2010年08月25日(水) 00時01分00秒 soulsearchinの投稿

■渋谷HMV、20年の歴史に幕 ~ ◆HMV渋谷閉店が残すもの

テーマ:ニュース関連
■渋谷HMV、20年の歴史に幕 ~ ◆HMV渋谷閉店が残すもの

【HMV Shibuya Closed Its Door After 20 Years】

閉店。

渋谷のCDショップ、HMV渋谷店が2010年8月22日(日)、約20年の営業を終えて、閉店した。同店が開店したのは、1990年11月16日、渋谷の109(道玄坂下)の中。その後1998年、渋谷西武の隣、センター街に引っ越した。HMVは現在まで20店舗以上が閉鎖されてきたが、旗艦店でもある渋谷店閉店は、音楽ファンに大きな衝撃を与えた。

最終営業日の8月22日には、同店2階で、沖野修也氏が音頭を取り、多くのミュージシャンがライヴを繰り広げファンを集めた。

$吉岡正晴のソウル・サーチン

After The Dance: 閉店したHMV (8月24日撮影)

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◆ HMV渋谷閉店が残すもの

【The Legacy Behind HMV Closing】

熱気。

最後の営業日に渋谷HMVをのぞいた。井の頭通り側の電光掲示板には、1990.11.16~2010.8.22の文字が映し出されている。入口近辺もひとだかり。2階でライヴをやっているのだが、そこはものすごい人。時間帯によっては、入場制限をかけていた。ステージ前までぎっしり人がつまっていてとても前には進めない。ちょうど、ルートソウルがライヴを行って、ファンキーなサウンドを繰り広げていた。途中からマルがヴォーカルで入っていた。後方だったので、音もがんがん来るわけではなく、しかも、異様に暑かったので、かなり息苦しかったが、ライヴ自体は熱く、それを見る観客の熱気もすごかった。これだけ音楽好きがいれば、閉店することもなかろうにと、ふと思ってしまうが、これも「最後だから」人が集まるのだろう。まさに「最終回シンドローム」の典型だ。それでも、こういうイヴェントが最後の日にできてよかったと思う。

CDショップの閉店は時代の流れで、もはやどうにも歯止めはかけられない。そりゃあ欲しいCDが決まってるときは、アマゾンで買うほうが圧倒的に便利。しかし、アナログのレコード店が完全にはなくならないように、数はかなり少なくなるがCDショップも完全にはなくならない。渋谷HMV閉店はその象徴的存在として語られるようになるだろう。(すでにそのように語られている)

今までもある程度そうだったが、これからの音楽家たちは、CDもしくはデジタル・データ、現物のCDであろうが、配信であろうが、録音された音源と、ライヴ音楽の二つをどうバランスよくやっていくか、明確なヴィジョンを持たなければならなくなっている。

海外ではマドンナなど、新譜CDは売れなくとも、ライヴ興行がビッグビジネスになっている。アメリカの業界で始まりだしたいわゆる「360度契約」というのが、ひとつの雛形(ひながた)だ。新譜CDの売り方も、今後はさらに模索されるだろう。プリンスの「新聞に付録でリリース」という形も、一般化するかどうかはともかく、試行錯誤の一方法だ。CD(あるいは音源)を宣伝メディアと割り切り、稼ぎはライヴで得る。そういう考え方が広まる可能性は大だ。

CDももちろん細々と残るが、パッケージはある種、今、我々がアナログ・アルバムを見つめるようなちょっとしたぜいたく品、回顧品になるのかもしれない。よい悪いは別にして、携帯で聞ければいいし、アイポッドかなにかそんなものに入って気軽に聴ければいい、と多くの人が思っている。無料ダウンロードも、違法ダウンロードも、それほどなくならないだろう。一方、ライヴはその現場に足を運ばなければならないから、これはヴァーチャルではなく、リアルだ。だが、ライヴに人を多く集めるためには、CDやダウンロードで曲がヒットしていないとだめだ。このあたりが難しい。にわとりが先か卵が先か、だ。

音楽業界が先細りしているのは、7年前に書いた下記記事が参考になる。要は音楽をミュージシャンも、聴き手も「消費財」にしたことが大きい、と僕は思う。とは言え、技術の進歩はあり、それを止めることはだれにもできない。それに加え、人々(若者)の生活が多様化し、音楽にかける資金量が圧倒的に減ったのだ。たとえば、20年前には毎月1-2万円を携帯にかけるという人はまれだった。おそらく、音楽にお金をかける余裕もあったに違いない。だがいまや携帯にそれくらいの金額は当たり前だ。

http://www.soulsearchin.com/soul-diary/archive/200310/diary20031013.html

仮に3000万人(ざっくり15歳から30歳で3000万人として)の人が毎月1000円、音楽あるいはCDなどに使えば、それだけで毎月300億円、年間で3600億円になる。現状は、音楽業界の売り上げは4300億円程度(CDなど約3600億、配信など約700億=2008年度)というから、あと、1000円余分に使ってもらえば、8000億近くに戻る。CD1枚(2000円)でなくとも、ダウンロードで6~7曲でもいい。しかし、若者にとってはこの「余分にあと月1000円」が出せないのが現状なのだ。

これは以前にも書いたが、ベリー・ゴーディーが有名な金曜朝のヒット曲選定会議で、Aという曲とBという曲、どちらを買うか、スタッフ全員に尋ねる。多数決で仮にAが票を集めたとしよう。そこでベリー・ゴーディーはさらに尋ねる。「このAという1ドルのシングル盤と、おなかがすいたときの1ドルのホットドッグ、どちらを選ぶか?」 それでも、Aが選ばれるなら、それをモータウンからシングル盤としてリリースしよう、もし、みんながホットドッグを選ぶなら、その曲はまだ何か足りない、リリースはお預けというわけだ。音楽ビジネスの真髄がここにある。今でもこの話は有効だ。ホットドッグより魅力的な楽曲はできたか、ということだ。敵は音楽業界内にいるだけではないのだ。

それにしても、HMVの最終日に集まったミュージシャンたちは、やはり熱い志を持った人たちばかりだ。ああいう形でミュージシャンが集まるっていうのは、なかなか素敵なこと。そうした中から、なんらかの次のムーヴメントが起これば、こんな素晴らしいことはない。そうなれば、HMV閉店の遺産が形になる。HMV死して、若手ミュージシャン結束強まる、なんてなれば、閉店も意義があったかと思う。


追記: そういえば、イチローのCMのときも似たような話をしたっけ。

2010年05月22日(土)
NTTのウェッブから削除されたイチローのエコCM
http://ameblo.jp/soulsearchin/entry-10541154808.html

ENT>NEWS>HMV
ESSAY>HMV

コメント

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1 ■レンタル

私はもぱっら、CD買いなので、DL、レンタルに縁がないのですね。
しかも、iチューンでなくWMP。
DLもCDより、安いかもしれないが、考えるとレンタルでアルバムを借りるほうが安上がり、当たり外れもあるので。
最近は、宅配レンタルもあり、便利であるが、ある意味、CDレンタル業界も危ない状況?なのでしょうか?
知り合いなどは、新譜はレンタルし、ライブの際、会場で購入し、本人にサインなどを頂く方式。

CDも雑誌業界と同じように、おまけ付きに走るんですかね?
しかし、売る為の多種のジャケ違いや、特典違い発売は、?

CDのワゴンセール等で、お買い特を探し当てたときの快感は、わかる人にしかわからないですね。
しかし、定価でかったアルバムが、安く売られていた時のショックもあえりますが・・・。

ところで、高音質CDは、DAPに落とした場合は、やはり、音は、ちがうんですかね?
最近、日本盤は、高音質仕様のアルバムが増えてますが。



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