新次元。
いわゆる「ジャム・バンド」系のバンドとしてひじょうに人気の高いバンド、ソウライヴの公演。すでに何度も来日して、基本的には毎度おなじみな雰囲気だが、なんと今回は初めてヴォーカルをいれた構成になっている。ヴァーカルの名前はレジー・ワッツ。大きなアフロヘアーがよく似合うシンガーだ。
結論から言えば、このワッツの加入は、かなりいい。リズム・センスのいいファンク、ロック、ジャズをあわせた音楽をやっていたインストバンドが、基本のファンをつかみ、そこにヴォーカルをいれることで、その核となるファンから核爆発が起こるようにファン層を広げる可能性を秘めている。やはり、インストでしっかり基盤ができているバンドは、いい。このドラム、ギター、オルガン(キーボード)だけでこれだけのグルーヴをだせるバンドはたいしたもの。
先日のニューオーリーンズのパパズ・グロウ・ファンクと比べると、パパズがかなり土着的で土臭いファンキーさが強いのに対し、このソウライヴのほうは一歩洗練されたグルーヴを聴かせる。ファンキーさが少し薄まり、ある程度白さがはいってくる感じだ。例えば、ジェームス・ブラウンのJBズとAWBことアヴェレージ・ホワイト・バンドを比較するのと同じように捉えられる。真っ黒なJBズを少し薄めるとAWBになる、といったニュアンスだ。
だから、ファン層も意外とカレッジラジオを聞くような白人のロック好きな人たちが多いのではないだろうか。ちょっとイギリスのグループ、ポリースを好きそうなファンがつくのではないかと思った。白人・黒人だと白人の方が多く、男女だと男性のほうが多い、そんなファン層だ。
考えてみればインスト中心のジャムバンドには、これはという強烈なヴォーカルがいないことが当たり前だが、そこにひとり強力なリードが入ったら、それは一気に人気がでる可能性は高い。そういう意味で、このワッツの加入が新生ソウルライヴを、一回りも二回りも大きな存在にさせるのではないかと感じた。
実際、ワッツは、今回はあまり聴かせてくれなかったが、時折高音をファルセットで歌うとき、マーヴィン・ゲイを思わせるような声になることがあり、一瞬どきっとした。ただしリズム感がめちゃくちゃいいというわけではない。そのもたつき加減がなかなかユニークだ。
ワッツは、シアトルを本拠として活躍。母がフランス人、父がアフリカン・アメリカン。シアトルで活躍する、「へヴィー・ファンク・バンド」と呼ばれるジャンルのグループ、マック・チューブの一員。ソウライヴには現時点ではフィーチャリング・ゲストだが、実質的には4番目のメンバーになりつつある。
特にアンコールで聴かせたワッツとギターのエリック・クラズノーとのかけあいはすばらしかった。これにあまり観客は盛り上がっていなかったが、ひょっとしたら、ソウライヴのライヴは、もはやこうした着席系の店ではなく、スタンディングのライヴハウスのほうが向くのかもしれない。
いずれにせよ、このヴォーカリストがきっかけとなってブレイクして、彼らが一回り大きな会場でライヴをするような気がしてきた。新しい次元への飛躍だ。
Setlist:
Soulive@ Bluenote April 2, 2004, First stage
show started 19.07
1. Steppin’
2. Azucar
3. Rudy’s Way
4. Shine On Me (with Reggie Watts)
5. Part Of The World
6. Be By Your Side
7. Hold On
8. Stop Messin’ Around
Encore
1. Left Behind
show ended 20.27
レタスのライヴ評
https://www.soulsearchin.com/soul-diary/archive/200311/diary20031122.html
ソウライヴ、ブルーノートのサイト
http://www.bluenote.co.jp/art/20040401.html
ソウライヴ・グループのオフィシャル・サイト
http://www.soulive.com/
(2004年4月2日・東京ブルーノート・ファースト=ソウライヴ・ライヴ)
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