2010年07月12日(月) 05時00分00秒
soulsearchinの投稿
■レイラ・ハサウェイ~スペースのある自由度あふれるライヴ
テーマ:ライヴ評・レポート
■レイラ・ハサウェイ~スペースのある自由度あふれるライヴ
【Lalah Hathaway : A Lot Of Flexibility With Freedom Space On Musical World】
自由度。
最近では2003年に2回、2004年5月、2006年2月、そして2008年5月と来日しているレイラ・ハサウェイの約2年2ヶ月ぶりのライヴ。コンスタントに来日しては多くのファンを魅了してきているレイラ・ハサウェイ。一言で言えば、シンガーとしてアーティストとして素晴らしい。
7年前に書いたライヴ評から引用しよう。
「彼女が歌えば、アルファベットの羅列である単語に息吹が与えられ、単語の連続である文章に生命が宿り、メロディーとともにソウルが浮かび上がる」
今回のバンドは、直前にニューオーリンズで行われたエッセンス・ミュージック・フェスティヴァルでのライヴと来日ツアー用のバンドということだが、レイラのミュージシャンの操り方がやはりうまい。ミュージシャンにスペースと自由を与え、彼らにいつでもどこでもソロを取らせたり、自分も自由にメロディーをもてあそびあらゆる音階を行き来する。まさに音と楽しむ、だ。そのミュージシャンの音の楽しみ方は、リスナーにも伝わる。全体的な音楽性、バンド自体は普通のソウル系シンガーのものとは格が一段も二段も上だ。
今回も見所はいくつもあったが、驚いたことに、この日は客席にキーボード奏者として名高いパトリース・ラッシェンが来ていて、長尺の「サマータイム」の途中で見事なキーボード・ソロを披露してくれた。レイラはステージでラッシェンの大ヒット曲「フォーゲット・ミー・ノッツ(忘れな草)」の一部を歌いだし、「この曲は私が初めてジェラルド(・オルブライト)のホーン・ソロを覚えた曲なの」と紹介した。「サマータイム」は、レイラがほぼ毎回ステージで歌う曲だが、これが毎回違うアレンジ、テンポだったりして、自由に変化させている。「サマータイム」に「フォーゲット・ミー・ノッツ」を乗せるあたりがすごい。ラッシェンのソロは、さすがに熟練という感じで、同じキーボードでも奏者が違うと音が変わるというのが如実にでるからおもしろい。
前回来日時にもやっていたが、彼女が歌うルーサー・ヴァンドロスの「フォーエヴァー・フォー・オールウェイズ・フォー・ラヴ」は何度聴いても素晴らしい。ルーサーも思い浮かび、一方でレイラ節も存分に出る。彼女は多数のカヴァーを歌うが、何度も書いているが楽曲の解釈力、咀嚼力が抜群に素晴らしい。これは、アレサ・フランクリンなどに匹敵する。この曲の後半で今回参加の日本人ギタリスト、松野 啓太さんが徐々にソロをビルドアップし後半大いに盛り上げた。ソロが終わると、観客の一部がスタンディング・オヴェーションになった。お見事。おもしろかったのは、それや、パトリースのソロに影響を受けてか、予定になかったにもかかわらず、その後すぐにキーボードのマイケルがソロをやりだし、歌おうとしたレイラが「it’s alright」(わかった、いいわよ)とソロを認めたのだ。かなり長尺のソロだったが、ソロ終了後スタンディング・オヴェーションはなかった。(笑) さて、これは?(笑)
そして、もう一箇所、最大のハイライトがマイケル・ジャクソン・メドレー。「ロック・ウィズ・ユー」をベースにして、以後は自由にレイラがマイケルの曲をどんどん歌っていく。いやあ、これにはまいった。次々と、おなじみのヒットが、レイラ節で畳み掛けられ歌われる。ミュージシャンも、次に彼女が何を歌うのか知らない。その日の気分によって、若干曲も入れ替わるようだ。土曜日モーション・ブルーでは、「マン・イン・ザ・ミラー」が入っていたそうだ。ほんの数小節ではあるが10曲もマイケル曲が一気に歌われるなんて初めて聴いた。このメドレーはなるほどこういうやり方があるか、と思わせられた。これも、レイラの音楽的自由度の高さゆえだろう。
彼女のヒットのひとつ「イッツ・サムシング」では、スキャットが自由自在に、まさに変幻自在に、声色七変化が聴かれる。それはまさに大空を自由に飛ぶフリーバードのようだ。本当にワン&オンリーのシンガーだ。この日、レイラはサンダルを履いていた。
今回、土曜日にモーションで飛び入りしたトク、AI、それにマル、アムリタ賢二さんなどと一緒に見ることになったのだが、レイラの低い魅力的な歌声って、AIなんかとちょっと共通するところがあるなとも感じた。AIは、「やばいっす、やばいっす」とレイラのことを心底気に入ったようだった。
(この項、続く)
■ レイラ・ハサウェイ・ライヴはブルーノートで水曜(2010年7月14日)まで。
http://www.bluenote.co.jp/jp/index.html
■ レイラ・ハサウェイ・オフィシャル
http://lalahhathaway.com/index.html
■ レイラ・ハサウェイ過去関連記事
(Soul Searchin’ Archives On Lalah Hathaway)
2008年05月14日(水)
レイラ・ハザウェイ~ダニーに抱きしめられて
http://ameblo.jp/soulsearchin/day-20080514.html
前回来日ライヴ評。
February 04, 2006
Lalah Hathaway: Some Songs Were Too Long
http://blog.soulsearchin.com/archives/000809.html
前々回来日ライヴ評。
>さらに過去関連記事
1999年6月8日
ジョー・サンプル&レイラ・ハザウエイ・ライヴ評。『魔術師の指』
http://www.soulsearchin.com/entertainment/music/live/sample19990608.html
アルバム『ソング・リヴズ・オン』発売後のライヴ。
2003/02/15 (Sat)
Barefoot Diva:Lalah Hathaway「裸足のディーヴァ:レイラ・ハザウェイ」
http://www.soulsearchin.com/soul-diary/archive/200302/diary20030215.html
2003年来日時ライヴ。
2003年2月14日
http://www.soulsearchin.com/entertainment/music/live/lalah20030214.html
レイラ・ライヴ評。新聞用とオルタナティヴ・ヴァージョン。
2003年4月30日
http://www.soulsearchin.com/soul-diary/archive/200304/diary20030430.html
レイラのウェッブから。Knocking on Father's Door (レイラが父ダニーの作品をどう思っているかなどについて)
2003年8月19日
http://www.soulsearchin.com/soul-diary/archive/200308/diary20030819.html
レイラ、マーカス、テイク6らのライヴ評。レイラ、「サムデイ・ウィル・ビー・トゥゲザー」を歌う
2004/05/11 (Tue)
As If Two Hathaways As One: Lalah Hathaway & Frank McComb Live
http://www.soulsearchin.com/soul-diary/archive/200405/diary20040511.html/
レイラ&フランク・マッコムのライヴ評
■ レイラ・ハサウェイ最新盤
ジョー・サンプルとのデュオ=レイラの最高傑作
2004年、前作。
■ メンバー
レイラ・ハサウェイ(ヴォーカル)Lalah Hathaway(vo)
ジェイソン・モラレス(ヴォーカル)Jason Morales(vo)
マイケル・アーバーグ(キーボード)Michael Aaberg(key)
松野 啓太(ギター)Kay-Ta Matsuno(g)
ジャイルス・モゼー(ベース)Jairus Mozee(b)
エリック・ブラウン(ドラムス)Eric Brown(ds)
■ セットリスト レイラ・ハサウェイ 7月11日日曜ブルーノート東京
Setlist : Lalah Hathaway July 11, 2010; Blue Note Tokyo
Show started 20:49
01. Let Go
02. Breathe
03. One Day I’ll Fly Away
04. Summertime [featuring Patrice Rushen] ~ including riff of “Forget Me Nots”"Remind Me" etc.
05. When Your Life Was Low
06. Better & Better
07. Forever, For Always, For Love
08. Michael Jackson Medley: Rock With You ~ Human Nature ~ I Wanna Be Where You Are ~ Remember The Time ~ You Are Not Alone ~ Wanna Be Startin’ Something ~ Never Can Say Goodbye ~ Billie Jean ~ Thriller ~ Girl Friend ~ Forget Me Nots ~ Rock With You
09. It’s Something
Enc. Street Life
Show ended 22:23
(2010年7月11日日曜、青山ブルーノート東京=レイラ・ハサウェイ・ライヴ)
ENT>MUSIC>LIVE>Hathaway, Lalah
2010-100
【Lalah Hathaway : A Lot Of Flexibility With Freedom Space On Musical World】
自由度。
最近では2003年に2回、2004年5月、2006年2月、そして2008年5月と来日しているレイラ・ハサウェイの約2年2ヶ月ぶりのライヴ。コンスタントに来日しては多くのファンを魅了してきているレイラ・ハサウェイ。一言で言えば、シンガーとしてアーティストとして素晴らしい。
7年前に書いたライヴ評から引用しよう。
「彼女が歌えば、アルファベットの羅列である単語に息吹が与えられ、単語の連続である文章に生命が宿り、メロディーとともにソウルが浮かび上がる」
今回のバンドは、直前にニューオーリンズで行われたエッセンス・ミュージック・フェスティヴァルでのライヴと来日ツアー用のバンドということだが、レイラのミュージシャンの操り方がやはりうまい。ミュージシャンにスペースと自由を与え、彼らにいつでもどこでもソロを取らせたり、自分も自由にメロディーをもてあそびあらゆる音階を行き来する。まさに音と楽しむ、だ。そのミュージシャンの音の楽しみ方は、リスナーにも伝わる。全体的な音楽性、バンド自体は普通のソウル系シンガーのものとは格が一段も二段も上だ。
今回も見所はいくつもあったが、驚いたことに、この日は客席にキーボード奏者として名高いパトリース・ラッシェンが来ていて、長尺の「サマータイム」の途中で見事なキーボード・ソロを披露してくれた。レイラはステージでラッシェンの大ヒット曲「フォーゲット・ミー・ノッツ(忘れな草)」の一部を歌いだし、「この曲は私が初めてジェラルド(・オルブライト)のホーン・ソロを覚えた曲なの」と紹介した。「サマータイム」は、レイラがほぼ毎回ステージで歌う曲だが、これが毎回違うアレンジ、テンポだったりして、自由に変化させている。「サマータイム」に「フォーゲット・ミー・ノッツ」を乗せるあたりがすごい。ラッシェンのソロは、さすがに熟練という感じで、同じキーボードでも奏者が違うと音が変わるというのが如実にでるからおもしろい。
前回来日時にもやっていたが、彼女が歌うルーサー・ヴァンドロスの「フォーエヴァー・フォー・オールウェイズ・フォー・ラヴ」は何度聴いても素晴らしい。ルーサーも思い浮かび、一方でレイラ節も存分に出る。彼女は多数のカヴァーを歌うが、何度も書いているが楽曲の解釈力、咀嚼力が抜群に素晴らしい。これは、アレサ・フランクリンなどに匹敵する。この曲の後半で今回参加の日本人ギタリスト、松野 啓太さんが徐々にソロをビルドアップし後半大いに盛り上げた。ソロが終わると、観客の一部がスタンディング・オヴェーションになった。お見事。おもしろかったのは、それや、パトリースのソロに影響を受けてか、予定になかったにもかかわらず、その後すぐにキーボードのマイケルがソロをやりだし、歌おうとしたレイラが「it’s alright」(わかった、いいわよ)とソロを認めたのだ。かなり長尺のソロだったが、ソロ終了後スタンディング・オヴェーションはなかった。(笑) さて、これは?(笑)
そして、もう一箇所、最大のハイライトがマイケル・ジャクソン・メドレー。「ロック・ウィズ・ユー」をベースにして、以後は自由にレイラがマイケルの曲をどんどん歌っていく。いやあ、これにはまいった。次々と、おなじみのヒットが、レイラ節で畳み掛けられ歌われる。ミュージシャンも、次に彼女が何を歌うのか知らない。その日の気分によって、若干曲も入れ替わるようだ。土曜日モーション・ブルーでは、「マン・イン・ザ・ミラー」が入っていたそうだ。ほんの数小節ではあるが10曲もマイケル曲が一気に歌われるなんて初めて聴いた。このメドレーはなるほどこういうやり方があるか、と思わせられた。これも、レイラの音楽的自由度の高さゆえだろう。
彼女のヒットのひとつ「イッツ・サムシング」では、スキャットが自由自在に、まさに変幻自在に、声色七変化が聴かれる。それはまさに大空を自由に飛ぶフリーバードのようだ。本当にワン&オンリーのシンガーだ。この日、レイラはサンダルを履いていた。
今回、土曜日にモーションで飛び入りしたトク、AI、それにマル、アムリタ賢二さんなどと一緒に見ることになったのだが、レイラの低い魅力的な歌声って、AIなんかとちょっと共通するところがあるなとも感じた。AIは、「やばいっす、やばいっす」とレイラのことを心底気に入ったようだった。
(この項、続く)
■ レイラ・ハサウェイ・ライヴはブルーノートで水曜(2010年7月14日)まで。
http://www.bluenote.co.jp/jp/index.html
■ レイラ・ハサウェイ・オフィシャル
http://lalahhathaway.com/index.html
■ レイラ・ハサウェイ過去関連記事
(Soul Searchin’ Archives On Lalah Hathaway)
2008年05月14日(水)
レイラ・ハザウェイ~ダニーに抱きしめられて
http://ameblo.jp/soulsearchin/day-20080514.html
前回来日ライヴ評。
February 04, 2006
Lalah Hathaway: Some Songs Were Too Long
http://blog.soulsearchin.com/archives/000809.html
前々回来日ライヴ評。
>さらに過去関連記事
1999年6月8日
ジョー・サンプル&レイラ・ハザウエイ・ライヴ評。『魔術師の指』
http://www.soulsearchin.com/entertainment/music/live/sample19990608.html
アルバム『ソング・リヴズ・オン』発売後のライヴ。
2003/02/15 (Sat)
Barefoot Diva:Lalah Hathaway「裸足のディーヴァ:レイラ・ハザウェイ」
http://www.soulsearchin.com/soul-diary/archive/200302/diary20030215.html
2003年来日時ライヴ。
2003年2月14日
http://www.soulsearchin.com/entertainment/music/live/lalah20030214.html
レイラ・ライヴ評。新聞用とオルタナティヴ・ヴァージョン。
2003年4月30日
http://www.soulsearchin.com/soul-diary/archive/200304/diary20030430.html
レイラのウェッブから。Knocking on Father's Door (レイラが父ダニーの作品をどう思っているかなどについて)
2003年8月19日
http://www.soulsearchin.com/soul-diary/archive/200308/diary20030819.html
レイラ、マーカス、テイク6らのライヴ評。レイラ、「サムデイ・ウィル・ビー・トゥゲザー」を歌う
2004/05/11 (Tue)
As If Two Hathaways As One: Lalah Hathaway & Frank McComb Live
http://www.soulsearchin.com/soul-diary/archive/200405/diary20040511.html/
レイラ&フランク・マッコムのライヴ評
■ レイラ・ハサウェイ最新盤
セルフ・ポートレイト~レイラ・ハサウェイの肖像
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レイラ・ハサウェイ
ユニバーサル ミュージック クラシック (2008-05-03)
売り上げランキング: 20202
ユニバーサル ミュージック クラシック (2008-05-03)
売り上げランキング: 20202
ジョー・サンプルとのデュオ=レイラの最高傑作
Song Lives on
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Joe Sample Lalah Hathaway
Pra Records (2008-04-29)
売り上げランキング: 76717
Pra Records (2008-04-29)
売り上げランキング: 76717
2004年、前作。
Outrun the Sky
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Lalah Hathaway
Pyramid Records (2004-09-28)
売り上げランキング: 51909
Pyramid Records (2004-09-28)
売り上げランキング: 51909
■ メンバー
レイラ・ハサウェイ(ヴォーカル)Lalah Hathaway(vo)
ジェイソン・モラレス(ヴォーカル)Jason Morales(vo)
マイケル・アーバーグ(キーボード)Michael Aaberg(key)
松野 啓太(ギター)Kay-Ta Matsuno(g)
ジャイルス・モゼー(ベース)Jairus Mozee(b)
エリック・ブラウン(ドラムス)Eric Brown(ds)
■ セットリスト レイラ・ハサウェイ 7月11日日曜ブルーノート東京
Setlist : Lalah Hathaway July 11, 2010; Blue Note Tokyo
Show started 20:49
01. Let Go
02. Breathe
03. One Day I’ll Fly Away
04. Summertime [featuring Patrice Rushen] ~ including riff of “Forget Me Nots”"Remind Me" etc.
05. When Your Life Was Low
06. Better & Better
07. Forever, For Always, For Love
08. Michael Jackson Medley: Rock With You ~ Human Nature ~ I Wanna Be Where You Are ~ Remember The Time ~ You Are Not Alone ~ Wanna Be Startin’ Something ~ Never Can Say Goodbye ~ Billie Jean ~ Thriller ~ Girl Friend ~ Forget Me Nots ~ Rock With You
09. It’s Something
Enc. Street Life
Show ended 22:23
(2010年7月11日日曜、青山ブルーノート東京=レイラ・ハサウェイ・ライヴ)
ENT>MUSIC>LIVE>Hathaway, Lalah
2010-100