NO.130
2003/01/21 (Tue)
Yokozuna's Retirement
引退。

横綱貴乃花関が引退しました。僕はそれほど熱心な相撲マニアではありませんが、一般レベルではそこそこの興味はあります。

スポーツの世界でインタヴューしてみたい人が二人いて、そのうちの一人が貴乃花です。ちなみにもう一人は、イチロー選手ですね。

貴乃花って、記者会見とか、非常に答えがシンプルで、しかも当たり前の差し支えのないものしか返ってこないでしょう。はっきりいって記者会見はつまらない。とはいうものの、ああいう答えになるのは、十分理解できます。でも、そこを打ち破って、もう少し話を聞き出したい。しっかり腰をすえて、がっぷりよつのインタヴューをしてみたい。それにはこちらも、かなりの準備が必要であることは言うまでもありません。相手が横綱なんだから、やっぱり、こちらもインタヴューするものとして同じ横綱かせめて大関くらいになってないと。

「明日インタヴューできますから」と言われても、こっちの準備ができていないと、インタヴューは成立しない。イチローも同じです。イチローに食い込んで確かなインタヴューができているのは、ほんの一握りの人だけです。

僕が貴乃花に興味を持ったのは、確か、彼が大関になったあたりのことだと思います。僕は「父親と息子」という点において大変興味を持ちました。よく「偉大な父親を超えられるか」とか言われますよね。二世たちは、常にそこに脚光が当てられる。で、若・貴もいつもそういう目で見られてきた。長島ジュニアもそうだろうし、二世で活躍する歌舞伎役者や俳優たちも同じです。

「息子は父親を超えたか」という命題はよく出されるもので、たいがい、結論は、数字で超えたとしても、結局は息子はどう転んでも父を超えることはない、といったものです。

貴乃花の場合、父親の地位『大関』を超えた『横綱』になったのですから、ある意味で「父親を超えた」わけです。しかし、違う面で超えたところもあるだろうし、超えてないところもあるでしょう。そもそも比較が無駄だという意見もあるかもしれません。しかし、この「父親を超えたか」というテーマはとてもわかりやすく、耳なじみがいいので、とっつきやすい。

ソウル界にもたくさんの二世アーティストが登場しています。『ソウル・サーチン』でも書いたナタリー・コールの物語 http://www.soulsearchin.com/soulsearchin/7.html 、あるいは、父親との確執が劇的な結末を迎えるマーヴィン・ゲイ http://www.soulsearchin.com/soulsearchin/2.html 。このページでも紹介したカール・アンダーソンの話。 http://www.soulsearchin.com/entertainment/music/story/anderson199501.html  そこには、実にさまざまな知られざるドラマがあります。そんな親と子というテーマで、貴乃花の話がきいてみたいと思うわけです。

貴乃花にとって、父親とは、師匠とは。父を超えるとはどういうことか、超えたと思うか。超えていない、あるいは超えられないと思うのであれば、それはどのあたりか。興味はつきません。

15年間土俵にいて、でも、まだたったの30歳。これからの人生のほうがはるかに長いのです。貴乃花の第二の人生に神のご加護を。God bless Takanohana!

Diary Archives by MASAHARU YOSHIOKA
|Return|