火花。
彼らの体の中には、音楽という名の血液がどくどくと流れている。そしてその熱い血液の対流からふつふつと音楽が爆発している。まさに体内に音楽という名のDNAが多数埋め込まれている連中のパフォーマンスとしか言いようがない。音楽がすべて、音楽さえあれば生きていける、音楽が主食、そういってもおかしくない連中が、本気で楽しんで楽器をならしているバンド、それがこのバンドだ。
グループ名は、「エル・ネグロ&ロビー・バンド」。エル・ネグロというドラマーとロビー・アミーンというやはりドラマーが結成したラテン系のバンドだ。ここに今回は、フルートの超エンタテイナー、デイヴ・ヴァレンティーンがスペシャル・ゲストという役で登場。エルとロビーは、ニューヨークで活躍するラテン系、パーカッションを中心に音を作るキップ・ハンラハンのバンドのドラマーである。それにしても、ふたりとも超強力なドラマーだ。ツインドラムというスタイルは、ジェームス・ブラウンのバンドでも有名だが、ここでも二人は強烈なリズムを刻む。
ヴォーカル男女ひとりずつ、トランペットとサックス、ベース、キーボード、そして、ドラムふたり。これにデイヴのフルートという編成。いずれのミュージシャンも、熱く、文句なし。途中でエル・ネグロが演奏した電気パーカッションは初めて見た。これは、ギターのように首から紐でつるし、胴体のところにいくつものボタンがあり、それを押すと、様々なパーカッションの音がでるというもの。手持ちができるキーボードが登場した時も衝撃だったが、この手持ちパーカッションもかなりおもしろい。こんごどんどん普及するのだろう。
彼らが演じる繰り返しの音から徐々にそこに熱い陶酔が生まれる。チャーミングで魅力的な女性シンガー、ミオソティスの妖しげなダンスには充分誘惑させられた。3曲目で登場したフルート・マスター、デイヴ・ヴァレンティーン! 生で見るのは初めてだったが、こんなにも楽しいエンタテイナーだとは知らなかった。観客席を回ってフルートを吹きながら、ステージへ。その表情の豊かさといったらない。フルートを吹く音と声が同時にでる。ひとつの口元からハーモニーが生まれる奇跡の瞬間だ。それだけではなく、口の音とフルートの音で、ひとりでつっこみとボケをかます。これはおもしろい。
エル・ネグロが終盤訛りのある英語であいさつした。「今日、僕は3つのグループに感謝したい。まず最初のグループは、この一緒に演奏してくれたミュージシャンたちだ。そして、2番目はこの会場(ブルーノート)のスタッフたち、バーテンダーや照明のスタッフなどなど、そして、3番目のグループは言うまでもなくあなたたちファンのみなさんだ」
それぞれのミュージシャンたちのアイコンタクトから生まれる絶妙のタイミングの音楽の交差。ラテン、ジャズ、ファンク、ソウル、ロックすべての道がこの交差点で激しく衝突し、火花が散っていた。それは愛コンタクトの結晶でもあった。
Setlist
show started 21.32
1. Richie’s Brain
2. Sympathy For The Devil
3. 3 For Africa
4. [Flute Solo]
5. Reflections
6. Timba Timbale
7. [Ballad]
8. You Go Crazy(?)
9. Money (For The Love Of Money)
Encore. Arroz Con Mango (?)
(アンコール一曲目でトミー・キャンベルがドラムに飛び入り)
Encore. (?)
show ended 23.01
http://www.bluenote.co.jp/art/20040405.html
(2004年4月7日水曜・東京ブルーノート・セカンド=エル・ネグロ&ロビー・バンド、フィーチャリング・デイヴ・ヴァレンティーン)
ENT>MUSIC>LIVE>El Negro & Robby Band with Special Guest Dave Valentine