NO.911 |
2005/01/26 (Wed) |
The Movie "Terminal": The Reason Victor Came To USA |
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(映画『ターミナル』についての感想文です。後半ネタバレになります。先入観なしにご覧になりたい方はご注意ください) 約束。 東欧の国クラコウジアからある目的を持ってニューヨークにやってきたひとりの男。その名はヴィクター・ナヴォルスキー(トム・ハンクス)。だが彼がジョンFケネディー空港に到着すると、彼の母国でクーデターが起き、アメリカとクラコウジアとの国交が断絶した。そのため、ナヴォルスキーは、アメリカに入国できず、しかも、母国に帰ることもできなくなった。彼はしばし空港内にとどまらなければならなくなった。 空港は様々な出会いが訪れる場所。まさに出会いの宝庫だ。そんな中で英語もおぼつかないナヴォルスキーにも様々な出会いが訪れ、ドラマが生まれる。美人のフライトアテンダント、アメリア(キャサリン・ズィータ・ジョーンズ)、国際空港の国境警備主任フランク(スタンリー・トゥッチー)などといったいどんなことが起こるのか。徐々に空港の人たちと親しくなり、友情が深まっていく。彼がいつも大事そうに持っている空き缶の中には何が入っているのか。 スティーヴン・スピルバーグ製作・監督のハートウォーミングな映画『ターミナル』だ。 (以下、ネタばれになります) さて、映画の最後のほうで、ヴィクターがアメリカにやってきた理由が明かされる。彼が常に大事そうに持っていた空き缶にその秘密があった。そこには、40年以上も前に雑誌エスクワイアーに掲載された一枚の大きな写真が入っていた。これは、1958年8月にニューヨークのハーレムで撮影されたもので、59年1月号の同誌に見開きで掲載された。被写体は、ニューヨークで当時活躍していたありとあらゆるジャズ・ミュージシャンたち。カメラマンは57人のミュージシャンを一堂に集めて大きな写真をとった。 ヴィクターの父はジャズ好きで、ここに映っている写真のミュージシャンすべてからサインをもらおうと考えた。しかし、父はひとりのミュージシャンの写真のサインをもらう前に他界してしまった。そこで、息子は父の意志をついで、その最後のまだサインをもらえていないミュージシャンに会うために、ニューヨークにやってきたのである。そのミュージシャンこそが伝説のサックスプレイヤー、ベニー・ゴルソンだった。 東欧からの訪問者、ヴィクターにとってベニー・ゴルソンと会ってサインをもらうことは、父への約束だった。56人のサインのはいった写真を持って、ナヴォルスキーはライヴハウスで演奏している57人目のベニー・ゴルソンの元に歩み寄る。演奏を始めようとしていたゴルソンは、「サインはショウの後で」と答えて演奏を始める。演奏が終って、無事サインをもらえたナヴォルスキーは大喜びしながら、JFKに帰る。 僕は、こういうストーリーは好きだ。たくさんのアーティストが映っている写真にサインをもらい、最後に残ったアーティストのサインをもらう瞬間って、どんなものだろう。どれほど嬉しいことか。しかも、この場合、そのサインは父と息子という2世代に渡って、完成をみた。スピルバーグは実にうまい物語を作るものだ。職人芸の脚本、そして、もちろん、各俳優のうまさも充分でている佳作だ。 そして、そのベニー・ゴルソンが日本にやってくる。サインをもらいに行くしかないではないか。 (続く) http://www.terminal-movie.jp/ ENT>MOVIE>REVIEW>Terminal " |
Diary Archives by MASAHARU YOSHIOKA |