NO.420 |
2003/10/19 (Sun) |
Sam Cooke/Legend: Sam Sings, Sam Talks, Sam Teaches |
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サム・クックのDVD 『レジェンド』 を見ました。なるほど、おもしろい。そういえば、今まであまりサムが話すところとか、歌うところの映像なんてほとんど見たことがなかった。それがふんだんにでてきます。ソウル、R&Bの世界での初ヒット「ユー・センド・ミー」が57年、そして、64年12月の死まで彼の作品がヒットしたのは、だいたいこの7年間の間のことです。R&Bの歴史の中でもっとも重要な一ページをしめるひとりでもあります。 レイ・チャールズ、サム・クック、オーティス・レディング、マーヴィン・ゲイ、ジェームス・ブラウン、ダニー・ハザウェイ、 スティーヴィー・ワンダー、アレサ・フランクリンなどなど、多くのジャイアントがいますが、サムはその中でも特別です。歴史はその7年間に凝縮されています。 ゴスペル時代から、すでにハンサムで洋服のセンスがおしゃれで、頭が切れて、歌がうまかった。よってその頃からいつも女の子にもてもてだった。その彼がゴスペルの世界からポップなR&Bの世界に進んだら、大スター間違いなしです。 このドキュメンタリーは、彼の生涯を作家ピーター・グラルニックの構成・台本で描いたもの。多くのアーティストもインタヴューに答えます。中でも、ルー・ロウルズ(相変わらず低音がかっこいい)、ボビー・ウーマック、アレサ・フランクリンなどのインタヴューは実におもしろい。 アレサとサムがあるとき、ホテルの部屋でいいムードになったら、そこにアレサを探す父親の大きな声が聞こえて、アレサはそれにびっくりして、すぐさま父親にばれないように自室に戻った、という。もし、サムとアレサが結婚でもして、子どもが生まれていたら、これ以上のサラブレッドはいないでしょう。どんな子どもになっていたんでしょうね。アレサとサムの子どもなんて、想像しただけで、ソウルフルです。 このドキュメンタリーは元々2001年アメリカのケーブルテレビで放送されました。それを元にDVDを制作したものです。このDVDでは本編(約70分)で使われなかったアーティストたちのインタヴュー素材がふんだんに別チャプターで収録されています。長さにして約120分。これはすごい。まだこちらのほうは、全部は見てませんが、ここがDVDの情報量のすごさですね。 ウーマック&ウーマックのリンダ・ウーマック・クック(今は名前をゼリイヤに変えています)も登場。非常に勉強になります。新しく知ったことばかりですが、サムはものすごい読書家だったんですね。「とにかく、本を読め。そうすれば、いい詞が書ける」とボビー・ウーマックに言ったりしてた。「誰にでもわかる言葉で、はっきりした発音で歌え。そうすれば、メッセージは伝わる」など、重要なことが次々と語られます。ボビーはもごもご歌っていると怒られたそうです。日本の歌手なんて、サムからしたらみんなもごもご歌ってるって感じてしまうでしょうね。サザンなんか完璧にダメだしされるでしょう。(笑) 南部での人種差別のことなんかも事細かにでてきます。そして2度出演したニューヨークの一流クラブ「コパカバーナ」のことなども紹介されます。 こういう良質のドキュメンタリーは、ぜひNHKあたりでオンエアして欲しいですね。DVDお勧めです。アメリカ盤も日本語字幕入りでOKですし、日本盤も秋には発売される予定です。 |
Diary Archives by MASAHARU YOSHIOKA |