NO.640 |
2004/05/11 (Tue) |
As If Two Hathaways As One: Lalah Hathaway & Frank McComb Live |
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適材適所。 僕はやはりこのレイラの声が何よりも好きだ。低くて、落ち着いていて、しかもこねくりまわさずに非常にシンプルに歌う。日本のなんちゃってジャズシンガーに手本にしてもらいたいような歌いっぷりだ。その意味でレイラは本当に正統派、基本に忠実な、直球のシンガーである。 彼女のライヴに僕が行く時、この声の歌手、この声の歌唱を聴きに行くという真摯な姿勢(笑)は持ち合わせているので、基本的にはダニーの娘ということは、気にしていない。そして、もうひとつ、彼女の歌を聴きに行くので、そのバックバンドが多少難あれど目をつぶる。 しかし、やはりこの組合せはスペシャルだ。今夜、ダニーの娘ということを意識しないことはできない。しかも、キーボードに我らがフランク・マッコムが座っているのだ。 いつもどおり裸足でステージに歩いてきたレイラは、自分の持ち歌を2曲(「スマイル」と「ワン・デイ・アイル・フライ・アウエイ」)歌い終えると曲目を紹介してこう言った。「(ワン・デイ・・・」は)ジョー・サンプルのアルバム 『ソング・リヴズ・オン』 からの作品。もう6年も前になるのかしら。信じられる? (註、録音は98年だが、発売は99年) 私、20かそこらだったわけね。(笑) (註、書くのはヤボですが、ちょっとサバを読んでるのね) 誰か先週ジョー・サンプル・トリオをごらんになった方は? (客席から『ヤー』の声) 空港で彼に会ったわ。みなさんに、『ありがとう』って伝えてくれって。OK・・・」 フランクにキューを送った。フランクはローズを弾きだした。その瞬間、「おおおっ」の声が客席から漏れてきた。レイラが「We're flying high on a velvet sky...」と歌い出す。そう、曲は「フライング・イージー」だ。ダニーの作品。こうきたか! もちろん男の声と女の声ということで違うのだが、しかし、こういう風に歌われると父の面影が浮かび上がる。 歌い終え、レイラが「サンキュー」という。拍手が続く中、まもなく再びフランクがキーボードを弾く。その瞬間、再び歓声。みなイントロで曲を知っている。そして、ゆったりとしたスローに変身したその曲は、なんと「ユーヴ・ガット・ア・フレンド」! レイラが歌う。「When you down and trouble...」 そして、続く「Close your eyes...」から今度はフランクが入ってくるのだ。 しかも、「You just call my out my name...」のコーラスの部分は二人のハーモニー! まいりました。ダニー・ヴァージョンより、さらにテンポを落して、しかもピアノ一本で、二人のデュエットにして。これまでにない「ユーヴ・ガット・ア・フレンド」である。もちろん、まだ荒削りだが、これはすごい。もっと歌いこんで欲しい。 ダニーを彷彿とさせるフランクとレイラ。重なるハーモニーは、あたかもそこに二人のダニー・ハザウェイがいるかの如くだ。これは泣ける。ここまでやるなら、バックのスクリーンにダニーの写真でも映し出したらどうだ? (笑) ベタだが一般受けはする。 2曲のダニーの後、フランクのヒット「キューピッドズ・アロウ」が披露された。この3曲の流れは見事。座って、静かに聴いているのに、体の芯から熱くなっていくのを感じた。 その後ベースソロから「サマータイム」に入るのだが、このベースソロがいただけない。それまで熱くなったものが、徐々にテンションが下がり、冷めてしまった。しかし、後半スキャットなどレイラのヴォーカリストとしての技を見せられ再び熱くなった。その後のアコースティック・ピアノ一本でレイラが歌う「ホエン・ユア・ライフ・ウォズ・ロウ」は、彼女のヴァーサタイルな(多様性のある)シンガーとしての顔を存分に見せて、二重丸をあげたい。冒頭で直球のシンガーと書いたが、このあたりは、様々な変化球も投げられる歌手である。 それにしても、レイラの声に、フランクのローズの音ははまる。これはまさに適材適所だ。ショウの後、フランクもレイラも、CDを買った人にサインをしていた。 Setlist (second set) show started 21:37 1. Smile (From Album "Lalah Hathaway" - 1990) 2. One Day I'll Fly Away (From Joe Sample/Lalah Hathaway Album "The Song Lives On" - 1999) 3. Flying Easy (From Donny Hathaway's Album "Extension Of A Man" - 1973) 4. You've Got A Friend (From Donny Hathaway's Album "Live" - 1971))(Lalah & Frank) 5. Cupid's Arrow (From Frank McComb's Album "Truth" - 2003)(Frank) 6. Summertime (standard) 7. When Your Life Was Low (From Joe Sample/Lalah Hathaway Album "The Song Lives On" - 1999) 8. Somethin' (From Album "Lalah Hathaway" - 1990) 9. Fever (From Joe Sample/Lalah Hathaway Album "The Song Lives On" - 1999) Encore. Street Life (From Joe Sample/Lalah Hathaway Album "The Song Lives On" - 1999) show ended 22:52 (2004年5月10日月曜セカンド・ブルーノート東京=レイラ・ハザウェイ・ライヴ、ゲスト・フランク・マッコム) 関連記事。 1999年6月8日、ジョー・サンプル&レイラ・ハザウエイ・ライヴ評。『魔術師の指』 2003年2月15日付け日記。レイラ・ライヴ評。Barefoot Diva:Lalah Hathaway 2003年2月14日、レイラ・ライヴ評。新聞用とオルタナティヴ・ヴァージョン。 2003年4月30日付け日記。レイラのウェッブ。Knocking on Father's Door (レイラが父ダニーの作品をどう思っているかなどについて。お勧めです) 2003年8月19日付け日記。レイラ、マーカス、テイク6らのライヴ評。 ブルーノート・ウェッブ レイラ・ハザウェイ・オフィシャル・サイト >ENT>MUISC>LIVE>Hathaway, Lalah / McComb, Frank |
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