NO.252
2003/05/11 (Sun)
Algonquin's Bar: From Manhattan To Daizawa
朝日。

マンハッタン44丁目。フィフス・アヴェニューとシックスス・アヴェニュー(アメリカズ・アヴェニュー)の間にあるのが、1902年にオープンし、ドロシー・パーカーなど数多くの作家たちを惹きつけた魅力的な名門ホテル「アルゴンキン・ホテル」です。10年以上前に、一度滞在したことがありますが、そのときはかなり重厚な、そして、伝統的なホテル、でもちょっと古臭いという印象でした。98年に大改装をしたそうですが、それは見ていません。

アルゴンキンの中にあるバーは、「ブルー・バー」。かつて多くの文士たちがここや、レストラン、スイートルームに夜な夜な集っていたそうです。日本で言えば「山の上ホテル」みたいなものでしょうか。

そのアルゴンキンの名前を冠したバーが下北沢にあると聞き探しに行きました。正確に言えば代沢、茶沢通り沿い。ローソンの斜め前あたり。小さな扉を開けると、かなり暗めのカウンター8席だけのバーがありました。ほんの2ー3日前に噂を聞いたのですが、なんとお店の創業は89年頃とのこと。

オープン当初は、ピチカート・ファイヴの小西さんの弟さんがやっていましたが、96年暮れから現在の保(たもつ)さんが、引き継いで経営をしています。

「ソウル・バーということで、いいんですか」と訪ねると、マスターの保さんは、「ええ」と答えます。バーの壁約半分がお酒、半分がアナログのレコード棚。およそ2000枚程度のアルバム、12インチと若干のCDがあります。かけるのは、ターンテーブル2台とCDプレイヤー。基本的には、70年代のソウル・ヴォーカル・グループが大好きということで、そうしたスロー・ジャム系が中心で、次々とメローで、ジェントル、とろとろのとろけスイート・ソウルが、これでもかこれでもかと惜しげもなくかかります。僕もすっかり骨抜きにされてしまいました。

週7日営業で休みなし。営業時間は夜8時から原則朝4時まで。ただし、お客さんが残っていれば、続けます。年に一度くらい1ヶ月か2ヶ月まとめてお休みをいただくこともあります。先日はタイに2ヶ月ほど行ってきたそうです。

「イン・ザ・レイン」がかかりました。しかし、ドラマティックスではありません。「う〜〜ん、誰だ、これ」 「オリジナルと関連のある人です」と彼がヒントをくれました。「わかった! ウィ・ジーだ!」 「はい、正解です」 カルトクイズ、スイートソウルの巻。なんと元ドラマティックスのウィ・ジーでした。

ハイ・ファイヴ(無名なほうのハイ・ファイヴ)の「レッツ・ゴー・オール・ザ・ウエイ」、ヴァン・ジョーンズ、スパイス、アートワーク、そして、J.R.ベイリーの「シー・コールド・ミー・ベイビー」がかかります。さらに「シュー・シュー・シャイン」が流れてきました。しかし、オリジナルのダイナミック・スペリアーズではなくて・・・。そう、センターホールド! 

マニアックだ。インディだ。レアものだ。知らないのが次々かかる。思わず車に乗っていた数枚のシングルとアルバムをお持込。次から次へ、「これは?」 「これ、なんですか?」の質問。メモ、メモ。

「いやあ、最近はそんなに音楽聞いてる人いないから、そういうときは、もう自分で焼いたCDRかけっぱなしの時もあるんですけどね。今日はやりがいがあるなあ(笑)」と保さん。

しばし、これでもか、これでもかのソウル・バトルの趣です。いいですねえ。お店は、お客さんが作るんです。(笑) はい。「DJやる気」に火をつけたようです。

僕を含めて5人で乗りこんだこのアルゴンキン。いやあ、気に入りました。いろんな話をしていて、ふと気がついたらもう5時。外にでたら、な、な、なんと明るくなって太陽がでているではありませんか。またまたドーン・ウィズ・フェヴァリット・ソングでした。

「徹夜明けの朝日がまぶしい・・・」(刑事コジャックのオープニング・ナレーション)。真っ赤で大きな朝日がまぶしかった。


アルゴンキンズ
〒155-0032 東京都世田谷区代沢5-6-14
電話 03-3412-6942
休業・基本的になし。午後8時から午前4時。
チャージ300円、ドリンク600円〜



Diary Archives by MASAHARU YOSHIOKA
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