2010年12月08日(水) 00時01分00秒
soulsearchinの投稿
◎竹内まりや10年ぶりのライヴ~芳醇に色香を持つ楽曲の輝き
テーマ:ライヴ評・レポート
◎竹内まりや10年ぶりのライヴ~芳醇に色香を持つ楽曲の輝き
【Takeuchi Mariya】
レア。
シンガー・ソングライター、という響きが今の時代に合うのかわからないが、竹内まりやの10年ぶりのライヴ。その10年前がまた18年ぶりだったというから、4年毎のオリンピックやワールドカップの比ではない。こんなレアなライヴはまずない。ラッキーなことに、ご縁あって、この貴重なライヴを拝見させていただいた。彼女のライヴを見るのは、初めて。
まりやさんのMCによると、1982年1月1日をもって休業に入ったので、2000年に18年ぶりライヴ、そして、2010年に10年ぶりライヴということのようだ。
オープニング・アクトで演奏した、まりやさんの先輩たちにあたるボックスは、ビートルズをそのまま日本版にしたようなバンドだった。ただし、メンバー4人に2人のサポートメンバーの計6人ステージにいたが。そのボックスが6曲のセットを終えて、場内が明るくなり、「これから20分の休憩が・・・」というアナウンスが流れた瞬間、いっせいに「ええええっ??」という驚きの声が上がったのは、受けた。
まりやさんは、MCの途中で、20代、30代~70代の人たちそれぞれに拍手してください、とアンケートを取ったが、圧倒的に40代、50代が多かった。70代、80代の方も若干だがいらしたようで、まさに老若男女、圧倒的なファン層。男女比もほぼ半々か。
まりやさんの力強い声が武道館に響いた。彼女の声は、何よりも、カレン・カーペンターのように誰にでも、まさに万人に愛される声だ。これは生まれもった天性のもの。そして、彼女の声の特質は、55歳になっても、まるで老けない。それは、あのロバータ・フラックの決して老けない声と同じだ。これはおそらく日ごろの体調を含めた声のメインテナンスの賜物だろう。そして、声力が強い。
真正三角形。
彼女の音楽は、正統派アメリカン・ポップスと従来からの日本の歌謡曲と、いわゆる最近のJポップと呼ばれるジャンルが完璧に正三角形を描いている。どれにも等距離でその正三角形は、真正だ。これだけの真正三角形を描けるシンガーは、今、いないのではないだろうか。そこだけをとっても、ワン&オンリー、唯一無比だ。
彼女はMCで言う。「(学校卒業したら)旅行会社の添乗員か、音楽雑誌の編集者かなにかになりたかったんです。だけど、フランス語を落として、卒業ができなくなり、RCAからデビューすることになりました。それは、(プロのシンガーとしてやっていく)覚悟のないデビューでした。ま、それも運命かな、と」
そうして、彼女はかつて自分の先輩で、この日オープニングを務めた杉真理さんが書いた「ウィスキーが、お好きでしょ」を歌った。MCから次に歌う楽曲へのもって行きかたも実にうまい。
まりやさんのすぐ後ろでほとんど一言もしゃべらず、黙々と、苦虫をつぶしたような渋い顔をしながらギターを弾き、バンド・マスターを務めていた夫の山下達郎氏。このツーショットがなんとも言えず、ほほえましく、しかも、最高の夫婦だなあ、とうらやましく思った。MCの中で、1970年代中ごろ、渋谷のヤマハ(年内で閉店です)でシュガーベイブのライヴがあるというので、見に行ったら、髪の毛の長い暗そうな人がいた、その人がそれから7年後に自分の夫になるなど夢にも思わなかった、といった昔話を披露し、客席から受けていた。また、アンコールの中での一こまだったか。客席から「可愛い!」という声がかかると、「この年になっても、『可愛い』と言われると嬉しいです」とはにかんだのが可愛かった。
芳醇。
山下達郎さんにせよ、竹内まりやさんにせよ、30年以上も音楽というひとつの道を歩んできた人々には、アーティストの成長とリンクして成長してきた観客という大きな財産がある。アーティストと観客が、同時に人生の時を重ねてきて、その結果密度の濃い時空が、ライヴ会場を覆う。
あるひとつの楽曲にアーティスト、シンガーの思いが込められ、一方でその楽曲へファンの100万通りの思いがかぶさっていく。だからこそ、その楽曲は年月を経て、ファンの思いという空気の中で、熟成していくワインのように誰に対しても芳醇になっていく。ヴェテランはそうした年代物のワインを何本も、何曲もワインセラーに寝かせている。
今日は何年物の楽曲のボトルを空けようか。この夜、たとえば、1979年物の「September」なんかが開いた。1980年物の「象牙海岸」も開けてしまおう。少し新し目、2007年産「人生の扉」のボトルも開けよう。何本も開けてしまうと、最後には酔いが回ってご機嫌になっている。この日武道館に集まったみんなが、次から次へと栓が開けられる多くのボトルに心地よく酔った夜だった。
■竹内まりや Expressions (通常盤)
■メンバー
竹内まりや: Vocal, Guitars, Piano
山下達郎: Guitars, Musical Director
伊藤広規:Bass
小笠原拓海:Drums
佐橋佳幸:Guitars
土岐英史:Saxophone
難波弘之:Acoustic Piano & Rhodes
柴田俊文:Keyboards
国分友里恵:Background Vocal
佐々木久美:Background Vocal
三谷泰弘:Background Vocal
(セットリストの詳細は、大阪公演12月21日、22日終了後にアップします)
■セットリスト: 竹内まりや 武道館、2010年12月3日(金)
Setlist: "souvenir again ~mariya takeuchi live 2010~" @Budoukan, December 3, 2010
BOX :杉真理ギター、松尾清憲ギター、小室和幸ベース、田上正和ギター、(サポート)島村英二ドラムス、小泉信彦キーボード
Opening Act : Box
Show started 18:32
show ended 18:57
~竹内まりや~
Show started 19:23
show ended 21:24
(2010年12月3日(金)、竹内まりや・ライヴ=日本武道館)
ENT>MUSIC>LIVE>Takeuchi, Mariya
2010-198
【Takeuchi Mariya】
レア。
シンガー・ソングライター、という響きが今の時代に合うのかわからないが、竹内まりやの10年ぶりのライヴ。その10年前がまた18年ぶりだったというから、4年毎のオリンピックやワールドカップの比ではない。こんなレアなライヴはまずない。ラッキーなことに、ご縁あって、この貴重なライヴを拝見させていただいた。彼女のライヴを見るのは、初めて。
まりやさんのMCによると、1982年1月1日をもって休業に入ったので、2000年に18年ぶりライヴ、そして、2010年に10年ぶりライヴということのようだ。
オープニング・アクトで演奏した、まりやさんの先輩たちにあたるボックスは、ビートルズをそのまま日本版にしたようなバンドだった。ただし、メンバー4人に2人のサポートメンバーの計6人ステージにいたが。そのボックスが6曲のセットを終えて、場内が明るくなり、「これから20分の休憩が・・・」というアナウンスが流れた瞬間、いっせいに「ええええっ??」という驚きの声が上がったのは、受けた。
まりやさんは、MCの途中で、20代、30代~70代の人たちそれぞれに拍手してください、とアンケートを取ったが、圧倒的に40代、50代が多かった。70代、80代の方も若干だがいらしたようで、まさに老若男女、圧倒的なファン層。男女比もほぼ半々か。
まりやさんの力強い声が武道館に響いた。彼女の声は、何よりも、カレン・カーペンターのように誰にでも、まさに万人に愛される声だ。これは生まれもった天性のもの。そして、彼女の声の特質は、55歳になっても、まるで老けない。それは、あのロバータ・フラックの決して老けない声と同じだ。これはおそらく日ごろの体調を含めた声のメインテナンスの賜物だろう。そして、声力が強い。
真正三角形。
彼女の音楽は、正統派アメリカン・ポップスと従来からの日本の歌謡曲と、いわゆる最近のJポップと呼ばれるジャンルが完璧に正三角形を描いている。どれにも等距離でその正三角形は、真正だ。これだけの真正三角形を描けるシンガーは、今、いないのではないだろうか。そこだけをとっても、ワン&オンリー、唯一無比だ。
彼女はMCで言う。「(学校卒業したら)旅行会社の添乗員か、音楽雑誌の編集者かなにかになりたかったんです。だけど、フランス語を落として、卒業ができなくなり、RCAからデビューすることになりました。それは、(プロのシンガーとしてやっていく)覚悟のないデビューでした。ま、それも運命かな、と」
そうして、彼女はかつて自分の先輩で、この日オープニングを務めた杉真理さんが書いた「ウィスキーが、お好きでしょ」を歌った。MCから次に歌う楽曲へのもって行きかたも実にうまい。
まりやさんのすぐ後ろでほとんど一言もしゃべらず、黙々と、苦虫をつぶしたような渋い顔をしながらギターを弾き、バンド・マスターを務めていた夫の山下達郎氏。このツーショットがなんとも言えず、ほほえましく、しかも、最高の夫婦だなあ、とうらやましく思った。MCの中で、1970年代中ごろ、渋谷のヤマハ(年内で閉店です)でシュガーベイブのライヴがあるというので、見に行ったら、髪の毛の長い暗そうな人がいた、その人がそれから7年後に自分の夫になるなど夢にも思わなかった、といった昔話を披露し、客席から受けていた。また、アンコールの中での一こまだったか。客席から「可愛い!」という声がかかると、「この年になっても、『可愛い』と言われると嬉しいです」とはにかんだのが可愛かった。
芳醇。
山下達郎さんにせよ、竹内まりやさんにせよ、30年以上も音楽というひとつの道を歩んできた人々には、アーティストの成長とリンクして成長してきた観客という大きな財産がある。アーティストと観客が、同時に人生の時を重ねてきて、その結果密度の濃い時空が、ライヴ会場を覆う。
あるひとつの楽曲にアーティスト、シンガーの思いが込められ、一方でその楽曲へファンの100万通りの思いがかぶさっていく。だからこそ、その楽曲は年月を経て、ファンの思いという空気の中で、熟成していくワインのように誰に対しても芳醇になっていく。ヴェテランはそうした年代物のワインを何本も、何曲もワインセラーに寝かせている。
今日は何年物の楽曲のボトルを空けようか。この夜、たとえば、1979年物の「September」なんかが開いた。1980年物の「象牙海岸」も開けてしまおう。少し新し目、2007年産「人生の扉」のボトルも開けよう。何本も開けてしまうと、最後には酔いが回ってご機嫌になっている。この日武道館に集まったみんなが、次から次へと栓が開けられる多くのボトルに心地よく酔った夜だった。
■竹内まりや Expressions (通常盤)
Expressions (通常盤)
posted with amazlet at 10.12.05
竹内まりや
ワーナーミュージック・ジャパン (2008-10-01)
売り上げランキング: 730
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売り上げランキング: 730
■メンバー
竹内まりや: Vocal, Guitars, Piano
山下達郎: Guitars, Musical Director
伊藤広規:Bass
小笠原拓海:Drums
佐橋佳幸:Guitars
土岐英史:Saxophone
難波弘之:Acoustic Piano & Rhodes
柴田俊文:Keyboards
国分友里恵:Background Vocal
佐々木久美:Background Vocal
三谷泰弘:Background Vocal
(セットリストの詳細は、大阪公演12月21日、22日終了後にアップします)
■セットリスト: 竹内まりや 武道館、2010年12月3日(金)
Setlist: "souvenir again ~mariya takeuchi live 2010~" @Budoukan, December 3, 2010
BOX :杉真理ギター、松尾清憲ギター、小室和幸ベース、田上正和ギター、(サポート)島村英二ドラムス、小泉信彦キーボード
Opening Act : Box
Show started 18:32
show ended 18:57
~竹内まりや~
Show started 19:23
show ended 21:24
(2010年12月3日(金)、竹内まりや・ライヴ=日本武道館)
ENT>MUSIC>LIVE>Takeuchi, Mariya
2010-198
1 ■凄いですね。☆
竹内まりあさん、僕はあんまり彼女の歌を聴いたことが無いです。
どっちかというと山下達郎さんの歌の方が印象が強いです。
でも、2人が夫婦だということを知ったのは12年くらい前のことでした。
ずっと音楽で生計を立てられるなんて、凄いし、素晴らしいことですね。
僕もそういうミュージシャンであり続けたいです。
ブログ更新お疲れ様でした。
シンガーソングライター・イキル☆