ディグ。
いわゆる一発ヒット屋というのは、それこそ星の数ほどいます。今日ここでご紹介するのは、シュガー・ビリーというシンガー。1975年にシングル、アルバム『スーパー・デューパー・ラヴ』がちょっとだけヒットしたシンガー。シングルヒットが2曲、アルバム1枚で消えました。経歴、その他、まったく謎です。「ブラック・ミュージック・ディスク・ガイド」で鈴木啓志さんは、デトロイトでビリー・ガーナー名義で何枚かシングルをだしていた人物と同じではないか、と推察されていますが、どうなのでしょう。
最初のシングル「スーパー・デューパー・ラヴ」は、74年12月にリリースされ75年1月からヒット。ソウルチャートで7位を記録。その後75年3月にアルバムがリリースされ、さらに5月に同アルバムから第二弾シングル「シュガーパイ」がリリースされ、ソウルチャートで43位を記録しました。
彼のアルバムは、こんな感じ。↓
http://www.vinyl.com/product_id/LPFTRA601?PHPSESSID=5de4942d6b866d5bc02b5e2719cceef6
アルバムのジャケットには各ミュージシャンのクレジットがのっていますが、リズム・アレンジメントのシュガー・ビリーの横にレオナード・ジョーンズという名前がかかれています。これは、シュガー・ビリー・イコール・レオナードなのか、シュガーとレオナードは別人で二人でリズムアレンジをしたのか、はっきりしません。まあ、ウィリーはニックネームでビリーになりますからねえ。
いずれにせよ、シュガー・ビリーはギターを弾きます。そして、そのギターの音色はかなりファンキーです。当時のブラックスプロイテーション映画にでてきそうな大きなコートに、クールな帽子を被った写真がダブルホールドのジャケットの中に映っています。
全体的な曲調は、当時のジェームス・ブラウン風ファンクを、一歩洗練させたようなタイプの、基本的にはリズムがはっきりした作品群でまとめられています。声がシャウト系で、はりがあって、印象的。ヴォーカルスタイルは、ミニ・ジェームス・ブラウンといったところでしょうか。
たまたま先週武蔵小山のソウルバーでこのアルバムを20年以上ぶりに聴いたと書きましたが、その「スーパー・デューパー・ラヴ」がいきなり脚光を浴びているわけです。曲タイトルの意味は、「すっごい愛だぜ、お前はオレのことが気に入ってるか?」といったところでしょうか。duperはsuperとの語呂で、深い意味はありません。しいて言えば「強意」でしょうか。意味を強くする、感じ。例のジョス・ストーンのアルバムの2曲目にはいっています。しかし、よくこんな曲、掘り起してきましたねえ。それだけで拍手です。宝物は掘らなければでてこない。You have to dig. まさにジョスとプロデューサーのスティーヴ・グリーンバーグはdigしてます。ジョスのヴァージョンもオリジナルに負けないほどかっこいい。