2009年11月01日(日) 04時37分06秒
soulsearchinの投稿
●ジョー・サンプル・ライヴ、解説付きで音楽を楽しむ
テーマ:ライヴ評・レポート
●ジョー・サンプル・ライヴ、解説付きで音楽を楽しむ
【Joe Sample Performs With Lecture Of History】
解説。
今年(2009年)3月にやってきたばかりのジョー・サンプルがまたまたトリオで来日。今回は、コットンクラブとブルーノート。
もちろん、ワン&オンリーなジョーのプレイを堪能するのは当然として、もうひとつのジョー・ライヴの楽しみに、彼の楽曲解説がある。ちょこっと次にやる曲の解説をしたり、エピソードを披露したりするのがなかなかおもしろい。
「次の曲は、『チェイン・リアクション』、クルセイダーズの曲ですが、トリオでめったにやりません。今日はトリオでやってみましょう」
それが終わったところで、「このピアノ、なかなか言うこときかない」と言って何度か腕を振るしぐさをみせたジョー。冗談で、「このピアノはスポーツジムみたいだ。こいつに殺されちゃうよ(笑)」とおどける。
「次の曲『ストーミー・ウェザー』は、1941年ごろの映画の曲。オール・キャストがニグロ(黒人)だったんです。黒人だけの映画としては初めてのものでした。僕は2歳ということになりますが、きっと何年後かに、何度も何度も見たのでしょう」
ちょっと調べてみた。映画『ストーミー・ウェザー』は、1943年に公開され、リナ・ホーン、キャブ・キャロウェイらが出演。ハリウッドのメジャーで製作された映画で、これともう1本『キャビン・イン・ザ・スカイ』という作品とともに出演者がほぼ全員黒人という初めての映画だという。
映画のタイトルは、1933年の同名の曲から取っている。映画は、1930年代に活躍したダンサー、ビル・ボージャングルス・ロビンソンの生涯をベースにした物語だ。この映画からは、他に「エイント・ミスビヘーヴィン」などのスタンダード・ヒットが生まれている。ジョーが、ピアノを弾きながら、ところどころ口でメロディーらしきものを歌うのが漏れ聴こえてくる。
■ 輸入盤DVDがありました。ただしリージョン1と表記なので、オール・リージョン再生機が必要かもしれません。
ジョーの語り口は、大学の教授みたい。
「1961年に、僕たちがジャズ・クルセイダーズだった頃、レコーディングした曲をやります。あの頃、僕らはラスヴェガスに行って、ショーバンドとしての仕事をこなしていました。あのキラキラのラス・ヴェガスは大嫌いなんだけどね。(笑) ジャズ・レーベルのオーディションを受けて、当時、僕たちはパシフィック・ジャズというレコード会社の人間と知り合い、そこからレコードを出すようになります。最初はリハーサルのようなものばっかりだったんですが、2ヶ月くらいひたすらやって、そこのボスに『さあ、君たちはレコーディング・アーティストになった』と言われて、レコーディングしたのが僕が書いたこの曲です。『フリーダム・サウンド』。ちょうど公民権運動が盛り上がっていて、そこでこういうタイトルにしたんです」
でも、教授はこんな話はしないか。(笑)メモ帳がどんどん汚い字で埋まっていく。
「フリーダム・サウンド」からはノンストップで、おなじみの「スペルバウンド」へ。何度聴いてもいい曲。
■ 『スペルバウンド』
またマイクを握る。
「僕はいつも素晴らしいメロディーに魅了されています。1940年代だったか、ラフマニノフのメロディーをベースにした楽曲、『フル・ムーン・アンド・エンプティー・アームス』を聴いて、どうやったらあんなメロディーを書けるんだろうと思っていました。でも、曲というのは、『書く』んじゃないんですね。僕はただの媒介、道具(tool)で、(メロディーは)天国からの贈り物なんです。たとえば、僕自身がいいメロディーが書けたと思っても、それは(僕が)書いたんじゃない。(そう言いながら、『メロディーズ・オブ・ラヴ』のフレーズを1本指で弾く) 感じたものが降りてくる、そういうことなんです。ギフトなのです。ある夜メロディーが浮かんで、すぐにテープレコーダーに録音しました。アルバム『カーメル』から、『モア・ビューティフル・イーチ・デイ』をお送りしましょう」
++註 ラフマニノフ:満月と淋しい私(原曲:ピアノ協奏曲第2番ハ短調op.18~第3楽章)(FULL MOON AND EMPTY ARMS)
日によって、セットリストはちょこちょこ違っているようだ。
これでジョー・サンプル教授のレクチャーはおしまい。いかがでしたか。今日、日曜(11月1日)から木曜(11月5日)まで青山ブルーノートで引き続き、ライヴあります。
■ ジョー・サンプル傑作盤『カーメル』
■ 過去ジョー・サンプル関連記事
March 21, 2009
ジョー・サンプル&ランディー・クロフォード・ライヴ~スペースがある音楽
http://ameblo.jp/soulsearchin/entry-10227876837.html#main
前回来日時ライヴ評
March 22, 2009
ジョー・サンプル、サイン会で1時間以上サインを続ける
http://ameblo.jp/soulsearchin/entry-10228466253.html#main
October 03, 2008
Joe Sample Talks (Part 1) : No Regrets Is Second Piece Of Potato Chips
http://ameblo.jp/soulsearchin/day-20081003.html
ジョー、最新作『ノー・リグレッツ』についてのインタヴュー
October 04, 2008
Joe Sample Talks (Part 2): Dave Koz Live: The Most Choreographed Sax Player In The Jazz
http://ameblo.jp/soulsearchin/day-20081004.html
October 05, 2008
Joe Sample Talks (Part 3) : Historian Joe Lectured Us
http://ameblo.jp/soulsearchin/day-20081005.html
(ここに膨大な量のジョー関連過去記事一覧)
October 06, 2008
Joe Sample (Part 4) : Sample At Le Sample
http://ameblo.jp/soulsearchin/day-20081006.html
September 22, 2007
Tokyo Jazz 2007: Joe Sample & Randy Crawford, Candy, Etc.
http://ameblo.jp/soulsearchin/day-20070922.html
■ メンバー
Joe Sample(p),
Nick Sample(b),
Johnny Vidacovich(ds)
■セットリスト ジョー・サンプル・トリオ@コットンクラブ
Setlist : Joe Sample Trio @ Cotton Club, October 30, 2009
show started 21:30
01. Rainbow Seeker
02. Chain Reaction
03. Stormy Weather
04. Freedom Sound
05. Spellbound
06. More Beautiful Each Day
07. X Marks The Spot
Enc. Street Life
show ended 22:37
(2009年10月30日金曜、丸の内コットンクラブ=ジョー・サンプル・ライヴ)
ENT>MUSIC>LIVE>Sample, Joe
2009-129
【Joe Sample Performs With Lecture Of History】
解説。
今年(2009年)3月にやってきたばかりのジョー・サンプルがまたまたトリオで来日。今回は、コットンクラブとブルーノート。
もちろん、ワン&オンリーなジョーのプレイを堪能するのは当然として、もうひとつのジョー・ライヴの楽しみに、彼の楽曲解説がある。ちょこっと次にやる曲の解説をしたり、エピソードを披露したりするのがなかなかおもしろい。
「次の曲は、『チェイン・リアクション』、クルセイダーズの曲ですが、トリオでめったにやりません。今日はトリオでやってみましょう」
それが終わったところで、「このピアノ、なかなか言うこときかない」と言って何度か腕を振るしぐさをみせたジョー。冗談で、「このピアノはスポーツジムみたいだ。こいつに殺されちゃうよ(笑)」とおどける。
「次の曲『ストーミー・ウェザー』は、1941年ごろの映画の曲。オール・キャストがニグロ(黒人)だったんです。黒人だけの映画としては初めてのものでした。僕は2歳ということになりますが、きっと何年後かに、何度も何度も見たのでしょう」
ちょっと調べてみた。映画『ストーミー・ウェザー』は、1943年に公開され、リナ・ホーン、キャブ・キャロウェイらが出演。ハリウッドのメジャーで製作された映画で、これともう1本『キャビン・イン・ザ・スカイ』という作品とともに出演者がほぼ全員黒人という初めての映画だという。
映画のタイトルは、1933年の同名の曲から取っている。映画は、1930年代に活躍したダンサー、ビル・ボージャングルス・ロビンソンの生涯をベースにした物語だ。この映画からは、他に「エイント・ミスビヘーヴィン」などのスタンダード・ヒットが生まれている。ジョーが、ピアノを弾きながら、ところどころ口でメロディーらしきものを歌うのが漏れ聴こえてくる。
■ 輸入盤DVDがありました。ただしリージョン1と表記なので、オール・リージョン再生機が必要かもしれません。
ジョーの語り口は、大学の教授みたい。
「1961年に、僕たちがジャズ・クルセイダーズだった頃、レコーディングした曲をやります。あの頃、僕らはラスヴェガスに行って、ショーバンドとしての仕事をこなしていました。あのキラキラのラス・ヴェガスは大嫌いなんだけどね。(笑) ジャズ・レーベルのオーディションを受けて、当時、僕たちはパシフィック・ジャズというレコード会社の人間と知り合い、そこからレコードを出すようになります。最初はリハーサルのようなものばっかりだったんですが、2ヶ月くらいひたすらやって、そこのボスに『さあ、君たちはレコーディング・アーティストになった』と言われて、レコーディングしたのが僕が書いたこの曲です。『フリーダム・サウンド』。ちょうど公民権運動が盛り上がっていて、そこでこういうタイトルにしたんです」
でも、教授はこんな話はしないか。(笑)メモ帳がどんどん汚い字で埋まっていく。
「フリーダム・サウンド」からはノンストップで、おなじみの「スペルバウンド」へ。何度聴いてもいい曲。
■ 『スペルバウンド』
Spellbound
posted with amazlet at 09.10.31
Joe Sample
Warner Bros. (1989-03-24)
売り上げランキング: 52010
Warner Bros. (1989-03-24)
売り上げランキング: 52010
またマイクを握る。
「僕はいつも素晴らしいメロディーに魅了されています。1940年代だったか、ラフマニノフのメロディーをベースにした楽曲、『フル・ムーン・アンド・エンプティー・アームス』を聴いて、どうやったらあんなメロディーを書けるんだろうと思っていました。でも、曲というのは、『書く』んじゃないんですね。僕はただの媒介、道具(tool)で、(メロディーは)天国からの贈り物なんです。たとえば、僕自身がいいメロディーが書けたと思っても、それは(僕が)書いたんじゃない。(そう言いながら、『メロディーズ・オブ・ラヴ』のフレーズを1本指で弾く) 感じたものが降りてくる、そういうことなんです。ギフトなのです。ある夜メロディーが浮かんで、すぐにテープレコーダーに録音しました。アルバム『カーメル』から、『モア・ビューティフル・イーチ・デイ』をお送りしましょう」
++註 ラフマニノフ:満月と淋しい私(原曲:ピアノ協奏曲第2番ハ短調op.18~第3楽章)(FULL MOON AND EMPTY ARMS)
日によって、セットリストはちょこちょこ違っているようだ。
これでジョー・サンプル教授のレクチャーはおしまい。いかがでしたか。今日、日曜(11月1日)から木曜(11月5日)まで青山ブルーノートで引き続き、ライヴあります。
■ ジョー・サンプル傑作盤『カーメル』
Joe Sample
Universal Japan (1996-03-26)
売り上げランキング: 10756
Universal Japan (1996-03-26)
売り上げランキング: 10756
■ 過去ジョー・サンプル関連記事
March 21, 2009
ジョー・サンプル&ランディー・クロフォード・ライヴ~スペースがある音楽
http://ameblo.jp/soulsearchin/entry-10227876837.html#main
前回来日時ライヴ評
March 22, 2009
ジョー・サンプル、サイン会で1時間以上サインを続ける
http://ameblo.jp/soulsearchin/entry-10228466253.html#main
October 03, 2008
Joe Sample Talks (Part 1) : No Regrets Is Second Piece Of Potato Chips
http://ameblo.jp/soulsearchin/day-20081003.html
ジョー、最新作『ノー・リグレッツ』についてのインタヴュー
October 04, 2008
Joe Sample Talks (Part 2): Dave Koz Live: The Most Choreographed Sax Player In The Jazz
http://ameblo.jp/soulsearchin/day-20081004.html
October 05, 2008
Joe Sample Talks (Part 3) : Historian Joe Lectured Us
http://ameblo.jp/soulsearchin/day-20081005.html
(ここに膨大な量のジョー関連過去記事一覧)
October 06, 2008
Joe Sample (Part 4) : Sample At Le Sample
http://ameblo.jp/soulsearchin/day-20081006.html
September 22, 2007
Tokyo Jazz 2007: Joe Sample & Randy Crawford, Candy, Etc.
http://ameblo.jp/soulsearchin/day-20070922.html
■ メンバー
Joe Sample(p),
Nick Sample(b),
Johnny Vidacovich(ds)
■セットリスト ジョー・サンプル・トリオ@コットンクラブ
Setlist : Joe Sample Trio @ Cotton Club, October 30, 2009
show started 21:30
01. Rainbow Seeker
02. Chain Reaction
03. Stormy Weather
04. Freedom Sound
05. Spellbound
06. More Beautiful Each Day
07. X Marks The Spot
Enc. Street Life
show ended 22:37
(2009年10月30日金曜、丸の内コットンクラブ=ジョー・サンプル・ライヴ)
ENT>MUSIC>LIVE>Sample, Joe
2009-129