Orito Live At Blues Alley: Homework Is Still Remain

宿題。

単身メンフィスへ乗り込み、アル・グリーン育ての親であるウィリー・ミッチェルにプロデュースを依頼し、それを実現させた男、オリト。その彼のデビュー作『ソウル・ジョイント』が出たのは95年6月のことだった。それからすでに9年の歳月が流れている。その後彼は2枚のアルバムを出したが、デビュー作を超えるヒットにはなっていない。そんな彼が事務所などを変わり、久々にライヴをすると聞いたのでいってみた。

以前彼のライヴをどこかで一度くらい見たような記憶がうっすらとあるのだが、どこで見たかは覚えていない。見たとしても、デビュー時だから95年頃のことなのだろう。それはさておき、会場は目黒のブルースアレー。

セットリストを見ると、なかなかいい選曲だ。1,3,4,5,6,セカンドの2,3などがカヴァー。マーヴィンの「レッツ・ゲット・イット・オン」など意図することはよくわかるし、パフォーマンスの仕方も理解できるのだが、どうしても今ひとつエッチ度が足りない。英語だと意味が聴衆に伝わらない、だからといって日本語でやっても、うまくいかない。ここはむずかしい問題だ。やはり日本語では無理なのか。センシュアルな表現というのは、まだ日本人にはできないのか。これは大きな課題だ。

オリジナル曲はまだまだもっと作りこまないと。歌詞は相当改善の余地ありだ。歌詞というのは、例えば雑巾に水を浸して、絞って絞って、水がでてきて、それもでなくなって、それでも絞ってやっと一滴でてくるような言葉、単語、表現、そういうものをひとつひとつ紡いでいかないといいものはできない。もちろん、今の邦楽にそういうものはかなり少ないが、歌詞とメロディーがはまる瞬間というのは、そういう絞って絞ってでてきたような言葉が来た瞬間なのだろうと思う。もちろん、ぱっとひらめいたときにそういう言葉がでることもあるだろう。だが、多くの場合は苦しんで苦しんででてくることが多い。少なくともこれらの楽曲は僕には発展途上に思えた。ただ発展途上曲をライヴで積極的にやることは別に問題ない。あのスティーヴィーだって、未発表曲をやって観客の反応を見るのだから。

「リサ・・・」という曲のテーマはおもしろい。もっといいメロディーといい歌詞を作れれば、いい曲になるかもしれない。ストーリーをもっとふくらませて、起承転結をしっかりつければ印象に残るようになるだろう。ハロルド・メルヴィンたちの「二人の絆」を思わせる「感謝の歌」はテーマやメロディーはいいので、歌詞を絞って絞って編み出せばおもしろいものになるかもしれない。

カヴァー曲以外で印象に残ったのは、アンコールで歌われた「アイム・ユアーズ」という曲だった。これは、デビュー作の1曲目に入っていたのですね。これはいい曲だ。

全体的にソウル・ミュージックが大好きで、そういうのをやりたいということは痛いほどわかる。ただし、どうしても消化不良の感が否めない。また、スイート系とディープ系、どちらが彼の声にあうのか。そのあたりも試行錯誤が必要なのだろう。「ウー・ベイビー」はよかったが、エリカ・バドゥーはあまりはまっていなかったように思った。「アイム・ユアーズ」は向いている。もっとライヴをひたすらやるしかないのではないか。夏休みの宿題は、そこに残っている。ただし、ソウル好きという点で、ソウルブラザーとしては応援したい。

オリト・オフィシャル・ウェッブ
http://www.jvcmusic.co.jp/orito/index.html

Setlist

First set
show started 19:45

1. Superfly (Curtis Mayfield)
2. After Hours/Just The Two Of Us (Grover Washington Jr.)
3. Ooh Baby Baby (Miracles)
4. Let’s Get It On (Marvin Gaye)
5. Show Me (Glen Jones)
6. Let’s Stay Together (Al Green)
7. リサ: 横田基地物語
show ended 20:35

second set
show started 21:09

1. So Shy
2. Tell Me Something Good (Rufus)
3. On & On (Eryka Badu)
4. メイフィールド
5. DJ. Feelgood
6. Finga Play
7. 感謝の歌
8. Ex-Life

Enc. I’m Yours

show ended 22:15

(2004年8月9日月曜、目黒ブルースアレー=オリト・ライヴ)

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