NO.752 |
2004/08/24 (Tue) |
Tonki: Service Of Ton Of Ki |
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しかし、ここは本当にすごいな。夜、久々に目黒のとんきに行った。おそらくもう50年近く営業している有名店だが、ここのサーヴィスというものがひじょうにここちよい。なにより、清潔感のあふれる店内がきもちいい。別におしゃれでも、新しくもなにもないのだが、シンプルに素朴に、それでいて清潔感がいっぱいだ。カウンターだけのとんかつ屋。(2階はテーブル席もありますが) 今日店にはいったのは、ほとんど閉店間近の10時半くらいだったので、並んでいる人はいなかった。いつも行列になっている時は、カウンターの中の注文を取るおばさんが客の来た順番を実に正確に覚えていて、来た順番に空いた席に案内する。自分より前に来た人の順番は、わからないのだが、自分以降の人たちはわかる。そして、それが一々あっているのでいつも驚嘆する。一体あの記憶術はどうなっているのだろうか。注文伝票にその客の何か目印とか、洋服とか書いているのだろうか。彼女に任せておけば、順番は絶対に狂わない。客は順序良く並んでいるのではなく、適当にかなりばらけて、ベンチに座って待っているのに、順番を間違えないのである。よくラーメン屋で何人もの客の注文をすべて覚えていて驚かせるというのをやったりするが、この順番覚えもたいしたものだ。 とんきは、すべてがオルガナイズされていて、すばらしい。注文を取る。おしぼりが来る。お茶が来る。一人客の場合、すぐに新聞が持ってこられる。二人以上の場合は来ない。とんかつが来るまで、しばし新聞でもお読みになってお待ちください、というわけだ。しばらくしてご飯、味噌汁、おしんこ、とんかつがやってくる。キャベツがなくなると、どこからともなく、すっとキャベツのかごを持ってきて、「いかがですか」ときいてくる。その入ってきかたが、絶妙だ。食事がほぼ終りそうになると、再びおしぼりが来る。まもなく、楊枝が来る。楊枝にはガラスのコップが被せられている。 すでに、店は閉店準備をしている。床を磨く人、棚を掃除する人、食器を洗う人。もちろん、とんかつを揚げる人も仕事をしている。7-8人がてきぱきと自分の持ち場でしっかりと仕事をしている。この店には本当に無駄がない。そして、サーヴィスというものの本質がわかっている。グローヴァル系のフレンドリーなサーヴィスともまた違う、それでいて客を不快にさせない、良質のサーヴィスが完成している。 いつものおばさんが、カウンターにすわっていた僕に近寄ってこう言った。「ゆっくりしてってくださいね。騒がしいけどね」と言いながら、飴をふたつほど置いていったのだ。騒がしいというのは、片付けや掃除ががさがさしていることを気遣ってのものだった。いやあ、ここまでやるか。「1トンの気」を遣ってる店かな。 |
Diary Archives by MASAHARU YOSHIOKA |