NO.412
2003/10/12 (Sun)
Sam Cooke: Live At The Copa, 5.1 Stereo Surround
SACD。

オーディオ雑誌Beat Soundから、今度発売されたサム・クックのSACDと5.1チャンネルの新作を特集するというので、その音を聴いて何か書いてくれ、という依頼がきた。で、うちには5.1チャンネルもSACDの再生機もないので、編集部のリスニングルームに出向いて、さんざん試聴してきた。

オーディオに詳しい方ならすでにご存知かと思うが、SACDというのは、スーパーオーディオCDの略で、まあ超簡単に言えば、従来のCDより音がいいというCD。この方式で『サム・クック・リマスタード・シリーズ』と題され、アメリカ・アヴコから発売されたものが、日本でも輸入盤に日本語解説・歌詞などがつけられ発売された。発売されたタイトルは、 『エイント・ザット・グッド・ニュース』 『トリビュート・トゥ・ザ・レイディー〜ビリー・ホリデイに捧ぐ』 『ポートレイト・オブ・レジェンド』 『キープ・ムーヴィング・オン』、 そして、 『ライヴ・アット・ザ・コパ』 。さらに今秋 『サー・レコーズ・ストーリー』 も出る。この中で、『ライヴ…』が5.1チャンネルでのリマスターになる。これに加え、すでに本ホームページでも話題になったサム・クックのDVDも発売されることになっている。(これは発売が延期になっている)

さて、通常のCDとSACDを比べると、SACDのほうが一言で言えば音に広がりがある。通常左右のスピーカーの真中に座って音楽を聴くと、左右の感覚というものはわかりやすいが、このSACDだと、左右も微妙な左右の感覚の違いがわかる。ギターの位置が左から少しセンター寄りとか、ドラムスが中央にいながら、ハイファットの音が移動したり、とか。さらに、前後の感覚もよくわかる。奥行きがどーんと出る。さらに、今回驚いたのは上下の感覚も時としてわかるという点だ。目をつぶってサム・クックのCDを聴いていると、本当に目の前でサムが歌っているように思えてくるほどリアルだ。

ちなみにこれらサムのSACDは、通常のCDプレイヤーでもかけられるようになっている。仕組みは、SACD用の音のデータと通常のCDプレイヤー用の音データがふたつ入っていて、それをプレイする機械に応じて、自動的に再生されることになっている。さて、SACDのよさはとりあえずわかった。そこで、最後に5.1チャンネルの 『ライヴ・アット・ザ・コパ』 を試聴したのだが・・・

簡単に5.1チャンネルを説明すると、スピーカーは6本。左右2本、その中間のセンターに1本、背後に左右2本、そして、適当なところに低音専用のウーハーという種類のスピーカーの計6本を置く。それら6本のスピーカー中央で聴くので、360度音に囲まれることになる。

この 『ライヴ・アット・ザ・コパ』 はアナログ時代に何度も聴いていた。しかし、この5.1チャンネルで聴いて、ぶっとんだ。驚きました。リスニング・ルーム、完璧にライヴハウスだ。目の前でサム・クックが生き返った。歌ってる、サムがすぐそこで。拍手や食器などのかちゃかちゃいう音が実にうまくその会場の雰囲気を再現する。これは、すごいわ。どうなってるの? って感じだ。元のテープはおそらく2チャンネルか、あっても3チャンネル。それがなんで、5.1になるんだろうか。(笑)  というか、そういうことが技術的にできるようになり、その高度な技術を持ったエンジニアがその奇跡を起こしたということなんですね。

1964年6月7日、8日にニューヨークの有名なクラブ、コパカバーナで行われたライヴだが、2003年の今日、瞬時にニューヨークという場所と、1964年の時代にトリップさせてくれた。サムの歌も、なんかこう直接はいってくる。もうありとあらゆるライヴ・アルバム、5.1チャンネルにして欲しいと思った。

これは元が2か3チャンネルからここまで出来てしまうわけだから、最初から5.1で録音するつもりだったら、もうライヴそのままを記録できてしまう。恐るべし。秋葉原のオーディオ・ショップなどに行けば聴けると思うので、ぜひ一度お試しあれ。音楽に対する価値観が変わるかもしれない。


Diary Archives by MASAHARU YOSHIOKA
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