2010年10月23日(土) 00時01分00秒
soulsearchinの投稿
◆音楽の力 ~ ヴェトコン兵士が口ずさんだ曲 : 「ギヴ・ミー・ジャスト・ア・リトル・モア・タイ
テーマ:エッセイ
◆音楽の力 ~ ヴェトコン兵士が口ずさんだ曲 : 「ギヴ・ミー・ジャスト・ア・リトル・モア・タイム」
【Power Of Music: The Song Viet Com Humming】
一字一句。
2010年10月13日にアトランタ郊外で69歳で死去したジェネラル・ジョンソン。ホット・ワックス/インヴィクタスのチェアメン・オブ・ザ・ボードのリード・シンガーだが、彼のことを調べているうちに、ちょっといい話に出会った。彼のホームページに書かれている「パワー・オブ・ミュージック」と題された小文だ。
ジェネラル・ジョンソン訃報記事
http://ameblo.jp/soulsearchin/entry-10680532190.html
これは、ジョンソンが生まれ故郷に近いノース・キャロライナ州のナイトクラブでライヴをやったときに、そのクラブのオウナーから紹介された地元消防士の話だ。その消防士は、ノース・キャロライナ州シャーロッテの消防団のチーフで、現在はリタイアしている。彼の名はハリー・ロジャース。
ジョンソンがオウナーの紹介でロジャースのテーブルに行くと、ロジャースはチェアメン・オブ・ザ・ボードの音楽のことを大変褒めてくれ、一通の手紙を手渡した。その手紙(2006年2月18日付け)には、ロジャースが体験したチェアメンのヒット曲「ギヴ・ミー・ジャスト・ア・リトル・モア・タイム」についてのちょっとしたエピソードが書かれていた。彼はその手紙を自らのウェッブサイトに公開した。
原文はこちら。
http://www.generalnormanjohnson.com/my%20life.htm
1970年6月のことだった。ロジャースは、ヴェトナム戦争に従軍していた。アメリカ軍は激しく北爆(共産化しつつあるとされた北ヴェトナムを爆撃)をしていた。そのさなか、ロジャースは南ヴェトナムで6人の(北側の)ヴェトコン捕虜を見張りながら、彼らに防空壕のような壕を作らせていた。敵の捕虜がきちんと仕事をし、逃げないように見張りながら、ロジャースは電池で聴けるラジオでアメリカ軍の放送(日本でも聴けるFENのようなラジオ局のヴェトナム版=現在のAFRTSアメリカン・フォーセス・ラジオ・テレビ・サーヴィス)をかけていた。
DJが、「ちょうどリリースされたばかりのニュー・シングルをご紹介しよう。チェアメン・オブ・ザ・ボードの『ギヴ・ミー・ジャスト・ア・リトル・モア・タイム』だ!」と言って、その曲がかかった。
ロジャースはその曲を聴くのは初めてではなく、すでにお気に入りになっていた。すると、一人のヴェトコン兵士がこの曲を口ずさんで一字一句同じように歌っていたのだ。しかも、「and our love will surely grow…bluuurrrtt」(約2分13秒あたり)の最後のブラッーという部分を巻き舌で歌うところまで真似ていたのだ。これにすっかり驚いたロジャースはその兵士に「英語はしゃべれるのか」と尋ねると、彼はなんとミシガン大学に行っていた、という。
アメリカの大学にまで行っていていた教育のある男がなぜヴェトコンに。「じゃあ、なんで君はこんなところで、窮地に立ってるんだ?」と聞くと彼はこう答えた。「北ヴェトナムの兵士がAK47のライフルを持ってやってきて、俺の妻、父母の頭に銃口を突きつけ、北の兵士にならなければ皆殺しにする、と脅してきた。だから、しかたなく北軍に入ったんだ。そして、最初の従軍であんたたちの捕虜になったんだよ」
それまで、ロジャースは、彼自身兵士として「人間ではない動物」として訓練され、敵もただの動物と思えと洗脳されてきた。だが、この日、この瞬間、初めて敵兵もひとりの人間だと思った、という。ロジャースは、「この出来事は私の人生のいかなる出来事よりも偏見というものを克服することに役立った」と振り返る。「あなたの音楽(ギヴ・ミー・ジャスト・リトル・モア・タイム)によって、それはほんの一瞬だったとしても、私や何千人もの人生の最悪の部分を少しでもよくしてくれたことに感謝したい」と言ったのだ。
これぞ、まさに「音楽の力(Power Of Music)」だ。
++++
月曜日深夜(2010年10月18日)、NHKスペシャルで『貧者の兵器とロボット兵器』(再放送)という番組をやっていた。アフガニスタンをアメリカ軍の無人ロボット飛行機が爆撃するというものだ。そして、敵のタリバンは人間自爆で向かってくる。アメリカ側はまさにゲーム感覚で爆撃をしている。ヴェトナム戦争は、現地でのゲリラ戦争だった。このゲーム感覚の戦争の中では、上のような話は起こらない。
■ チェアメン・オブ・ザ・ボード 「ギヴ・ミー・ジャスト・ア・リトル・モア・タイム」
ENT>ESSAY>Give Me Just A Little More Time
【Power Of Music: The Song Viet Com Humming】
一字一句。
2010年10月13日にアトランタ郊外で69歳で死去したジェネラル・ジョンソン。ホット・ワックス/インヴィクタスのチェアメン・オブ・ザ・ボードのリード・シンガーだが、彼のことを調べているうちに、ちょっといい話に出会った。彼のホームページに書かれている「パワー・オブ・ミュージック」と題された小文だ。
ジェネラル・ジョンソン訃報記事
http://ameblo.jp/soulsearchin/entry-10680532190.html
これは、ジョンソンが生まれ故郷に近いノース・キャロライナ州のナイトクラブでライヴをやったときに、そのクラブのオウナーから紹介された地元消防士の話だ。その消防士は、ノース・キャロライナ州シャーロッテの消防団のチーフで、現在はリタイアしている。彼の名はハリー・ロジャース。
ジョンソンがオウナーの紹介でロジャースのテーブルに行くと、ロジャースはチェアメン・オブ・ザ・ボードの音楽のことを大変褒めてくれ、一通の手紙を手渡した。その手紙(2006年2月18日付け)には、ロジャースが体験したチェアメンのヒット曲「ギヴ・ミー・ジャスト・ア・リトル・モア・タイム」についてのちょっとしたエピソードが書かれていた。彼はその手紙を自らのウェッブサイトに公開した。
原文はこちら。
http://www.generalnormanjohnson.com/my%20life.htm
1970年6月のことだった。ロジャースは、ヴェトナム戦争に従軍していた。アメリカ軍は激しく北爆(共産化しつつあるとされた北ヴェトナムを爆撃)をしていた。そのさなか、ロジャースは南ヴェトナムで6人の(北側の)ヴェトコン捕虜を見張りながら、彼らに防空壕のような壕を作らせていた。敵の捕虜がきちんと仕事をし、逃げないように見張りながら、ロジャースは電池で聴けるラジオでアメリカ軍の放送(日本でも聴けるFENのようなラジオ局のヴェトナム版=現在のAFRTSアメリカン・フォーセス・ラジオ・テレビ・サーヴィス)をかけていた。
DJが、「ちょうどリリースされたばかりのニュー・シングルをご紹介しよう。チェアメン・オブ・ザ・ボードの『ギヴ・ミー・ジャスト・ア・リトル・モア・タイム』だ!」と言って、その曲がかかった。
ロジャースはその曲を聴くのは初めてではなく、すでにお気に入りになっていた。すると、一人のヴェトコン兵士がこの曲を口ずさんで一字一句同じように歌っていたのだ。しかも、「and our love will surely grow…bluuurrrtt」(約2分13秒あたり)の最後のブラッーという部分を巻き舌で歌うところまで真似ていたのだ。これにすっかり驚いたロジャースはその兵士に「英語はしゃべれるのか」と尋ねると、彼はなんとミシガン大学に行っていた、という。
アメリカの大学にまで行っていていた教育のある男がなぜヴェトコンに。「じゃあ、なんで君はこんなところで、窮地に立ってるんだ?」と聞くと彼はこう答えた。「北ヴェトナムの兵士がAK47のライフルを持ってやってきて、俺の妻、父母の頭に銃口を突きつけ、北の兵士にならなければ皆殺しにする、と脅してきた。だから、しかたなく北軍に入ったんだ。そして、最初の従軍であんたたちの捕虜になったんだよ」
それまで、ロジャースは、彼自身兵士として「人間ではない動物」として訓練され、敵もただの動物と思えと洗脳されてきた。だが、この日、この瞬間、初めて敵兵もひとりの人間だと思った、という。ロジャースは、「この出来事は私の人生のいかなる出来事よりも偏見というものを克服することに役立った」と振り返る。「あなたの音楽(ギヴ・ミー・ジャスト・リトル・モア・タイム)によって、それはほんの一瞬だったとしても、私や何千人もの人生の最悪の部分を少しでもよくしてくれたことに感謝したい」と言ったのだ。
これぞ、まさに「音楽の力(Power Of Music)」だ。
++++
月曜日深夜(2010年10月18日)、NHKスペシャルで『貧者の兵器とロボット兵器』(再放送)という番組をやっていた。アフガニスタンをアメリカ軍の無人ロボット飛行機が爆撃するというものだ。そして、敵のタリバンは人間自爆で向かってくる。アメリカ側はまさにゲーム感覚で爆撃をしている。ヴェトナム戦争は、現地でのゲリラ戦争だった。このゲーム感覚の戦争の中では、上のような話は起こらない。
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Give Me Just a Little More Time / In Session
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ENT>ESSAY>Give Me Just A Little More Time