△『ディス・イズ・イット』秘話(パート2)~バシリ・ジョンソン語る
テーマ:マイケル・ジャクソン関連【Bashiri Johnson Talks About Behind The Scenes Of "This Is It" (Part 2)】
暫定。
映画『ディス・イズ・イット』の特典映像では、ミーティングのシーンで、ホワイトボードにセットリストの一部が書かれ、映っている。そのリストは次の通りだ。
---. Motown (I Want You Back -- ABC)
I'll Be There
--Don't Stop Til You Get Enough
09. Rock With You
10. I Just Can't Stop Loving You
11. Dangerous
12. Black Or White
13. Dirty Diana
14. Beat It
15. Thriller
16. Earth Song
17. We Are The World -- Heal The World
18. You Are Not Alone
19. Billie Jean
----
20. Will You Be There
21. Man In The Mirror
(Plane exit)
これらの中の楽曲、およびセットリストについて、バシリは次のように語る。「最後の部分は、まだバンドとマイケルの歌をあわせたり、歌とバックの照明や、大道具と合わせたリハーサルが終わっていなかった。また、リハーサルをしても、最終的に本番のセットリストで使われるかどうかまでは、この段階では確定していない」
なるほど、確かにそうだ。仮にこれが6月24日までの暫定セットリストとして、どこまで本番第1日まで形作られ、本番で見せられるレヴェルまでになるかどうかは、この時点ではわからない。神も、マイケルさえもわからなかったのだ。
ただ、こういうことをやろうとしていたアイデアはあった。たとえば、バシリは映画には出てこなかった「ダーティー・ダイアナ」についてこう語る。「ここは、スラッシュが来たときに飛び入りでできるように準備していた。50本あるショーのうち、スラッシュが遊びにきてくれたら、この曲をやって、スラッシュにギターを弾いてもらうわけだ。僕たちバンドは、ほぼ完成させていたよ」 ただ、スラッシュが来ない日にこれをやるかやらないかは、まだわからない。基本的にはセットリストにいれておいて、スラッシュが来たら、ギターではいってもらえるように準備していたのかもしれない。
また、「ウィ・アー・ザ・ワールド」と「ヒール・ザ・ワールド」は、メドレーでやるイメージで、リハーサルしていたという。このあたりは、マイケルとのあわせが充分ではなく、また仮にやったとしても、映画に使えるほどのクオリティーの高い映像が残っていなかったらしい。
「『ユー・アー・ノット・アローン』もリハーサルはしていた。これは、映画にはなかったっけ? そうか、入ってなかったか。たぶん、充分ないいフッテージ(映像)がなかったんじゃないか。僕たちはマイケルとリハーサルしたよ。もちろん、『ウィル・ユー・ビー・ゼア』もリハーサルしていた。それと、曲がビッグプロダクション(大きな仕掛け=大道具などとのコラボ)がある場合、曲を途中まで練習することはあっても、全部の通し稽古ができてないものがあった。『ダーティー・ダイアナ』もそんな1曲だった。これは、曲のすべてを完成させてなかった、と思う」
「バンドとしては、もっと多くの曲をやってるよ。そして、リハーサルが進んでいくと、この曲はボツにしようとか、短くしようとか、そうした話がでてくる」とバシリ。そして、映画にも、このホワイトボードにも書かれていないある楽曲の話が飛び出した。
衝撃。
「最初バンドで演奏をリハーサルして、それからマイケルがやってきて、あわせる。マイケルがやってくると、徐々にセットリストが固まっていく。僕たちは、ローリング・ストーンズのミック・ジャガーの曲をリハーサルしてたよ」 「ステート・オブ・ショックを?」 「そうだ!」 「ええええええっ??」
「ミック・ジャガーが来るときにはこの曲をやるということだった。これも、ほぼ完成していた。いつでも、バンドにお呼びがかかれば、僕らは(演奏が)できたよ」
ジャガーはイギリス出身、ロンドンにも住んでいるから、いつでも遊びに来られただろう。「ステート・オブ・ショック」までほぼ出来ていたとは。しかも、ミック・ジャガーの飛び入りを想定して練習していたなんて。ミック・ジャガーとマイケルが同じステージに上るなんて、なんという夢の競演だろうか。この話を聴いた郷太くんも僕も衝撃に震えた。
「他に、あと、シンガーのゲストが来たときのために、練習してきた曲があったなあ。シンガーの名前が思い出せない…。ただ、この『ステート・オブ・ショック』が、セットリストの何曲目に入るのかは僕には見当がつかない。それを決めるのは、マイケルとケニー(・オルテガ)だ」
バシリは、6月24日現在までのセットリストは持っているという。インタヴュー時点では記憶はしていなかったが、どこかにあるはずなので、探してくれるそうだ。
他に、このリストや映画にでてこない曲でリハーサルした曲はあるだろうか。「他に、ジャクソン5の曲があった、あるいは、ジャクソンズの曲かな。『ネヴァー・キャン・セイ・グッドバイ』はちょっとやったけど、うまくいかなかったので、消えたはず。『キャン・ユー・フィール・イット』をやったような気がする。…そうだ、『ダンシング・マシーン』をやった! 最終的にマイケルがそれをセットリストにいれるかどうかはわからないけれど、バンドはリハーサルしていた」
6月24日の時点で、バシリによれば、「バッド」も合わせのリハはできていなかった。「エンジェル」もリハができていなかった、という。「エンジェル」もセットリスト候補だったわけだ。「アース・ソング」も、大きなトラクターが出てくるところとバンドのあわせはできてなかった。「スムース・クリミナル」での、ビデオ・スクリーンとマイケル、バンドのあわせもまだだった。「ウイ・アー・ザ・ワールド」あたりも、大きな仕掛けとのあわせができていなかった。ただバンドだけの音楽的部分はほぼできていたという。
「スリラー」ももう少しやらなければならなかった。大きなクモが登場するから、あわせてリハーサルをしなければならなかった。「そうそう、おもしろい話があるよ。『スリラー』の大きなクモのところでは、最初マイケルは、あそこのクモの中にいれば、それ自体が動いて、何か乗ってればいいと思ってたんだね。だけど、あれはマイケルも自分で歩いて前に進まなければならなかったんだ。だからマイケルはいくら待ってても、前に進まなかったというわけだ」
予定。
4月中旬に始まったリハーサルはおよそ8週間の予定だった。だがそれはじわじわと遅れる。4月の20日くらいから2週間程度が、「センター・ステージ」という場所の「スタジオ8」、ここでバンドのリハーサル。3週目~4週目は「センター・ステージ」よりもっと大きな「サウンド・ステージ」で、コーラス隊をいれてやる。もちろん、ダンサーは別のところでリハをしている。そして5週目、6週目がロスアンジェルスの「フォーラム」で。さらに7週目、8週目が「ステイプルズ・センター」だ。しかし、すでに5月20日には、進行の遅れがはっきりしていたので、当初の初日である7月8日が、7月13日に変更されていた。なので、7月の頭にロンドン入りして、約2週間弱、最終リハーサルをロンドンで行うことになっていたわけだ。そして、バンドやダンサーたちは、7月1日頃、ロンドンに移動する予定だった、という。
映画『ディス・イズ・イット』のメインの舞台となっているのが、ステイプルズ・センターの映像だが、ダンサーやバンドだけ、コーラスだけの映像は、別のリハーサルの場所での映像が使われている。
6月24日のことをバシリはこう語る。「あの日(24日)は、マイケルはとてもハッピーそうで、元気だった。素晴らしい感じで、『じゃあ、みんな明日会おうね (see you tomorrow)』と言っていた。最後にやった曲は黒いジャケットを着て歌うものだった。曲名がなんだったか思い出せない…。彼が黒いジャケットを着ていた曲だったと思う。だから、翌日、そのニュースを聞いたときは本当にショックだった」
バシリは、7月にロンドン行きの飛行機に搭乗予定だったが、まったく不慮の事故により、その3日後には、地元ニューヨークに戻るため、ニューヨーク行きの飛行機に乗ることになった。次の目的地ロンドンは、計らずもニューヨークになってしまった。
(この項つづく。次回は、映画ではよくわからない大仕掛けのいくつかをバシリが語ります)
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1 ■こんにちは
わたしは高2です
Michael・Jaksonを好きになったのが去年なのでまだまだ知らない事たくさんありますが吉岡さんの本やブログで教えてもらってます!!
ありがとうです☆