NO.445 |
2003/11/13 (Thu) |
Mama Is Always On The Stage |
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僕の名前はガブリエル。僕のママは有名なヴォーカル・グループの一員。アメリカ中、世界中旅をしてまわる。僕は、いつもママと一緒にいたいから、ママについて世界中を旅する。グループは結成してもう30年近くたつらしい。僕はまだ8歳だから、僕が生まれるずっと前の話だ。男女2人ずつの4人組。ママはそのうちのひとり。 ママたちは本当に世界中どこへでも行く。勉強はママが教えてくれる。まあ、たまには学校に行ってクラスメートに会うというのもいいかもしれないけど、毎日クラスメートに会うよりも、毎日ママと一緒にいたほうがいいや。それに、他のグループのメンバーもみんなやさしいし。 夜遅くまでライヴハウスにいて、眠くなったりしないかって。大丈夫だよ。もう慣れっこさ。それに本当に眠くなったら楽屋で寝ちゃえばいいんだから。どこでもいつでも寝られるのが僕の特技さ。 今日も東京のライヴハウスでママが歌う。超満員だ。このライヴハウスは広くて、しかも天井が高くて、とてもかっこいい。立ち見もでてる。ママたち、日本でも人気なんだ。ママたちが歌っている曲は、スタンダードっていうらしい。昔からある曲らしいんだ。それを4人でハモッテる。でも、僕はいつも見ているからね。ママたちが歌ってるとき、僕はいつも舞台の袖で見てる。近くにいたいからさ。時々、ママは僕の方を見てくれる。ママが歌って、観客席からママに拍手が送られるととっても嬉しいんだ。僕もいつかあのステージに上ってみたいな。ママたちの音楽は、ママたちのママやパパたちが好きそうな音楽みたいだね。 ママはシンプルなライフスタイルが好きらしい。うちには、いまだかつてテレビっていうものがないの。それから、皿洗い機もないよ。以前、同じ年くらいの子と話したときテレビがないって言ってたら、驚いていた。テレビの話題はついていけないんだ。でも、同年代の子たちとしゃべる機会はあんまりないし、テレビがないっていうのが当たり前だから、別に気にならないよ。テレビの代わりに、いつもママたちのステージがあるからね。それに同年代の子たちが行けないようなところにも行けるわけだし。 ママは「知らない人と話ちゃいけない」ってよく言ってる。だから、あんまり知らない人とはしゃべらないんだ。ママはだいたいいつもゴキゲンだけど、たまにうまく歌えなかったりすると、楽屋で落ち込んでたりする。それから、風邪とかひかないように、すごく気をつけてるみたい。 あとね、うちではいつも歌ってるよ。サックスが好きでよく吹いてる。前はよくピアノを弾いてたんだけど、最近はいつもサックスだ。最初のうちはえらくうるさかったけど、このところ、まあまあって感じになってきたかな。ママは友達には「サックスは趣味だから」って言ってるみたい。メディテーションもよくやってる。僕にもやれって言うんだけど、たいくつだからすぐ飽きちゃうんだ。あんな長い時間なんで、じっと座ってられるんだろうね。 マンハッタンのアパートのうちの隣にとても音楽好きのおじさんが住んでるんだ。で、部屋にいるときはいつも音楽を大音量で鳴らしてる。僕は、うるさいなあって思うんだけど、ママはときどき聞き耳を立てて聞いてる。今では、友達になって、いろんな音楽情報を交換してるみたいなんだよ。おじさんは映画監督らしい。何を作ってるかは知らないんだけどね。でも、とにかくいろんな古い音楽を知ってるらしくて、ママが感心してた。ママがアルバム作るときも、そのおじさんから勧められた曲なんかも歌ってるみたいだ。 もちろんママがスタジオにレコーディングに行くときもいつも一緒さ。スタジオはライヴと雰囲気が違うね。ママもけっこう普段着で行くし。あと、スタジオにはいろんなゲームマシンがあって大好きさ。でも、ママは歌入れもあっという間に終らせてしまう。 あ、ショウが終った。ママがステージから降りてくる。一旦楽屋に戻って、また出てくるんだ。ママはいつもステージの上。そこで、観客からの拍手喝采をもらって、毎日の栄養にしてるみたい。ステージのママもおうちのママもどっちも大好きさ。 (この物語はフィクションです) |
Diary Archives by MASAHARU YOSHIOKA |