2010年05月31日(月) 00時01分00秒
soulsearchinの投稿
★キング・ソロモン・バークのピュアなハートとソウル (パート1)
テーマ:ライヴ評・レポート
★キング・ソロモン・バークのピュアなハートとソウル (パート1)
(ライヴ内容でます。これからごらんになる方はご注意ください。)
【King Solomon Burke: Pure Heart And Soul】
ソウル。
来日していない最後の大物。確かに何人かそういうアーティストはいる。だが、キング・ソロモンことソロモン・バークはそんな中でも格別のアーティストだ。今では彼は「キング・オブ・ロックン・ソウル」と言われる。1940年3月21日フィラデルフィア生まれ(1936年2月22日生まれ説も)としても、現在70歳。1950年代から活躍し、全盛期の60年代の活動ぶりは僕も知らない。だからまさか彼のライヴを日本で拝めるとは思っていなかった。2002年に出たジョー・ヘンリー・プロデュースのアルバム『ドント・ギヴ・アップ・オン・ミー』のおかげ。これがグラミー賞を獲得しなければ、現在の彼の派手な復活振りはなく、そして来日もなかっただろう。彼の来日、神に感謝だ。
25回目を迎える『ジャパン・ブルーズ&ソウル・カーニヴァル』のアーティストとして初来日、初登場。客層は例年同様年齢層高く、7-8割は男性。今年はバーナード・アリソンが急病のために来日中止となり、ピンチヒッターでジョー・ルイス・ウォーカーが登場。
さてソロモンはトリに登場。9歳から天才説教師として知られてきたソロモン・バークは、ゴスペル、さらにブルーズ、リズム&ブルーズも歌って、世界的人気を博した超ヴェテランだ。ヒット曲もたくさんあるが、ほとんどが1960年代のもの。
ステージ中央には大きな真っ赤な椅子、その周囲にはゴールドが飾られている。それはキングス・チェア。そして、舞台下手(観客席から見て左)からそのキングス・チェアに向かってレッドカーペットが敷かれていた。これこそはステージへの王道、キングス・ロードだ。
バンド編成は、超豪華。ドラムス、ギター2、ベース、キーボード2、ホーン4、コーラス2、そしてヴァイオリン2の計14人だ。一人のシンガーでここまでのバンドは、なかなかめったにない。まさにキングス・バンド。(2日目は15人)
バンドが1曲目「ナッシングス・インポッシブル」(同名最新作のタイトル曲)を演奏しだすと、ステージの明かりが消え暗闇に。しばし、演奏が続き、ぱっとライトが点くと、さきほどまで空だった大きなキングス・チェアにキング・ソロモンが堂々と鎮座ましましていた。瞬間移動か。(笑) そして、一声出す。が~~ん、ものすごい迫力だ。70歳超えの声とは思えない。どうやら足は悪いようだが、声は完璧だ。ミディアム調、バラード、ヒット曲メドレーと次々と歌っていく。そして、その合間になんども観客に向かって「Are you with me(ついてきてるか、みんな)」、「Easy, easy, easy(ゆったり、落ち着いて、のんびり行こう)」と声をかける。
座って歌っても、こんなに声が出るのか。遠めには小錦あたりが歌っているように見える。途中で、ちょこちょこ話をするが、実に滑舌(かつぜつ)がよく、話に引き込まれる感じがした。それを聞いていてキング・ソロモンが若い頃から天才説教師だったことを思い出した。この調子で教会で話せば、誰もが彼の説教に納得し、気分も高揚してくるだろう。歌う以前に説教師だったのだ。途中の話とともに、曲に乗ってのモノローグ(ナレーション)がまた実にかっこいい。
そんなトークの中で、キング・ソロモンは、自分には21人の子供と90人の孫がいる、その子供のうちのひとりを紹介しよう、といって女性コーラス(キャンディー)を紹介し、彼女はグローリア・ゲイナーのヒット「アイ・ウィル・サヴァイヴ」を歌った。また、もうひとりの男性コーラスもソロモンの息子で、彼は「キープ・ア・ライト・イン・ザ・ウィンドウ」を歌った。息子もかなりいい感じで、ちょっとアル・グリーンを思わせた。(しかし、子供と孫合計111人って、名前、絶対に全部覚えられないだろうなあ)
そして、歌ももちろんはっきりと単語が聞こえる。そこにはゴスペルの煽り(あおり)からブルーズの悲しみ、リズム&ブルーズの快活さがすべて備わっていた。ちょうど、キング・ソロモンがオーティス・レディングの曲をメドレーでやったシーンがあったが、これを聴いていると、オーティスや、ディクション(発音)がさらにいいサム・クックあたりが、今、生きていてライヴをやったら、こうなったのではないかと確信した。いわば、キング・ソロモンのライヴには、オーティスやサムの言霊が宿っていたようにさえ思えた。それもこれも、すべてソロモンの声が、日比谷の夜空に堂々と突き抜けたからだ。繰り返すが座してあの声量はすごい。
ハモンドB3のオルガンがなり、渋いギターが爪弾かれると、南部の教会か、サザン・ソウルを聴かせるジュークジョイントさながらになる。
最後の曲「エヴリバディー・ニーズ・サムバディー・トゥ・ラヴ」から「ホエン・ザ・セインツ・ゴー・マーチン・イン(聖者の行進)」になると、歌いながらも、ステージが始まったときと同じように真っ暗になった。演奏が長く続き、明るくなると、キングの姿はなかった。双眼鏡で暗くなったステージを見ていたら、キング・チェアから車椅子に乗り換え、車椅子でレッドカーペットを下がっていっていた。なるほど、出入りは車椅子だったのだ。
時折風が吹くと、ちょっと寒かったが、このソウルは熱かった。人間国宝、キング・ソロモン・バーク。それにしても、わずか64分だったが見事にピュアなハート&ソウル・ショーだった。
(この項続く)
●ソロモン・バークのライヴは5月31日(月)名古屋ザ・ボトム・ライン、6月1日(火)大阪なんば・ハッチであります。
■ソロモン・バーク 最新盤
キング・ソロモン+アイ・ウィッシュ・アイ・ニュー
The Very Best of Solomon Burke
■ 過去記事
2010年03月10日(水) 付けブログ↓
ソロモン・バーク初来日へ~『ブルーズ&ソウル・カーニヴァル』出演で
http://ameblo.jp/soulsearchin/entry-10477897752.html
2010年04月09日(金)
ジョー・ヘンリーからソロモン・バークへの伝言
http://ameblo.jp/soulsearchin/day-20100409.html
■ メンバー
Solomon Burke Tour Member
1. Solomon Burke (Vocal)
2. Selassie Burke (BG Vocal)
3. Candy Burke (BG Vocal)
4. Rudy Copeland (Organ)
5. John Wargo (Guitar)
6. William Magid (Trumpet)
7. Keith Ladinsky (Keyboard)
8. Daniel Hofmann (Sax)
9. Aaldert Weelden (Bass)
10. Carle Vickers (Sax, Trumpet)
11. Raffaella Stirpe (Viola)
12. Samuel Mayfield JR (Guitar)
13. Simona Mana (Violin)
14. Mandale McGee (Drum)
15. Aya Toyoshima (Trombone)
16. Sophia (background vocal) on day two
■セットリスト ソロモン・バーク 2010年5月29日(土)
Setlist : Solomon Burke, Hibiya Yagai Ongakudou, May 29,2010
show started 19:26
01. Nothing’s Impossible
02. Diamond In Your Mind
03. Cry To Me
04. Fast Train [Van Morrison]
05. That’s How I Got To Memphis
06. Down In The Valley
07. Hits Medley: Tonight’s The Night ~ If You Need Me ~ He'll Have To Go ~ I Almost Lost My Baby [Albert King, Hank Williams, written by Ivory Joe Hunter] ~ Just Out Of Reach (Of My Two Empty Arms) ~
08. I Wish I Knew (How It Would Feel to Be Free)
09. Keep A Light In The Window Till I Come Home (Solomon’s son sings)
10. I Will Survive (Solomon’s daughter sings) [Gloria Gaynor]
11. None Of Us Are Free
12. Don’t Give Up On Me
13. Medley: Sitting On The Dock Of The Bay ~ Fa Fa Fa [Otis Redding] ~Stand By Me [Ben E King]
14. What A Wonderful World [Louis Armstrong]
15. If I Give My Heart To You
16. Everybody Needs Somebody To Love
17. When The Saints Go Marching In [Louis Armstrong]
Show ended 20:30
【2010年5月29日土曜、日比谷野外音楽堂=ジャパン・ブルーズ・アンド・ソウル・カーニヴァル=ソロモン・バーク・ライヴ】
ENT>MUSIC>LIVE>Japan Blues & Soul Carnival>Burke, Solomon
2010-80
(ライヴ内容でます。これからごらんになる方はご注意ください。)
【King Solomon Burke: Pure Heart And Soul】
ソウル。
来日していない最後の大物。確かに何人かそういうアーティストはいる。だが、キング・ソロモンことソロモン・バークはそんな中でも格別のアーティストだ。今では彼は「キング・オブ・ロックン・ソウル」と言われる。1940年3月21日フィラデルフィア生まれ(1936年2月22日生まれ説も)としても、現在70歳。1950年代から活躍し、全盛期の60年代の活動ぶりは僕も知らない。だからまさか彼のライヴを日本で拝めるとは思っていなかった。2002年に出たジョー・ヘンリー・プロデュースのアルバム『ドント・ギヴ・アップ・オン・ミー』のおかげ。これがグラミー賞を獲得しなければ、現在の彼の派手な復活振りはなく、そして来日もなかっただろう。彼の来日、神に感謝だ。
25回目を迎える『ジャパン・ブルーズ&ソウル・カーニヴァル』のアーティストとして初来日、初登場。客層は例年同様年齢層高く、7-8割は男性。今年はバーナード・アリソンが急病のために来日中止となり、ピンチヒッターでジョー・ルイス・ウォーカーが登場。
さてソロモンはトリに登場。9歳から天才説教師として知られてきたソロモン・バークは、ゴスペル、さらにブルーズ、リズム&ブルーズも歌って、世界的人気を博した超ヴェテランだ。ヒット曲もたくさんあるが、ほとんどが1960年代のもの。
ステージ中央には大きな真っ赤な椅子、その周囲にはゴールドが飾られている。それはキングス・チェア。そして、舞台下手(観客席から見て左)からそのキングス・チェアに向かってレッドカーペットが敷かれていた。これこそはステージへの王道、キングス・ロードだ。
バンド編成は、超豪華。ドラムス、ギター2、ベース、キーボード2、ホーン4、コーラス2、そしてヴァイオリン2の計14人だ。一人のシンガーでここまでのバンドは、なかなかめったにない。まさにキングス・バンド。(2日目は15人)
バンドが1曲目「ナッシングス・インポッシブル」(同名最新作のタイトル曲)を演奏しだすと、ステージの明かりが消え暗闇に。しばし、演奏が続き、ぱっとライトが点くと、さきほどまで空だった大きなキングス・チェアにキング・ソロモンが堂々と鎮座ましましていた。瞬間移動か。(笑) そして、一声出す。が~~ん、ものすごい迫力だ。70歳超えの声とは思えない。どうやら足は悪いようだが、声は完璧だ。ミディアム調、バラード、ヒット曲メドレーと次々と歌っていく。そして、その合間になんども観客に向かって「Are you with me(ついてきてるか、みんな)」、「Easy, easy, easy(ゆったり、落ち着いて、のんびり行こう)」と声をかける。
座って歌っても、こんなに声が出るのか。遠めには小錦あたりが歌っているように見える。途中で、ちょこちょこ話をするが、実に滑舌(かつぜつ)がよく、話に引き込まれる感じがした。それを聞いていてキング・ソロモンが若い頃から天才説教師だったことを思い出した。この調子で教会で話せば、誰もが彼の説教に納得し、気分も高揚してくるだろう。歌う以前に説教師だったのだ。途中の話とともに、曲に乗ってのモノローグ(ナレーション)がまた実にかっこいい。
そんなトークの中で、キング・ソロモンは、自分には21人の子供と90人の孫がいる、その子供のうちのひとりを紹介しよう、といって女性コーラス(キャンディー)を紹介し、彼女はグローリア・ゲイナーのヒット「アイ・ウィル・サヴァイヴ」を歌った。また、もうひとりの男性コーラスもソロモンの息子で、彼は「キープ・ア・ライト・イン・ザ・ウィンドウ」を歌った。息子もかなりいい感じで、ちょっとアル・グリーンを思わせた。(しかし、子供と孫合計111人って、名前、絶対に全部覚えられないだろうなあ)
そして、歌ももちろんはっきりと単語が聞こえる。そこにはゴスペルの煽り(あおり)からブルーズの悲しみ、リズム&ブルーズの快活さがすべて備わっていた。ちょうど、キング・ソロモンがオーティス・レディングの曲をメドレーでやったシーンがあったが、これを聴いていると、オーティスや、ディクション(発音)がさらにいいサム・クックあたりが、今、生きていてライヴをやったら、こうなったのではないかと確信した。いわば、キング・ソロモンのライヴには、オーティスやサムの言霊が宿っていたようにさえ思えた。それもこれも、すべてソロモンの声が、日比谷の夜空に堂々と突き抜けたからだ。繰り返すが座してあの声量はすごい。
ハモンドB3のオルガンがなり、渋いギターが爪弾かれると、南部の教会か、サザン・ソウルを聴かせるジュークジョイントさながらになる。
最後の曲「エヴリバディー・ニーズ・サムバディー・トゥ・ラヴ」から「ホエン・ザ・セインツ・ゴー・マーチン・イン(聖者の行進)」になると、歌いながらも、ステージが始まったときと同じように真っ暗になった。演奏が長く続き、明るくなると、キングの姿はなかった。双眼鏡で暗くなったステージを見ていたら、キング・チェアから車椅子に乗り換え、車椅子でレッドカーペットを下がっていっていた。なるほど、出入りは車椅子だったのだ。
時折風が吹くと、ちょっと寒かったが、このソウルは熱かった。人間国宝、キング・ソロモン・バーク。それにしても、わずか64分だったが見事にピュアなハート&ソウル・ショーだった。
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■ メンバー
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1. Solomon Burke (Vocal)
2. Selassie Burke (BG Vocal)
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4. Rudy Copeland (Organ)
5. John Wargo (Guitar)
6. William Magid (Trumpet)
7. Keith Ladinsky (Keyboard)
8. Daniel Hofmann (Sax)
9. Aaldert Weelden (Bass)
10. Carle Vickers (Sax, Trumpet)
11. Raffaella Stirpe (Viola)
12. Samuel Mayfield JR (Guitar)
13. Simona Mana (Violin)
14. Mandale McGee (Drum)
15. Aya Toyoshima (Trombone)
16. Sophia (background vocal) on day two
■セットリスト ソロモン・バーク 2010年5月29日(土)
Setlist : Solomon Burke, Hibiya Yagai Ongakudou, May 29,2010
show started 19:26
01. Nothing’s Impossible
02. Diamond In Your Mind
03. Cry To Me
04. Fast Train [Van Morrison]
05. That’s How I Got To Memphis
06. Down In The Valley
07. Hits Medley: Tonight’s The Night ~ If You Need Me ~ He'll Have To Go ~ I Almost Lost My Baby [Albert King, Hank Williams, written by Ivory Joe Hunter] ~ Just Out Of Reach (Of My Two Empty Arms) ~
08. I Wish I Knew (How It Would Feel to Be Free)
09. Keep A Light In The Window Till I Come Home (Solomon’s son sings)
10. I Will Survive (Solomon’s daughter sings) [Gloria Gaynor]
11. None Of Us Are Free
12. Don’t Give Up On Me
13. Medley: Sitting On The Dock Of The Bay ~ Fa Fa Fa [Otis Redding] ~Stand By Me [Ben E King]
14. What A Wonderful World [Louis Armstrong]
15. If I Give My Heart To You
16. Everybody Needs Somebody To Love
17. When The Saints Go Marching In [Louis Armstrong]
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【2010年5月29日土曜、日比谷野外音楽堂=ジャパン・ブルーズ・アンド・ソウル・カーニヴァル=ソロモン・バーク・ライヴ】
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2010-80