決意。
ドラムス、パーカッション、ギターにキーボードだけという4人編成のバンドで、ジョディーは登場した。元々人気テレビ番組『ソウル・トレイン』のダンサーとして注目された人。『ソウル・トレイン』は、ご存知のようにレコード(今ならCD)にあわせてスタジオにいる普通の人たちがダンスをする番組だ。ところが、70年代初期、その中にやたら踊りがうまくて、目立ったのがいた。それがジョディー・ワトリーとジェフリー・ダニエルスだった。もちろん、当時は彼らの名前など一般的には知られていなかった。ダンスが上手なあの娘、くらいだ。ところが、彼らがシャラマーの一員として歌手としてデビューすると、いきなり、彼女たちの人気は爆発した。
そして、ジョディーは84年シャラマーを脱退、ソロへ転じた。以来、次々とソロヒットを放ち一世を風靡する。デビューアルバムは当時つきあっていたボーイ・フレンドで、プリンスの学生時代からの友人アンドレ・シモーンがプロデュース。89年9月、有明MZAに初来日している。
さて、全13曲。やはり、踊りが抜群にいいセンスをしている。歌の合間に見せるちょっとした仕草や動きが優雅だ。ダンスを知り抜いていて、ほんのちょっとだけ体を動かすだけで、充分にダンスを見せるという、プロのダンサーの余裕みたいなものを感じさせた。さらにどんどんと彼女は客席に降りてきて、時に客席に座って歌ったり、サーヴィス精神爆発だ。ほとんどの曲がアップテンポでダンサブルなものだが、ヒット曲「エヴリシング」はピアノ一本でしっとりと歌ってみせた。
アンコール一曲目ではお立ち台ではないが、席の上にそのままのり、踊る。声もしっかりしているし、何よりもそのエンタテインメントぶりに感心した。ダンスや曲調は、ところどころ、マドンナを思わせるところがあった。
さて、ライヴが終ってふと気付いた。なんと、シャラマー時代の作品を彼女は一曲も歌っていない。「ナイト・トゥ・リメンバー」などジョディーの魅力がよくでた作品だと思うが、それに限らず一曲も歌わなかった。ジョディーはかつて、ソロ・デビューした時に、シャラマー時代を振り返って「離婚に終った結婚生活のようだった」と答えた。あまり良い思い出はないようだ。そうした時代を思い出したくないために、ひょっとしたら、彼女はシャラマー時代の作品を封印したのかもしれない。シャラマー時代の作品が一曲も、メドレーという形でさえもなかったことに、彼女の決意のようなものを少し感じた。
Setlist (second set)
show started 21.33
01. Lookin’ For A New Love (CD”Jody Watley”-1987)
02. Don’t You Want Me (CD”Jody Watley”-1987)
03. Saturday Night Experience (CD”Midnight Lounge”-2001)
04. Whenever (CD”Midnight Lounge”-2001)
05. I Love To Love (CD”Midnight Lounge”-2001)
06. Pure Joy (CD”Saturday Night Experience”-2003)
07. Everything (Piano) (CD”Larger Than Life-1989)
08. Your Love Keeps Working On Me (CD”Intimacy”-1993)
09. Still A Thrill (CD”Jody Watley”-1987)
10. Friends (CD”Larger Than Life-1989)
11. I’m The One You Need (CD”Affair Of The Heart”-1991)
encore
12. Photographs (CD”Midnight Lounge”-2001)
13. Real Love (CD”Larger Than Life-1989)
show ended 22.39
(2004年3月3日水曜=横浜モーション・ブルー=ジョディー・ワトリー・ライヴ)
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