2010年08月18日(水) 00時01分00秒
soulsearchinの投稿
◎タカヒロ・プロデュース「シックス・ドアーズ」~クラシックとヒップホップの融合
テーマ:ライヴ評・レポート
◎タカヒロ・プロデュース「シックス・ドアーズ」~クラシックとヒップホップの融合
【Fusion Of Classic And Hip Hop Dance】
融合。
ブログ読者のTさんから、ニューヨークで活躍するタカヒロのダンス・パフォーマンスがありますが、吉岡さんは見にいかないのですか、というメールが来た。僕は知らなかったが、いろいろ調べてみると、大変おもしろそうなので、2日目(=2010年8月15日・日曜・赤坂ブリッツ)の夜の部に見に行った。超満員で売り切れ、立ち見のみという感じで、観客は若い人から、けっこう高い年齢層の人もいた。どうやら、先日『徹子の部屋』に出演してその影響もあったらしい。
タカヒロは、ダンスをするために2004年12月にニューヨークにわたり、さまざまな経験をし、アポロのアマチュア・ナイトで9週連続優勝、さらに、2009年マドンナのツアーに参加したという実力者。ということは、ケント・モリと一緒だったのかな。アマチュア・ナイトで勝ち抜いたのもすごいが、マドンナのツアーに選ばれているなら、それだけでたいしたもの。
二部構成のパフォーマンスは、6人のダンサーによるもの。一言で言えば、クラシックとヒップホップのダンスが融合した見事なダンス・ショーだった。
舞台後方には6人の出演者のために6つのドアが置かれている。そこから出たり入ったり、6人の超絶ダンサーたちの超絶華麗ダンスが繰り広げられた。冒頭は、蛍光棒のような光るスティックを6人の演者が真っ暗な中でいろいろと動かし、その12本の棒でいろいろな絵柄を作る。なかなか楽しい。
こうしたダンス・ショーは、ステージ上の6人のパフォーマンスももちろんだが、その会場のすべての空気、雰囲気、会場自体の舞台装置、それらを含めて感じることこそ意味があるような気がする。もちろん、これがビデオに収録されて2次元映像となって、ある程度はつかめるかもしれないが、ここの会場で行われるパフォーマンスは、たとえ1000インチのテレビモニターがあっても、決して再現できない。音楽のライヴもそうだが、とくにこうした動きのあるダンス・パフォーマンスは現場そのもので見て感じないとだめだなあ、と強く思った。つまり、この空間でのこの瞬間のこの体験だけが、見る者に衝撃とときに感動を与える。
下記セットリストは、会場で配られたフライヤーにのっていたもの。長い演目も短い演目もあるが、どれも実に刺激を受ける。僕は最初もっと全編ヒップホップ的な踊りかと思ったら、もちろんヒップホップもあるが、それ以上にクラシックがベースになっている感じがした。だからある意味ものすごく正統派な印象を受ける。
6人とも抜群のダンスの切れを見せ、動きが素晴らしい。やわらかい美しい体の動きはクラシック仕込み、切れのいいグルーヴ感ある踊りはヒップホップ仕込みか。クラシックとヒップホップという一見水と油のような存在が、見事に溶け合っている。これには驚いた。加えて、コミカルなパントマイム風の動きもアクセントになっていておもしろい。
第一部で圧巻だったのは、下記セットリスト8の「カガミノセッテン」。2人のダンサーが、ちょうど鏡に映るように逆の動きを、寸分違わず行う。見ている者は、ちょうど2人の間に鏡があるように左右対称の動きを見る。実によくできた演目だ。相当練習したに違いない。
第二部の『自問自答』は僕にはちょっと難解だった。また、日本のテイストもいれた『女の戦い』は笑えた。
今回のライヴは、12の作品をオムニバス的に集めたショー(つまり、アルバムでいえば、シングルヒットを集めたベスト・アルバム)だが、たとえば、90分でひとつの大きなコンセプトあるいは、ストーリーで物語(スティーヴィーの『キー・オブ・ライフ』とか、何か映画を題材にしたもの)を作れたら、おもしろいものができるのではないかと思った。ふと思いついたのは、たとえば、映画『2001年宇宙の旅』をインスピレーションの元にして彼らがステージを作ったら、どうなるだろうなどと想像した。
タカヒロは、クラシック、バレエ、パントマイム、アフリカ、ストリート、ヒップホップ、そうしたダンスの要素を縦横無尽にクロスオーヴァーしてひとつの作品に昇華している。これには、振り付け・演出で参加しているイガール・ペリーという人物の存在も大きいのだろう。最後のフィナーレで、彼もステージにあがり、拍手喝さいを浴びていた。イガールはさまざまなダンス・カンパニーでバレエ・マスター、振り付け師としても活躍している人物だ。
会場で、タカヒロの写真エッセイ集を売っていたので買った。そこのプロフィールに彼の誕生日が書いてあった。上野隆博、1981年9月4日生まれ。なんと、またまたビヨンセと誕生日が一緒だ。ということは、日本の黒人演歌歌手ジェロとも同年同日だ。そして、ダンスを始めたのが大学生になってからだというので、2度びっくり。たった10年でここまでの域に達することができるなんて、なんとすごい努力家なのだろう。ダンスを志す者は、一見をお勧めする。
■ テレビ番組『情熱大陸』(TBS/MBS系列)で2010年8月22日(日曜)午後11時から、タカヒロを特集
■タカヒロ・公式ウェッブ
http://www.takahiroueno.com/
■ 上野隆博著 Takahiro: Dance In The World (ダイヤモンド社、1800円)
■メンバー
Takahiro (上野隆博)
Ebiken (蛯名健一)
Shay Bares (シェイ・バレス)
Junichi Fukuda (福田純一)
Christopher Ralph (クリストファー・ラルフ)
Jamal Rashann Callender (ジャマール)
振り付け・芸術監督
Igal Perry (イガール・ペリー)
■セットリスト タカヒロ・プロデュース・ニューヨーク・ダンス舞台公演
Setlist: Takahiro Produce “Six Doors”
第一幕
show started 18:33
1. The Birth 『創世』
2. It’s Takahiro’s Showtime!
3. The Movement 『ザ・ムーヴメント』
4. First Flight 『初飛翔』
5. Butterflies 『蝶々』
6. Rain 『雨』
7. 4 Doors 『四の扉』
8. Junction Of Worlds ~ Mirror~『カガミノセッテン』
Performance ended 19:12
Break
第二幕
show started 19:29
--. Video
9. Talkin’ To Yourself!!! 『自問自答』
10. Moonlight 『月の光』
11. Woman Wars 『女の戦い』
12. Nightmare Spiral 『夢から目覚めた夢を見て眠る』
13. The Six Doors 『フィナーレ』
Show ended 20:11
(2010年8月15日日曜、赤坂ブリッツ=Six Doors/ Takahiro ライヴ)
ENT>MUSIC>LIVE>Six Doors
2010-131
【Fusion Of Classic And Hip Hop Dance】
融合。
ブログ読者のTさんから、ニューヨークで活躍するタカヒロのダンス・パフォーマンスがありますが、吉岡さんは見にいかないのですか、というメールが来た。僕は知らなかったが、いろいろ調べてみると、大変おもしろそうなので、2日目(=2010年8月15日・日曜・赤坂ブリッツ)の夜の部に見に行った。超満員で売り切れ、立ち見のみという感じで、観客は若い人から、けっこう高い年齢層の人もいた。どうやら、先日『徹子の部屋』に出演してその影響もあったらしい。
タカヒロは、ダンスをするために2004年12月にニューヨークにわたり、さまざまな経験をし、アポロのアマチュア・ナイトで9週連続優勝、さらに、2009年マドンナのツアーに参加したという実力者。ということは、ケント・モリと一緒だったのかな。アマチュア・ナイトで勝ち抜いたのもすごいが、マドンナのツアーに選ばれているなら、それだけでたいしたもの。
二部構成のパフォーマンスは、6人のダンサーによるもの。一言で言えば、クラシックとヒップホップのダンスが融合した見事なダンス・ショーだった。
舞台後方には6人の出演者のために6つのドアが置かれている。そこから出たり入ったり、6人の超絶ダンサーたちの超絶華麗ダンスが繰り広げられた。冒頭は、蛍光棒のような光るスティックを6人の演者が真っ暗な中でいろいろと動かし、その12本の棒でいろいろな絵柄を作る。なかなか楽しい。
こうしたダンス・ショーは、ステージ上の6人のパフォーマンスももちろんだが、その会場のすべての空気、雰囲気、会場自体の舞台装置、それらを含めて感じることこそ意味があるような気がする。もちろん、これがビデオに収録されて2次元映像となって、ある程度はつかめるかもしれないが、ここの会場で行われるパフォーマンスは、たとえ1000インチのテレビモニターがあっても、決して再現できない。音楽のライヴもそうだが、とくにこうした動きのあるダンス・パフォーマンスは現場そのもので見て感じないとだめだなあ、と強く思った。つまり、この空間でのこの瞬間のこの体験だけが、見る者に衝撃とときに感動を与える。
下記セットリストは、会場で配られたフライヤーにのっていたもの。長い演目も短い演目もあるが、どれも実に刺激を受ける。僕は最初もっと全編ヒップホップ的な踊りかと思ったら、もちろんヒップホップもあるが、それ以上にクラシックがベースになっている感じがした。だからある意味ものすごく正統派な印象を受ける。
6人とも抜群のダンスの切れを見せ、動きが素晴らしい。やわらかい美しい体の動きはクラシック仕込み、切れのいいグルーヴ感ある踊りはヒップホップ仕込みか。クラシックとヒップホップという一見水と油のような存在が、見事に溶け合っている。これには驚いた。加えて、コミカルなパントマイム風の動きもアクセントになっていておもしろい。
第一部で圧巻だったのは、下記セットリスト8の「カガミノセッテン」。2人のダンサーが、ちょうど鏡に映るように逆の動きを、寸分違わず行う。見ている者は、ちょうど2人の間に鏡があるように左右対称の動きを見る。実によくできた演目だ。相当練習したに違いない。
第二部の『自問自答』は僕にはちょっと難解だった。また、日本のテイストもいれた『女の戦い』は笑えた。
今回のライヴは、12の作品をオムニバス的に集めたショー(つまり、アルバムでいえば、シングルヒットを集めたベスト・アルバム)だが、たとえば、90分でひとつの大きなコンセプトあるいは、ストーリーで物語(スティーヴィーの『キー・オブ・ライフ』とか、何か映画を題材にしたもの)を作れたら、おもしろいものができるのではないかと思った。ふと思いついたのは、たとえば、映画『2001年宇宙の旅』をインスピレーションの元にして彼らがステージを作ったら、どうなるだろうなどと想像した。
タカヒロは、クラシック、バレエ、パントマイム、アフリカ、ストリート、ヒップホップ、そうしたダンスの要素を縦横無尽にクロスオーヴァーしてひとつの作品に昇華している。これには、振り付け・演出で参加しているイガール・ペリーという人物の存在も大きいのだろう。最後のフィナーレで、彼もステージにあがり、拍手喝さいを浴びていた。イガールはさまざまなダンス・カンパニーでバレエ・マスター、振り付け師としても活躍している人物だ。
会場で、タカヒロの写真エッセイ集を売っていたので買った。そこのプロフィールに彼の誕生日が書いてあった。上野隆博、1981年9月4日生まれ。なんと、またまたビヨンセと誕生日が一緒だ。ということは、日本の黒人演歌歌手ジェロとも同年同日だ。そして、ダンスを始めたのが大学生になってからだというので、2度びっくり。たった10年でここまでの域に達することができるなんて、なんとすごい努力家なのだろう。ダンスを志す者は、一見をお勧めする。
■ テレビ番組『情熱大陸』(TBS/MBS系列)で2010年8月22日(日曜)午後11時から、タカヒロを特集
■タカヒロ・公式ウェッブ
http://www.takahiroueno.com/
■ 上野隆博著 Takahiro: Dance In The World (ダイヤモンド社、1800円)
TAKAHIRO DANCE in the World
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上野 隆博
ダイヤモンド社
売り上げランキング: 4789
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■メンバー
Takahiro (上野隆博)
Ebiken (蛯名健一)
Shay Bares (シェイ・バレス)
Junichi Fukuda (福田純一)
Christopher Ralph (クリストファー・ラルフ)
Jamal Rashann Callender (ジャマール)
振り付け・芸術監督
Igal Perry (イガール・ペリー)
■セットリスト タカヒロ・プロデュース・ニューヨーク・ダンス舞台公演
Setlist: Takahiro Produce “Six Doors”
第一幕
show started 18:33
1. The Birth 『創世』
2. It’s Takahiro’s Showtime!
3. The Movement 『ザ・ムーヴメント』
4. First Flight 『初飛翔』
5. Butterflies 『蝶々』
6. Rain 『雨』
7. 4 Doors 『四の扉』
8. Junction Of Worlds ~ Mirror~『カガミノセッテン』
Performance ended 19:12
Break
第二幕
show started 19:29
--. Video
9. Talkin’ To Yourself!!! 『自問自答』
10. Moonlight 『月の光』
11. Woman Wars 『女の戦い』
12. Nightmare Spiral 『夢から目覚めた夢を見て眠る』
13. The Six Doors 『フィナーレ』
Show ended 20:11
(2010年8月15日日曜、赤坂ブリッツ=Six Doors/ Takahiro ライヴ)
ENT>MUSIC>LIVE>Six Doors
2010-131