2009年05月25日(月) 04時25分17秒 soulsearchinの投稿

●レコード地獄に足を一歩踏み入れた新人19歳とどっぷり頭までつかった61歳の邂逅

テーマ:ブログ
●レコード地獄に足を一歩踏み入れた新人19歳とどっぷり頭までつかった61歳の邂逅

【レコードが取り持つ19歳と61歳】

出版記念。

先週の金曜日(2009年5月22日)、通称「白川会」が下北沢のソウルおでん屋「エクセロ/しずおか屋」であった。ソウル好き白川さんが音頭を取り、周囲のソウル好きを集めている会合で、ソウル評論家の大御所、鈴木啓志さん、松尾潔さんらが集まった。前回は2008年12月でそのときのことはちょっと本ブログでも書いた。

December 03, 2008
Another Soul Summit At Shizuoka-Ya
【もうひとつのソウル・サミット~鈴木啓志氏パソコン始める】
http://blog.soulsearchin.com/archives/2008_12_03.html

今回は、白川さんに「マーヴィン・ゲイ出版記念会」と銘打っていただいたのだが、発売が一週遅れたため、いらした方が本を入手できず、僕が持ち込んだ見本の一冊をみんなで「あーだこーだ」いいながら眺めることになった。すいません。ここでも結果的に「本・見せびらかし会」になってしまった。

鈴木さん曰く。「いやあ、これ(マーヴィン・ゲイ物語 引き裂かれたソウル)は読んだもんなあ。何度も何度も。これは、リッツの本の中で一番いい出来だよね。他に、アレサとかジェリー・ウェクスラーとかもあるけど、このマーヴィンの本が一番完成度が高い。内容がいいね」

「たぶん、それはマーヴィンが死んだ後に出たこととも関係あると思いますよ。アレサとか、リッツが原稿書いても、けっこう、本人からここは削ってくれっていう注文があったり、自分が言ったことを否定したりして書き直しさせられたこともあるらしいんですよ」と僕。

35周年。

なんとこの日は、途中から「しずおか屋」店主富田さんも参加。富田さんによると、「しずおか屋」も元もとの「エクセロ」がスタートしたのが1974年なので、今年で35周年になる、という。あのマーチンが通った「エクセロ」だ。そこで去年あたりから、今年は何かをやろうと考えているそうだ。近日中に正式発表があるので楽しみに待ちたい。

地獄へ道連れ。

今回は白川さんが、まだ大学一年生で音楽マニアの泥沼という地獄に足を踏み入れつつある古明地(こめいじ)君を連れてきた。なんとあこがれの人が「ワーナーの宮治(淳一)さん」だという。宮治さんというのは、山下達郎さんなどと並んでオールディーズの大専門家にしてマニア、コレクター。ビーチ・ボーイズなどオールディーズ全般の知識・情報量が圧倒的な業界内ではよく知られた人物だ。この大学生君は達郎さんの『サンデイ・ソングブック』を毎週録音し何度も聴いて、そこからレコードを研究したり買ったりしているという。

「好きなシンガーは」と聞くと、「マーヴィン・ジュニアです」と答える。マーヴィン・ゲイではない。シカゴのデルズのリード・シンガー、マーヴィン・ジュニアだ。そして「一番好きなファルセットは、テッド・ミルズです」。ブルー・マジックのリード・シンガーだ。恐るべき19歳! (笑) 

それを聴いた松尾さん。「憧れの人が宮治さんって、どっかおかしくない?」と大苦笑。19歳ながらアルバイトのお金を全部、レコード、CDにつぎ込み、すでにコレクションは1000枚近くになっているそうだ。将来はレコード会社に入って、オールディーズのコンピレーションなどを編纂したいという。その彼は鈴木さんが編纂し、松尾さんなども執筆している「ブラック・ミュージック・ディスク・ガイド」を持参し、鈴木さん、松尾さんのサインをねだっていた。その本もかなりボロボロで、あちこちのページに蛍光ペンでラインが引かれている。年季の入ったヴェテラン・レコード・コレクターと新人コレクターの邂逅。果たしてその20年後はどうなる? 

疑惑。

ところで、鈴木さんがパソコンを導入したということを前回のブログで書いた。そうしたらそれを読んだ鈴木さん周辺のソウル・マニアたちが、鈴木さんに「鈴木さんもついにパソコン、導入したんですってね」と言ったらしい。それを聞いて鈴木さんは「なんか、みんな僕がパソコンやり始めたの知ってるんだよね。なんで、みんな知ってるんだろう」とえらく不思議がったそうだ。あれ、前回会ったとき、鈴木さん、僕のブログ見てるって言ってたような。(笑)

すると新事実発覚! どうやら一度は見たらしいが、その後、どうやってホームページを見ればいいのかわからなくなったらしく、「ソウル・サーチン」にも一度しかアクセスしていないらしいのだ。それって、「見てるよ」という表現でいいのか。(笑)

三茶まで鈴木さんを送る車内での会話。なぜミスター・アナログ鈴木さんがデジタル(パソコン)を導入したかというと、海外とレコードのオークションなどをするときに、かつてはファクスでやりとりをしていたが、さすがに相手方がメールでやりとりをしてくれと要望してきて仕方なく導入したらしい。そりゃあ、いまどきファクスはないでしょう。(笑)

で、再び、「メールやりとりできるなら、メアド教えてくださいよ」と僕が言うと、「知らないんだよ。なんか、暗号みたいな記号で覚えられないんだ」。(確か前回もこのやりとりをした) おそらく最初に振り分けられた乱数で決められた暗号のようなアドレスなのだろう。普通はそれを自分で好きなアドレスに変更するが、それができなかったらしい。「じゃあ、わかりました、とにかく僕のメアド、ここに書いてありますから、空メールでいいので、一度送ってくださいよ」「わかった、やってみる」とミスター・アナログ。

さらに話しを聞くと、鈴木さん、相手から来たメールに返事は書けるらしいが(つまり、「返信」でメールを送るのだろう)、自分から相手に発信できないらしい。しかも、メールはほとんど、というか全部、海外とのもので、英語でやっている。なので、日本語変換ができない、あるいは日本語が打てない疑惑も浮上した。ところで、鈴木さんにどんぴしゃのメール・アドレスってなんだろう・a href=mailto:Boneway_suzuki@...>Boneway_suzuki@...とかsoulcityusa@...とかbluesandsoul_suzuki@...とか。

「いやあ、でも、鈴木さんがパソコンやってるっていうこと自体が、ほんと、隔世の感があるなあ」と僕がしみじみ言うと、松尾さん、「いやあ、吉岡さんが隔世の感と言うほうのが、ほんとおもしろいですよ」。

でも僕はあの研究熱心な鈴木さんがネットにはまったら、1日30時間くらいやって、それこそディープ・ソウルだなんだと情報収集を徹底的にやりそうな予感がしている。ネットがない時代にあれだけの情報を日本にいながらにして集めることができた彼なのだから、ネットを使うノウハウなんか手に入れたら、鬼に金棒だ。ネットには鈴木さんが興味を持つであろう情報がわんさかあるわけだから。

あれから3日経つが、鈴木さんからの初メールはまだ到着していない…。

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