズ、デュラン・デュラン、ダン・リード・ネットワーク、エディー・マーフィー、ダイアナ・ロス、エリック・クラプトン、デイヴィッド・リー・ロス、ウェット・ウェット・ウェット、ブライアン・フェリー、シーナ・イーストン、リック・オケイセック、そして無数のテレビCM、いくつかの映画音楽…。これらはほんの氷山の一角だ。
ダイアナ・ロス 「ウォーキン・オーヴァータイム」
デュラン・デュラン 「ノトーリアス」
今日、朝のウォーキングで、自分のプロデュース作品の全リストを持っていくことにした。そして、それぞれのプロジェクトから1曲ずつ歌い3マイル(4.8キロ)歩こうと思った。家に戻り扉を閉めるときに、最後の曲を終えられれば、このブログのエンディングにはなかなかいいではないか。だが、これは見果てぬ夢(絵空事=フィクション)に過ぎなかった。戻っても、半分も歌えなかったのだ。僕は癌の退治を半分でいいなどとは思っていない。完全に根治したいと強い決意を持っている。ちょっと不思議に思えるかもしれないが、これは僕の真実なのだ。
+++++
ナイル・ロジャーズ @nilerodgers ブログ
プラネットC、2月22日分。#38 Surprise
【Walking on Planet C by Nile Rodgers 】
第38回 驚きの連続
#38 Surprise 驚きの連続
Written on Tuesday, 22 February 2011 05:00 by Nile Rodgers
(Japan Standard Time, 22 February 2011 19:00)
Translated by Yoshioka Masaharu, The Soul Searcher
http://nilerodgers.com/blog/planet-c-blog-roll/263-walking-on-planet-c-surprise
今朝、新雪に足跡を残してみたかった
今朝、誰よりも先に新雪に自分の足跡をつけてみたかった。みな、ちょっとした雪だと言っていたが、起きてみると大雪だった。そう、この大雪はサプライズ(驚き)だ。
僕の人生にもサプライズは事欠かない。その中で最大のものは癌だ。癌が僕を襲ってきただけでなく、多くの友人もその犠牲になったことに驚くばかりだ。
ウォーキングを始め、いかに深い新雪を歩くことが難しいかに驚いた。心のDJがいつもどおり反応した。最初に頭にうかんだのは、エアロスミスの「ウォーク・ディス・ウェイ」だった。まったく恥ずかしがることなく、可能な限り大声で歌った。次にピーター・ゲイブリエルの「ウォーク・スルー・ザ・ファイアー」。映画『アゲインスト・オール・オッズ(邦題、カリブの熱い夜)』で彼とともにこの曲を作った。
驚いたことに、僕の心に「ファイアー(火)」という言葉がひらめいた。すぐに浮かんだのが、クレイジー・ワールド・オブ・アーサー・ブラウンの「ファイアー」、さらに、オハイオ・プレイヤーズの「ファイアー」、ダン・ハートマンの「リライト・マイ・ファイアー」、ドアーズ、ホセ・フェリシアーノの「ライト・マイ・ファイアー」だ。フェリシアーノのヴァージョンを最初から最後まで覚えていたのにも驚いた。かなりの長さだったが、歩いている間中、盛り上がった。残りのウォーキングの道すがらずっとこの曲を歌えたことに感謝している。
オハイオ・プレイヤーズ 「ファイアー」
エアロスミス 「ウォーク・ディス・ウエイ」
僕はまた、絶望のどん底に落ちたとき、自身で前立腺癌を公表するという明確な判断を下すことができ感謝している。これによって、孤独で屈辱的な戦いに、多くの友たちと手を組み堂々と逆襲することができるようになったのだ。これこそ新鮮なサプライズ(驚き)だった。
+++++
ナイル・ロジャーズ @nilerodgers ブログ
プラネットC、Japanese Version 2月23日分 #39 Flashback
【Walking on Planet C by Nile Rodgers 】
第39回 蘇る思い出
#39 Flashback
Written on Wednesday, 23 February 2011 05:00 by Nile Rodgers
(Japan Standard Time, 23 February 2011 19:00)
Translated by Yoshioka Masaharu, The Soul Searcher
http://nilerodgers.com/blog/planet-c-blog-roll/264-walking-on-planet-c-flashback
朝のニューズを見てあの地震のことが蘇った
ウォーキングに出る前、朝のニューズを見ていると、ニュージーランドを襲った破壊的な地震を伝えていた。癌に不意打ちされて以来、大惨事に対して無防備だったことを痛感させられている。CNNのジャーナリストが男性にインタヴューしていたが、彼は「地面がぶるぶると震えた(ground felt like jelly)」と言った。その言葉を聞いたとき、あのときのことがフラッシュバックした。
パラマウント映画メインゲート ロスアンジェルス地震で崩壊した道路
1994年、僕はパラマウント映画の『ビヴァリー・ヒルズ・コップ3』と『ブルー・チップス(邦題ハード・チェック)』の映画音楽制作のためにロスアンジェルスにいた。
1月17日の午前4時30分頃、地面がぶるぶると震え、ビルや道路が崩壊した。ノースリッジ地震(ロスアンジェルス地震)だった。ホテルのベッドから投げ出され、部屋中の家具が子供のおもちゃのように宙を飛んだ。
僕は目が悪く何も見えないので、その頃コンタクト(・レンズ)を使っていた。だが、地震が来てコンタクトを探せなかった。電気が落ち、完璧に真っ暗で何も見えず、取るものもとりあえず何か着る物を身につけた。
部屋を這ってかろうじてメガネをみつけ、廊下にでると、LLクールJに鉢合わせた。彼は消火器を持っていた。僕たちはミニバーがドアに倒れ、部屋から出られなくなっていた何人かを助けた。
左・LLクールJ 右・ジョルジオ・アルマーニのタキシードの僕
1階に下りると他の宿泊者も着の身着のままで、気持ち悪くなっている者もいた。だが、ユーモアといつしか芽生えた仲間意識によって、理性を保った。一人の女性が僕のところにやってきてこう言い放った。「これが、地震のときにびしっと決めてるプロデューサーよ!」 僕が真っ暗闇で手にしたのが、タキシードだったのだ。その場にいた全員が爆笑し、見知らぬ者同士がすぐに友達になった。夜通し余震の恐怖が続く中、みなお互いに助け合って過ごした。
僕はみなさんにこの現在進行形の挑戦への支援に対し感謝したい。僕が対戦する大きな相手は癌だが、僕たちは人生における日々の葛藤・苦闘をお互い助け合っている。
いつか、このことが思い出のひとつになればいい。
左・エディー・マーフィーの『ビヴァリー・ヒルズ・コップ3』、中・映画『ブルーチップス』ニック・ノルテ、シャキール・オニール主演、右・LLクールJ
Walking on Planet C>#37-39>Truth Is Stranger Than Fiction, Surprise, Flashback