NO.468 |
2003/12/05 (Fri) |
Marlena Shaw: What A Wonderful Her World |
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![]() ちょうど1年前(2002年)の今ごろ同じ「Bフラット」でマリーナを見た。さらにその前の2002年6月の「Bフラット」におけるライヴの模様は、 『ライヴ・イン・トウキョウ』 となって高音質のCDになっている。そして、2003年11月にリリースされた新作 『ルッキン・フォー・ラヴ』 も今年6月来日時に時間を割いて東京で録音されたものだ。これも音がいい。 今回のライヴは、その『ルッキン・フォー…』を録音したジェフ・チェンバース(ベース)、レニー・ロビンソン(ドラムス)、そしてデイヴィッド・ヘイゼルティーン(ピアノ)のトリオがそのまま参加、実に息のあったところを見せる。このトリオはなかなか聞きもの。特にデイヴィッドのピアノは僕の好きなタイプだ。横顔が映画『ファビュラス・ベイカー・ボーイズ』でピアニストを演じたジェフ・ブリッジスを思わせた。「おはよう、おはよう・・・」と言って始まったライヴはファーストセットとセカンドセットでダブリ曲なしという密度の濃さ。 ![]() サッチモの「ホワット・ア・ワンダフル・ワールド」やビリー・ジョエルの「ニューヨーク・ステイト・オブ・マインド」、ミュージカル『バブリング・ブラウン・シュガー』の挿入歌としても知られる「スイート・ジョージア・ブラウン」など有名なスタンダードがマリーナ節で次々と歌われる。彼女の場合特に低音の声が魅力的。あの低い声はなかなか類をみない。もちろん、その声は上に行くのも、下に行くのも自由自在。声帯使いのプロだ。しかも曲調も様々なタイプを実にそつなくこなす。声で彼女の世界を作る。What A Wonderful Her World! 今年のパフォーマンスは、去年見た時よりも、声に張りと艶(つや)があってよく通ってるように感じた。ライヴが終った後、少しだけ話した。「あなたの声はとても強力ですね。どのように維持されてるのですか」 すると彼女は「子供が5人もいて、いつも叫んでるからねえ。ははは」とジョークたっぷりに答えた。気のいいビッグママという感じのマリーナ・ショウ。彼女はステージでも笑いを取ることを忘れない。「ではお孫さんは?」「7人いるわ。それも、み〜〜んな女の子なのよ。だから買い物しっぱなしよ(笑) もうすぐクリスマスだから、何かあげなきゃね」 「じゃあ、何かプレゼントを買うんですね」 「いやあ、最近はみんな物じゃなくて、現金や、あれ、なんだっけ、デパートなんかで使える・・・、ああ、商品券。そういうのを欲しがるのよねえ(笑) 私は、メイシーズで買い物するけど、彼女たちは高級店に行くのよ(笑)」 本当に気取りのないフレンドリーな人だ。だからサインや写真をねだるファンがいれば、誰にでもつきあう。 帰り際、車の中でJウエイヴの『ソウル・トレイン』を聞いていたら、男女のモノローグが流れてきた。映画のようなやりとり。都会のバーでの会話だ。男「どんな仕事をしているの?」 女「社会サーヴィスみたいなものね」 男「何か奢らせてもらえないかな」 女「シャンペーンを持ってきて」 男「今日はね、僕にとってお祝いの日なんだ」 女「へえー、どんな」 男「9回目の結婚記念日なんだ」 女「サム(ウエイター)、(シャンパーンを大きな)マグナムにして!」 マグナムにして、といったところが実にちゃっかりしていて笑える。会話に思わず聞き入ってしまった。そのモノローグはマリーナ・ショウの 『フー・イズ・ディス・ビッチ・エニウェイ』 の1曲目「ストリート・トーキング・ウーマン」の冒頭部分だった。夕方にCDを買い直したばかりの作品だった。 (2003年12月04日(木)赤坂Bフラット=マリーナ・ショウ・ライヴ) ENT>MUSIC>LIVE>Shaw, Marlena |
Diary Archives by MASAHARU YOSHIOKA |