NO.204
2003/03/30 (Sun)
Feeble sound of whistle @ Embassy night
年季。

DJブースの上と下のほうにあるアナログ・ディスクのジャケットは、もうぼろぼろです。ジャケットのはじっこがよれよれになっているくらいなら、まだまし。もう3から5センチくらい切れていて、原型をとどめないものさえあります。中にはアナログ年齢40歳を超えるものもありそうです。30歳代はいくらでも。

かなり年季の入ったテクニクスのターンテーブルにクール&ギャングの「ファンキー・スタッフ」を乗せました。バリー・ホワイトの「キャント・ゲット・イナフ・オブ・ユア・ラヴ」がフェードアウトしてきたので、がつんと、「ファンキー・スタッフ」を送り出しました。イントロのホイッスルの音がダンスフロアに鳴り響きます。

し、し、しかし。そのホイッスル音、本当ならがつ〜んと「ピ〜〜〜」となるはずなんですが、なにせ、何千回とかけたレコードゆえに、溝がすれていて、音まで薄くなっています。もちろん、途中の曲の間も、チリチリした音がかぶさり、しかも、低音も気持ちはりがないように思えます。それほど、かけたレコードという意味です。すごいなあ。

「ファンキー・スタッフ」は73年のヒットなので、このレコードも30歳か。レコード自体を買いなおしていれば、ちょっと違いますが。さて、次に「モア・ファンキー・スタッフ」をつなげようかとも思いましたが、ここは、少しテンポを変えて同じクールたちを「ジャングル・ブギー」で、ダブルプレイすることにしました。タランティーノが映画『パルプ・フィクション』でも使った曲ですね。これだけステップがそろって踊られるという場所は、世界中どこを探しても、この店と数軒しかないでしょう。

この日は、前のDJがMFSBの「TSOP」で交代したので、僕はそれに続ける曲としてハロルド・メルヴィン&ブルーノーツの「バッド・ラック」を一曲目にもってきました。クールたちは、1時間のDJタイムですでに中盤です。なぜかアースの「シャイニング・スター」があまり人気がなかったので、マーヴィンの「ホワッツ・ゴーイン・オン」で、客足(!)を再度つかみ、同系統のブラックバーズの「ウォーキング・イン・リズム」をはさんで、ブルーノーツの「ラヴ・アイ・ロスト」でしめてみました。結果、ハロルド・メルヴィン&ブルーノーツの「バッド・ラック」で始まり、同グループの「ラヴ・アイ・ロスト」で終わるというよくできた締めになりました。

70年代に一世を風靡した六本木のディスコ「エンバシー」にちなんだ「エンバシー・ナイト」というイヴェントでした。

そこでDJをやるのは、僕は初めてだったので、前のDJの方が横についてレコードを探すのを手伝ってくださいました。それがエモリ・アイ氏です。観客のみなさんは、びしっとステップを踊り続けてくれました。ミラーボールに、赤、青、緑などの照明の点滅。鏡に映る自分の姿を見ながらみなと同じステップを踊る10代から50代までの人々。髪がグレイになった人が汗を拭きながら、戻ってきます。10代の子は、ミネラル・ウォーターのペットボトルを手に取ります。こうして、白金「ダンステリア」の夜はいつもと同じように更けていきました。

ソウルの元に年代を超えてワンネーション。


Diary Archives by MASAHARU YOSHIOKA
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