NO.143
2003/02/03 (Mon)
Brand New Heavies: Off The Mike
魂談義。

「ソウル・ブレンズ」にゲストでやってきたのが、イギリスのグループ、ブラン・ニ
ュー・へヴィーズのひとり、ヤン・キンケードです。彼もまた、11月にやってきたイ
ンコグニートのブルーイ同様音楽好きのミュージシャンでした。一緒にグループをや
っている二人とは同級生で、もう20年以上のつきあいです。

サイモンとは4歳のときから、アンドリューとは11歳のときからの友達です。それだけ
にグループとしての結束はイギリスのグループにしては珍しく(!)強固です。

1966年生まれのヤン本人は、ジェームス・ブラウンとミーターズがもっとも好きな影
響を受けたアーティストといいますが、実は、彼自身も4−5000枚を超えるアナログ・
レコード、さらに同じ位のCDを持つレコードコレクターでありました。そこで、好
きなアーティストやアルバムを選んでくれ、と言われても、「それは、無理だ」と答
えます。

「僕は別にいわゆる『コレクター』ではないから、音楽そのものが聴ければいい。も
ちろん、アナログで入手できればそれにこしたことはないが、CDでも別にかまわな
いよ。僕のコレクションは、さまざまなジャンルに及ぶ。もちろん、ソウル、R&
B、ジャズ、ラテン、ワールドなども聴く」

彼に番組でかけたい曲をひとつ選んでもらったら、なんと、それはマーヴィン・ゲイ
の「ホワッツ・ゴーイン・オン」でした。なぜか、と問うと「メッセージだ。この曲
のメッセージを今、みんなに聴いてもらいたい。昔の曲だけど、今こそ、このメッ
セージが聞かれるべきだと思うから」と答えました。完璧に同感です。

曲がかかっている間、彼が「ダニー・ハザウエイのライヴのこのヴァージョンを知っ
てるか」と話しかけてきました。「もちろん、あのアルバムはクラシックだよね。ど
の曲が好き? 『ゲットー』、『リトル・ゲットー・ボーイ』・・・」と僕。

「う〜〜ん、みんないいな。ダニーの『ホワッツ・ゴーイン・オン』も、本当にすば
らしいね。あのライヴ・アルバム自体が、完璧だ。あの現場にいたかったよ。『ゲッ
トー』の途中で、観客が拍手をして興奮するところがあるだろう。あそこなんかもう
最高だ」

「ということは、タイムマシンがあったら、あのライヴ会場に行きたい?」

「まちがいない! もうひとつ、もし時間が戻れるなら、行きたいところがあるよ。
ジェームス・ブラウンのライヴを録音したそのときのアポロ劇場の一番前の席でジ
ェームス・ブラウンを見たい!」

「ジェームス・ブラウンに会ったことは?」

「ある、ある。8年ほど前、彼のオープニング・アクト(前座)をやったことがあるん
だ。そのとき、僕たちがリハーサルをしていたら、どうやら、ジェームス・ブラウン
が楽屋にいたらしい。そこで、僕たちの音が聞こえたらしくて、いつのまにか、リハ
をしている僕の真後ろで見ていたんだ。そして、『いいじゃないか』って後ろから声
をかけられて。僕は何も知らなかったから、ただ振り向いた。そうしたら、そこにゴ
ッドファーザーが立ってたんだよ。もう、びっくりしたよ。今までの人生の中であん
なに驚いたことはなかったよ。もうそれから緊張してね。(笑)」

「は〜い、そろそろ、はいりま〜す」 ディレクターが声をかけてきました。まもな
く「ホワッツ・ゴーイン・オン」が終わろうとしているときに、オンエアー用マイク
のスイッチが入りました。

DJマーヴィンとヤンのやりとりが再開されました。
Diary Archives by MASAHARU YOSHIOKA
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