2011年01月22日(土) 00時01分00秒
soulsearchinの投稿
★△ナイル・ロジャーズ「癌惑星を歩いて」~第4回&第5回
テーマ:Walking On Planet C
★△ナイル・ロジャーズ「癌惑星を歩いて」~第4回&第5回
【Nile Rodgers: Walking On Planet C #4】
闘病記。
先日、癌にかかり手術をしたことを公表したナイル・ロジャーズが自身のブログに毎日癌闘病記を書いています。1日目から翻訳していますが、第4弾と第5弾の全訳をお届けします。
また、闘病記のあとに、シックの4枚組みボックスセットのご紹介をいれました。
ナイル・ロジャーズ氏本人の承諾を得ましたので、ナイルのブログと同じ写真も掲載いたします。
また、ご存知ない方のために、ナイル・ロジャーズ&バーナード・エドワーズ・ストーリー(「ソウル・サーチン」吉岡正晴著より)のリンクも貼っておきます。シックがどのようにして、成功をつかみ、そして、成功の中で失敗し、再度這い上がったか。そのソウル・サーチンの物語。2000年7月発表作品です。
Soul Searchin : 第4話 ナイル・ロジャース&バーナード・エドワーズ(シック)~友情という名のメロディー~(part 1)
http://www.soulsearchin.com/soulsearchin/4-1.html
Soul Searchin : 第4話 ナイル・ロジャース&バーナード・エドワーズ(シック)~友情という名のメロディー~(part 2)
http://www.soulsearchin.com/soulsearchin/4-2.html
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Walking on Planet C by Nile Rodgers
プラネットC(癌惑星)を歩いて ナイル・ロジャーズ著
第4回 60 Hours Later 60時間後
on Wednesday, 19 January 2011 05:00 by Nile Rodgers
(Japan Standard Time, 19 January 2011 19:00)
http://nilerodgers.com/blog/planet-c-blog-roll/229-walking-on-planet-c-60-hours-later
入院してから60時間経つと、医師たちは好きなときにいつでも退院していいと言った。精神面では上向きになっていたが、体調は最低だった。胃は膨れ上がり、まるで妊婦のようだった。友人の一人が、「It’s A Girl(女の子!)」(生まれた赤ちゃんが女の子だ、というお祝いのメッセージ)と書かれた風船をくれ、それを見たときには大笑いした。おなかは地獄のような痛さだったが、よじれるくらい笑い転げ、縫合した糸がはちきれるかと思った。こうして僕に笑いの感覚が戻った。僕は世の中を少し斜に構えて見ているミュージシャンの一人だから、そんなことも笑える。
「誕生、おめでとう! 女の子だ!」
僕は回復に向けた病院内での最後のウォーキングにでかけた。スタッフは、壁に、僕が命名した「Goth Award」(下記訳注1参照)を誇らしげに張り出していた。僕はスージー&ザ・バンシーズが夜勤でもしているのかと思った。(訳注2)ホールにあった古い学校の電話ボックスを見ると、映画『ビルとテッドの大冒険(Bill & Ted's Excellent Adventure)』(訳注3)を思い出した。
「Goth Award」90thという文字がgothに見える
僕の人生は救われ、ポップ・カルチャーの世界に飛び込む第二のチャンスを得たのだ。退院は大喜びだが、3日もここにいなかったのに、このスタッフたちにはこう言いたくなった。We Are Family (僕たちは家族だ)と。いろいろとありがとう。
さて、家に帰る時間だ。そして、朝のウォーキングを始めよう。
(訳注1) 写真を見ればわかるが、90th percentile in 2009[これは、ざっくり言うと、この病院が上位10%以内にいる、という意味。数字が高ければ高いほどいいということになる]の90thという文字がgothに見える。これがポイント。そこで、ナイルはこれを勝手にGoth Award と命名した。ゴス・アワード=Gotham Award=ニューヨーク・アワード、Gothic Award=ゴシック・アワードともかけている。
(訳注2) ここでのゴス賞は、ゴシック・アワードの意味をかけている。スージー&ザ・バンシーズは、『ゴシック・ロック(Gothic Rock=ゴス・ロック)』の代表的アーティスト。そこで、ゴシック・アワードをかけた)
(訳注3) 1989年作品=映画の舞台は2688年で学校にある電話ボックスのタイムマシンで1988年に戻るという物語。
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★ △ナイル・ロジャーズ「癌惑星を歩いて」~第5回
【Nile Rodgers: Walking On Planet C #5】
Walking on Planet C by Nile Rodgers @nilerodgers
プラネットC(癌惑星)を歩いて ナイル・ロジャーズ著
第5回 Dayclubbing デイ・クラビング(昼間の散歩)
Written on Thursday, 20 January 2011 05:00 by Nile Rodgers
(Japan Standard Time, 20 January 2011 19:00)
http://nilerodgers.com/blog/planet-c-blog-roll/230-walking-on-planet-c-dayclubbing
回復は順調だ。気分もあらゆる面でよくなっている。ウォーキングを始めてすぐに以前最初の「チャイナ・クラブ」(75丁目とブロードウェイ=その後引越した)があったビルの入口に着いた。1980年代によくロック関係のパーティーが行われていた行きつけの店で、O.J.シンプソンも出入りして遊んでいた。彼に会ったことがない人のために言っておくと、あの頃、彼は誰もが会いたいと思う本当に最高の人物だった。O.J.が僕の脳裏をかすめたのは、彼が癌から僕を救ってくれた病院からほんの2ブロックのところに住んでいたからだ。病院への往復時いつも彼の古いアパートの前を通っていた。
以前ここに「チャイナ・クラブ」があった。
僕の作曲家としての長所と短所は、音楽が頭の中から離れることがなく、それがいつも現実の何かと結びついているということだ。この角にあるダイナーで僕とO.J.はよく酔っ払って話していたが、彼はいつも感情的な癒しを求めていた。
左・ウェストエンドと76丁目のコーナー。右・マイルスが住んでいたタウンハウス
76丁目とウェストエンドの交差点にたどり着くまで、イエスの「オウナー・オブ・ア・ロンリー・ハート」(1983年のヒット)が頭の中で鳴り響いていた。それから、シックの「グッド・タイムス」に切り替わった。初めて「ラッパーズ・デライト」(「グッド・タイムス」のリフを使った曲)を聴いたとき、僕はクラブにいたが、そこで何者かが僕のドリンクにLSDをいれた。僕は取り乱し、車に飛び乗ると、(車を出そうとしたときに)後ろに止まっていたキャデラックにぶつけてしまった。その車のオウナーは、へこませたことを僕のサインだけで許してくれた。そして、西76丁目312番地のマイルス・デイヴィスのタウンハウスに向かった。マイルスが留守だったので、そこからほんの50ヤード(45メートル)ほどのサラ・ダッシュ(訳注1)のアパートに向かった。ドアマンが彼女の部屋のベルを鳴らし、慈悲の天使(サラのこと)がドラッグが体内からなくなるまでそこにいてもいいと言ってくれた。時代は1980年代、よくある話だった。今日、僕がこの同じルートを1000回歩いても、また別の1000のストーリーを語れるだろう。
左下・サラ・ダッシュが住んでいたアパート。右下・チャイナ・クラブのジャケット
(訳注1) サラ・ダッシュ=「レディー・マーマレード」の大ヒットで知られるラベールのメンバーの一人。シックのメンバー、トニー・トンプスンはラベールのツアー・ドラマーだった。サラはナイルのファースト・ソロでデュエットをしている。シックのコンセプトは、ラベルに影響を受けている。
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◇シック・ボックス・セット、通販で発売
力作。
昨年からずっと制作していたシックのボックスセットがフランスのワーナーから発売され、その輸入盤に日本語解説がついて通販限定でリリースされた。これは最初の話から約10年をかけて、ナイル・ロジャーズが監修しワーナー・フランスの担当者と完成させたもので、未発表音源なども含む全46トラック収録のもの。日本では、人見欣幸氏の入魂のライナーノーツが収録されている。ここには日本盤の7インチシングルのジャケット写真なども多数掲載されている。また、ナイル自身が書いた原稿も翻訳されている。Vol.1とされているので、続編も期待される。
それがこれ。
http://item.rakuten.co.jp/warnermusic/wqcp-948/
(人見欣幸氏の入魂ライナーノーツつき)
解説なしの輸入盤は、アマゾンで入手可。
シック・オーガニゼーション・ボックセットVol.1 Savoir Faire
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ワーナーの通販サイトでは、なんと、この前来日したアラン・トゥーサンの2枚組みも発売。↓ これは2枚で全43曲いり。ライノの詳細ライナー付き。解説はビリー・ベラだ。
アラン・トゥーサン
http://item.rakuten.co.jp/warnermusic/wqcp-971/
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ENT>NEWS>Rodgers, Nile
【Nile Rodgers: Walking On Planet C #4】
闘病記。
先日、癌にかかり手術をしたことを公表したナイル・ロジャーズが自身のブログに毎日癌闘病記を書いています。1日目から翻訳していますが、第4弾と第5弾の全訳をお届けします。
また、闘病記のあとに、シックの4枚組みボックスセットのご紹介をいれました。
ナイル・ロジャーズ氏本人の承諾を得ましたので、ナイルのブログと同じ写真も掲載いたします。
また、ご存知ない方のために、ナイル・ロジャーズ&バーナード・エドワーズ・ストーリー(「ソウル・サーチン」吉岡正晴著より)のリンクも貼っておきます。シックがどのようにして、成功をつかみ、そして、成功の中で失敗し、再度這い上がったか。そのソウル・サーチンの物語。2000年7月発表作品です。
Soul Searchin : 第4話 ナイル・ロジャース&バーナード・エドワーズ(シック)~友情という名のメロディー~(part 1)
http://www.soulsearchin.com/soulsearchin/4-1.html
Soul Searchin : 第4話 ナイル・ロジャース&バーナード・エドワーズ(シック)~友情という名のメロディー~(part 2)
http://www.soulsearchin.com/soulsearchin/4-2.html
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Walking on Planet C by Nile Rodgers
プラネットC(癌惑星)を歩いて ナイル・ロジャーズ著
第4回 60 Hours Later 60時間後
on Wednesday, 19 January 2011 05:00 by Nile Rodgers
(Japan Standard Time, 19 January 2011 19:00)
http://nilerodgers.com/blog/planet-c-blog-roll/229-walking-on-planet-c-60-hours-later
入院してから60時間経つと、医師たちは好きなときにいつでも退院していいと言った。精神面では上向きになっていたが、体調は最低だった。胃は膨れ上がり、まるで妊婦のようだった。友人の一人が、「It’s A Girl(女の子!)」(生まれた赤ちゃんが女の子だ、というお祝いのメッセージ)と書かれた風船をくれ、それを見たときには大笑いした。おなかは地獄のような痛さだったが、よじれるくらい笑い転げ、縫合した糸がはちきれるかと思った。こうして僕に笑いの感覚が戻った。僕は世の中を少し斜に構えて見ているミュージシャンの一人だから、そんなことも笑える。
「誕生、おめでとう! 女の子だ!」
僕は回復に向けた病院内での最後のウォーキングにでかけた。スタッフは、壁に、僕が命名した「Goth Award」(下記訳注1参照)を誇らしげに張り出していた。僕はスージー&ザ・バンシーズが夜勤でもしているのかと思った。(訳注2)ホールにあった古い学校の電話ボックスを見ると、映画『ビルとテッドの大冒険(Bill & Ted's Excellent Adventure)』(訳注3)を思い出した。
「Goth Award」90thという文字がgothに見える
僕の人生は救われ、ポップ・カルチャーの世界に飛び込む第二のチャンスを得たのだ。退院は大喜びだが、3日もここにいなかったのに、このスタッフたちにはこう言いたくなった。We Are Family (僕たちは家族だ)と。いろいろとありがとう。
さて、家に帰る時間だ。そして、朝のウォーキングを始めよう。
(訳注1) 写真を見ればわかるが、90th percentile in 2009[これは、ざっくり言うと、この病院が上位10%以内にいる、という意味。数字が高ければ高いほどいいということになる]の90thという文字がgothに見える。これがポイント。そこで、ナイルはこれを勝手にGoth Award と命名した。ゴス・アワード=Gotham Award=ニューヨーク・アワード、Gothic Award=ゴシック・アワードともかけている。
(訳注2) ここでのゴス賞は、ゴシック・アワードの意味をかけている。スージー&ザ・バンシーズは、『ゴシック・ロック(Gothic Rock=ゴス・ロック)』の代表的アーティスト。そこで、ゴシック・アワードをかけた)
(訳注3) 1989年作品=映画の舞台は2688年で学校にある電話ボックスのタイムマシンで1988年に戻るという物語。
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★ △ナイル・ロジャーズ「癌惑星を歩いて」~第5回
【Nile Rodgers: Walking On Planet C #5】
Walking on Planet C by Nile Rodgers @nilerodgers
プラネットC(癌惑星)を歩いて ナイル・ロジャーズ著
第5回 Dayclubbing デイ・クラビング(昼間の散歩)
Written on Thursday, 20 January 2011 05:00 by Nile Rodgers
(Japan Standard Time, 20 January 2011 19:00)
http://nilerodgers.com/blog/planet-c-blog-roll/230-walking-on-planet-c-dayclubbing
回復は順調だ。気分もあらゆる面でよくなっている。ウォーキングを始めてすぐに以前最初の「チャイナ・クラブ」(75丁目とブロードウェイ=その後引越した)があったビルの入口に着いた。1980年代によくロック関係のパーティーが行われていた行きつけの店で、O.J.シンプソンも出入りして遊んでいた。彼に会ったことがない人のために言っておくと、あの頃、彼は誰もが会いたいと思う本当に最高の人物だった。O.J.が僕の脳裏をかすめたのは、彼が癌から僕を救ってくれた病院からほんの2ブロックのところに住んでいたからだ。病院への往復時いつも彼の古いアパートの前を通っていた。
以前ここに「チャイナ・クラブ」があった。
僕の作曲家としての長所と短所は、音楽が頭の中から離れることがなく、それがいつも現実の何かと結びついているということだ。この角にあるダイナーで僕とO.J.はよく酔っ払って話していたが、彼はいつも感情的な癒しを求めていた。
左・ウェストエンドと76丁目のコーナー。右・マイルスが住んでいたタウンハウス
76丁目とウェストエンドの交差点にたどり着くまで、イエスの「オウナー・オブ・ア・ロンリー・ハート」(1983年のヒット)が頭の中で鳴り響いていた。それから、シックの「グッド・タイムス」に切り替わった。初めて「ラッパーズ・デライト」(「グッド・タイムス」のリフを使った曲)を聴いたとき、僕はクラブにいたが、そこで何者かが僕のドリンクにLSDをいれた。僕は取り乱し、車に飛び乗ると、(車を出そうとしたときに)後ろに止まっていたキャデラックにぶつけてしまった。その車のオウナーは、へこませたことを僕のサインだけで許してくれた。そして、西76丁目312番地のマイルス・デイヴィスのタウンハウスに向かった。マイルスが留守だったので、そこからほんの50ヤード(45メートル)ほどのサラ・ダッシュ(訳注1)のアパートに向かった。ドアマンが彼女の部屋のベルを鳴らし、慈悲の天使(サラのこと)がドラッグが体内からなくなるまでそこにいてもいいと言ってくれた。時代は1980年代、よくある話だった。今日、僕がこの同じルートを1000回歩いても、また別の1000のストーリーを語れるだろう。
左下・サラ・ダッシュが住んでいたアパート。右下・チャイナ・クラブのジャケット
(訳注1) サラ・ダッシュ=「レディー・マーマレード」の大ヒットで知られるラベールのメンバーの一人。シックのメンバー、トニー・トンプスンはラベールのツアー・ドラマーだった。サラはナイルのファースト・ソロでデュエットをしている。シックのコンセプトは、ラベルに影響を受けている。
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◇シック・ボックス・セット、通販で発売
力作。
昨年からずっと制作していたシックのボックスセットがフランスのワーナーから発売され、その輸入盤に日本語解説がついて通販限定でリリースされた。これは最初の話から約10年をかけて、ナイル・ロジャーズが監修しワーナー・フランスの担当者と完成させたもので、未発表音源なども含む全46トラック収録のもの。日本では、人見欣幸氏の入魂のライナーノーツが収録されている。ここには日本盤の7インチシングルのジャケット写真なども多数掲載されている。また、ナイル自身が書いた原稿も翻訳されている。Vol.1とされているので、続編も期待される。
それがこれ。
http://item.rakuten.co.jp/warnermusic/wqcp-948/
(人見欣幸氏の入魂ライナーノーツつき)
解説なしの輸入盤は、アマゾンで入手可。
シック・オーガニゼーション・ボックセットVol.1 Savoir Faire
NILE RODGERS PRESENTS THE CHIC ORGANIZATION BOXSET VOL.1 "SAVOIR FAIRE"
posted with amazlet at 11.01.21
VARIOUS ARTISTS
WARNER MUSIC FRANCE (2010-10-15)
売り上げランキング: 12309
WARNER MUSIC FRANCE (2010-10-15)
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ワーナーの通販サイトでは、なんと、この前来日したアラン・トゥーサンの2枚組みも発売。↓ これは2枚で全43曲いり。ライノの詳細ライナー付き。解説はビリー・ベラだ。
アラン・トゥーサン
http://item.rakuten.co.jp/warnermusic/wqcp-971/
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