2010年05月20日(木) 00時01分00秒 soulsearchinの投稿

△奇跡の完全復活~ナタリー・コール (パート1)

テーマ:ライヴ評・レポート
(内容がでます。これからごらんになる方はご注意ください)

△奇跡の完全復活~ナタリー・コール (パート1)

【Natalie Cole: Great Come Back】

復活。

2年前の来日公演は、衝撃だった。ナタリーは車椅子で登場、歌もおぼつかなく、音程ははずれ、声も出ない。とても人に見せられる代物ではなかった。そして4回のキャンセル。あれを見て僕は悲しくなった。これが最後の来日になるかと思ったものだ。そして2年ぶりの来日が決まった。しかも、1週間以上のスケジュールだ。大丈夫だろうか。

火曜日(5月18日)セカンド、ほぼ満員のブルーノート。いつものようにバンドが3曲演奏し、観客を暖めてから本人登場。な、な、なんと、さっそうと通路を歩いてステージに向かうではないか。とても2年前の弱々しい姿など想像できない。

そして、いきなり「ディス・キャント・ビー・ラヴ」を軽快に歌う。声もよく出て、動きも軽やか。どこも体に問題などないように見えた。そう、元気いっぱいだったのだ。

この1曲目を見て、すっかり安心。次々と繰り広げられるポップ、スタンダード・ソングの数々にしばし酔いしれる。ひときわ人気の高いのは、「ラヴ」「スマイル」など。かわいらしいナタリーの声が印象的だ。

下記セットリスト11曲目「ユー・ゴー・トゥ・マイ・ヘッド」が終わると、ステージ後ろに白いスクリーンが下りてきた。勘のいい方ならおわかりになるだろう。映像が流れるのだ。「もう紹介や説明はいらない曲です。最初の一言ですべておわかりになると思います」と言って始まるのが、「アンフォゲッタブル」。イントロが流れ出すと、モノクロの映像がスクリーンに映る。そこには、ナット・キング・コールの姿が。最高潮に盛り上がる。ナタリーは1950年生まれなので、すでに還暦60歳だが、キング・コールは、この映像がいつのものかわからないが、最初にレコーディングした1952年のものだったら、ナットは33歳、テレビに出た1961年の映像でも42歳。つまり、ナタリー・コールはすでに父の年齢を追い越しているのだ。

「スマイル」は前日テイク6のクロードが歌っていたが、このナタリーも以前録音し、ライヴでもやっていたもの。

マイクがスワロフスキーでもついているかのようなキラキラマイク。黒のラメ入りドレス。背が高く、体格がしっかりしていて、腕も長いので、腕を伸ばすと、実にかっこいい。変に鼻にかかった歌い方などせず、本当にストレートに完璧なディクション(発音)できっちりと歌手の手本のような歌を聴かせる。

途中でおもしろいことがあった。下記セットリスト11曲目「テル・ミー・オール・アバウト・イット」を始めるときのことだ。ナタリーは譜面台の楽譜の中から歌詞カードを探そうとした。だが、うまく探せず、音楽ディレクターのゲイルに「探して」と助け舟を求めた。ゲイルがそこに行き、探すと、ナタリーは「この曲の歌詞を覚えてないの(笑)」といいながら、曲が始まった。ところが、歌が始まると、彼女はほとんど歌詞カードを見ずに歌っていたのだ。「あれなら、歌詞カードいらないんじゃないか」と思ったほど。ただ、一瞬、ちらっと見るシーンはあったことはあったが。

アンコールは、なんとビル・ウィザースの「ラヴリー・デイ」。ところで、ブルーノートのウェッブにでていたセットリストを持っていったが、ぜんぜん違っていた。毎日、ファーストもセカンドも変えているという。そのあたりについて、キーボードのアレックスが話してくれたので、その話は明日以降に。

それにしてもこんなに早く奇跡の復活が実現するなんて。人間の治癒力はすごい。

(この項続く)

ナタリー・コール、ライヴは日曜日(5月23日)まで東京ブルーノート、その後、24日オフ、25日が名古屋ブルーノート、26日オフで、27日に丸の内コットンクラブ。

■ナタリー・コール過去記事

2008年06月28日(土)
ナタリー・コール満身創痍のステージ(part 1)
http://ameblo.jp/soulsearchin/entry-10110678041.html

2008年07月19日(土)
ナタリー・コール(part 2) C型肝炎を明かす
http://ameblo.jp/soulsearchin/entry-10117732847.html#main

2003/06/17 (Tue)
Bittersweet Voice That Turned Blue Note A Desert
http://www.soulsearchin.com/soul-diary/archive/200306/diary20030617.html
2003年来日時のライヴ評。

【2002年5月28日火曜・ブルーノート東京】
http://www.soulsearchin.com/entertainment/music/live/natalie20020528.html
2002年来日時ライヴ評。

『ソウル・サーチン』(吉岡正晴・著)第7話 ナタリー・コール  NATALIE COLE ~二度のグラミーのはざまで~
http://www.soulsearchin.com/soulsearchin/7.html
ナタリー・コール紆余曲折のソウル・サーチン・ストーリー。

■ CD『アンフォゲッタブル』

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『グレイテスト・ヒッツ』

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■ メンバー

ナタリー・コール(ヴォーカル)Natalie Cole (Vocal)
ゲイル・デドリック(ミュージカルディレクター、キーボード)Gail Dearick (MD,keys on the right)
ジョシュ・ネルソン(ピアノ)Josh Nelson(grand piano)
アレックス・アレッサンドローニ(キーボード)Alex Alessandroni(keys on center)
ブラディ・コーハン(ギター)Brady Cohan(g)
エドウィン・リヴィングストン(ベース)Edwin Livingston(b)
ロバート・ミラー(ドラムス)Robert Miller(ds)
リンゼイ・ジャクソン(バック・ヴォーカル)Lindsey Jackson(back vo)
イヴェット・ミッチェル(バック・ヴォーカル)Yvette Mitchell(back vo)

■セットリスト:ナタリー・コール@ブルーノート東京、2010年5月18日(火)
Setlist : Natalie Cole @ Bluenote Tokyo, May 18th, 2010

show started 21:33
(first 3 songs are instrumental)
01. Human Revolution [Alex Alessandroni]
02. Antidote [Josh Nelson]
03. Point Of Organ
21:54 >Natalie on the stage
04. This Can’t Be Love
05. Summer Sun
06. Thou Swell
07. Love
08. Coffee Time
09. Smile
10. Tell Me All About It
11. You Go To My Head
12. Unforgettable (with Nat King Cole on screen)
13. Snowfall On The Sahara
14. Old Man
Enc. Lovely Day
Show ended 22:41

(2010年5月18日火曜、ブルーノート東京、ナタリー・コール・ライヴ)
ENT>MUSIC>LIVE>Cole, Natalie
2010-74

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