NO.762 |
2004/09/03 (Fri) |
Porgy & Bess: The Gershwins' Masterpiece |
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僕はそれほどミュージカルというものの熱心なファンではない。来日するミュージカルをすべて網羅して見るということもない。基本的なスタンスは、タモリと同じである。(笑) とはいうものの、例えば、そのミュージカルの中の音楽の部分だけを楽しむという方法もある。あるいは、ダンスが主体のものであれば、そのダンスパフォーマンスを楽しむことだってできる。そして、また多くのソウルシンガーやスタンダードとなった名曲を輩出してきたブラック系ミュージカルとなると、これは一度は見ておいたほうがいいだろう。 さて、その作品とはジョージ・ガーシュインの『ポーギー・アンド・ベス』だ。なんとなく名前は知っていたが、本物のミュージカルを見るのは初めてだった。まず第一印象は、これはミュージカルというより、オペラのようなものではないか、ということ。それと、全編ほとんど黒人シンガーのものながら、これを作ったのは白人のガーシュインであるというところにも、ひじょうに興味を持った。今回来日しているのは、2003年からのニューヨーク・ヴァージョン。すべてオリジナルキャストである。しかも主演役はトリプルキャストで用意されている。つまり主演を演じる役者が3人いて、順番に日によって変わるということだ。 さて、この『ポーギー・アンド・ベス』は、アメリカのミュージカル史上でも最高傑作のひとつと呼ばれる作品で、なんと初演は1935年だという。もう70年前の話だ。しかも、ガーシュインはこの作品を最初、オペラにしようと思ったそうだ。なるほど、だから、これほどオペラっぽいのか。しかも、1957年にはシドニー・ポワティエとドロシー・ダンドリッジというアメリカを代表する黒人男優女優によって映画化されていた。 舞台は田舎の小さな港町。そこに繰り広げられる人々の悲喜劇だ。主人公ポーギーは足が不自由な男。ベスは美しい女性。しかし彼女のボーイフレンド、クラウンがギャンブルのいさかいから人を殺してしまい逃亡する。一緒にいたベスは助けを求めるが、その時ポギーしか助けてくれなかった。そこからポーギーとベスに愛が芽生えるのだが・・・。 ストーリーもしっかり練られていて、一幕と二幕に分かれ、休憩をはさんで3時間10分程度。かなり長い。しかし、20人を超える出演者が勢ぞろいすると圧巻だ。すっかりスタンダードとなっている「サマータイム」は、冒頭に流れているのか。こんなオペラチックな歌い方をされていたのか。「アイ・ラヴズ・ユー・ポーギー」は、こういうシーンで歌われたのか。なるほど、というシーンがいくつもあった。 この『ポーギー・アンド・ベス』などは、ミュージカルの基本というか、エンタテインメントの基礎というか、必修科目というか、そういうもののように感じた。だから楽しむという以前に「お勉強しに行く」という雰囲気だ。 ミュージカルは、字幕がつくのだが、右と左の端すぎて、なかなか読みづらい。パンフレットでさっと予習していないと字幕を追いかけるだけになってしまう。正直に言って、僕はまだまだ内容を充分理解したとは言えない。よってこの感想文は、感想文の前段階の感想文あたりだ。もう一度見れば、もう少しまともなことが書けるかもしれない。 ただ、こういうものが70年もの間、徐々に形は変われど演じ続けられているところが、すごいと思った。子供の頃からこんな本物を見せられていたら、そうした子供たちの「音楽力」はぐんと上がるのだろうな、とも思った。プログラムで知ったもうひとつの情報。ジョージ・ガーシュインは38歳の若さで亡くなっていた。 ポーギー&ベス日本のサイト http://www.porgy-bess.com/ ポーギー・アンド・ベス 9月1日(水)から9月9日(木)まで渋谷・文化村オーチャードホール 9月11日、12日、びわ湖ホール (2004年9月2日木、渋谷・文化村オーチャードホール=ミュージカル『ポーギー・アンド・ベス』) ENT>MUSIC>MUSICAL>Porgy & Bess |
Diary Archives by MASAHARU YOSHIOKA |