NO.393 |
2003/09/23 (Tue) |
Tatsuro Sings Blues, Emyli Sings Soul: It Was A Blues & Soul Night |
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先日のジャム&ルイスのパーティーで会ったエミリちゃんとそのお父さん楠木勇有行(くすのき・ゆうこう)氏が、友人のジャムセッションで歌うというので、目黒のブルースアレーに行きました。この日のイヴェントのタイトルは、『ジュン&アキオ、ブルース...アレ!』というもの。基本的にはミュージシャン仲間が好きなブルースを楽しくやろうというもの。メンバーは青山純(ドラムス)、鈴木明男(サックス)(この二人がジュン&アキオですね)、佐々木久美子(キーボード)、種子田健(ベース)、西山史翁(ギター)の5人。ここに様々なゲストがはいるわけです。 時間の都合で2部から見たのですが、「ブルース・フォー・ショーティー・ビル」(メイシオ・パーカーの曲かな? 確信なし)でいきなりブルージーにスタート。そして、2曲目で楠木勇有行氏が登場し、ダニー・ハザウェイの「リトル・ゲットー・ボーイ」を熱唱します。ダニー好きとは聞いていましたが、なるほど、これは聴きこんでいるというか、歌いこんでいるというか。この曲自体をライヴで見るのは初めてでしたが、きっとダニーもこうやってエンジョイしながら歌っていたんじゃないかなあ、などと想像しながら聴きました。楠木さんは、「柳ジョージ&レイニーウッド」の柳ジョージの後釜にはいった人、という知られざるエピソードをステージでちらっと明かしていました。(60へぇ〜〜くらい) そして、彼が「15歳の女の子を紹介します。実は娘なんですが・・・」という紹介で、黒の衣装に身を包んだエミリーちゃん登場。まずは「アイル・ビー・ゼア」。しいていえば、ジャクソン・ファイヴというより、マライア・キャリー・ヴァージョンでしょうか。ちょっと出だしが硬かった感じもなくはなかったですが、高音の伸びの部分あたりは、なかなかです。そして、アリシア・キーズの「フォーリン」。ジェームス・ブラウン・マナーのあの重厚な曲です。こんな曲をカヴァーするというだけでいい意味で大胆不敵。そして、ピンクの「ミザリー」。このあたりになると、すっかりステージに慣れたのか、歌いっぷりも堂々としたものです。 途中のトークで、楠木氏「今度のデビュー・アルバムで、エミリーが全曲、詞を書いているんですよ」と説明。すると、横の長年の友人でもある鈴木明男氏「じゃあ、曲は?」と尋ねると、楠木氏「あ、僕」。すると、鈴木氏ちょっと首を振り「それはどうなんだ」と言わんばかりのジェスチャーをみせます。楠木氏すかさず、「今まで書きためた曲から、いい曲ばかりを選抜してるんだから」と切り返し。「選抜!」 いい言葉です。 ライヴパフォーマンスは今15歳ということを考えると、将来性というか、伸びる余地というのは、ものすごいものがありますね。もっともっといろいろなことを経験し、歌にドラマと深みを持たせるようになれば、鬼に金棒でしょうね。言ってみればダイアモンドの原石か。第一、あなたが15歳の時、人前でバンドをバックにこんなに歌を堂々と歌えたでしょうか。声が伸びていくところが、特にいいですね。あとは場数でしょうね。本当にエイジ・エイント・ナッシング・バット・ザ・ナンバーです。 そして、キーボードの佐々木さんが「おそうじオバチャン」を歌います。憂歌団の作品。いやあ、実は僕はこの曲初めて聴いたんですが、これ、いいですねえ。ブルーズで。よく出来てる曲です。最初聴いているときは、「シングルヒット、いけるのでは」なんて勝手に思ってしまいましたが、もう昔話題になっていたんですね。バンドもけっこうタイトで、ブルージーでいい感じです。 一旦全員がはけると、拍手がなかなかやみませんが、スタッフの人がギター・アンプをもう一台ステージに準備し始めました。しばらくして、明男さんがステージにあがり、「もう一台アンプが用意されたということは、ここに誰かが来るということですね。(ひと息あって) 来てくれないかと思っていましたが、本当に来てくれました。山下達郎!!」 観客席から一斉に「おおおおっ」という声と大拍手。超びっくりしました。いやあ、今までもいろんな飛び入りに遭遇してきましたが、久々に背筋がぞくぞくとくる飛び入りでしたねえ。見事なサプライズ。ドラムの青山氏が達郎氏のドラムをずっとやっているつながりでしょう。 達郎氏はブルーズをやりにきました。アンコールの一曲目はジミー・リードの「ベイビー・ホワット・ユー・ウォント・ミー・トゥ」(1960年R&Bで10位)。達郎さん、かなりギター弾きまくり、歌います。そして、続いてはなんとラスカルズの作品「シンギン・ザ・ブルース・トゥ・ロング」。これは68年のアルバム『ワンス・アポン・ア・タイム』に収録されている一曲。彼の透き通った声と、このブルージーな曲のバランスが実にユニークです。彼のブルースは初めて聴いた。とはいうものの、このどちらも曲名はわからず、ショウが終わった後、楽屋に行って達郎さん本人に曲名を尋ねたんですが。 そして、今日のゲスト全員をあげて「ホワッツ・ゴーイング・オン」を合唱。なかなかなものです。こういうジャムセッションは、きっとやっている本人たちが一番楽しいんだろうな、と思いました。もちろん、聴く側のこっちも楽しいんですが、やっている人たちの楽しさが伝わってきます。 達郎氏がブルーズを歌い、プレイし、エミリーと楠木勇有行氏はソウルを歌った。ブルーズ&ソウルな夜でした。いやあ、なんかものすごく得したような一夜でした。 (2003年9月22日月セカンド・目黒・ブルースアレイ・ジャパン=ジュン&アキオ・ライヴ) ENT>MUSIC>LIVE>JUN&AKIO, EMYLI, YUKOU, KUSUNOKI, TATSURO, YAMASHITA |
Diary Archives by MASAHARU YOSHIOKA |