野心。
3歳の時にすでにマライア・キャリーの「ヴィジョン・オブ・ラヴ」を歌っていた。しかも英語で。4歳の時、マイケル・ジャクソンのステージに上げられ、だっこされた。お母さんの記憶によると91~92年頃の12月30日だという。マイケルの本『マイケル・ジャクソン観察日誌』をチェックすると、それは92年12月30日ですね。マイケル、ドームでやっています。彼女の初ステージはマイケル・ジャクソンとの共演@東京ドーム! このときは東京ドームのみの日本公演で全8回。マイケルはたしかこの年も全部見てるはずなので、ということは、僕はその姿を目撃しているわけだ。witness.
約11年前、東京ドームのマイケルのステージで見た、マイケルにだっこされた当時4歳の女の子が、11年たってFM局のスタジオでインタヴューに答えている・・・。すごいなあ。これだけで。そう今日の『ソウル・ブレンズ』のゲストは、そんなエミリー。88年4月23日東京生まれの現在15歳。awesome.
昼過ぎケイ・グラントさんのT-FMの番組を聴いていたら、なんと彼女がケイさんの最後のゲスト、ということでびっくり。あとで『ソウル・ブレンズ』にも来るということでじっくり聴かせていただきました。(笑) ケイさん、お疲れ様です。しばらく休養されてまたラジオぜひ復活してください。brilliant voice.
僕が最初にアルバムを通して聴いてみてびっくりしたのが、一曲目にかけた「ホエンエヴァー・ユー・コール・マイ・ネーム」ですね。アリシア・キーズか、これ。ってくらい驚きました。しかも15歳。これが45歳の歌手だったら驚かないと思うのです。へ~~、って感じで。そして、改めてアルバムをじっくり聴くと、いい曲が目白押しなんですね。そこでソングライターのクレジットを見るとkusunokiと書いてあって、誰だろうと思い調べたら・・・。
楠木勇有行さんといって、ビクター・アオシス・レーベルから2枚もアルバムをリリースしているということがわかり、しかもそのアルバムにはマーヴィンの「アフター・ザ・ダンス」やら「ドンチュー・ウォーリー・アバウト・ア・シング」やら「バック・スタバーズ」がカヴァーされているではありませんか。ご本人によれば、昔はアイドルとしてシングルも出していた、とか。その後多数のCM曲を歌い、しかも、なんとジェームス・ブラウンの「ミソンパ」の歌唱指導もした、という経歴が発覚。世界広しと言えども、あのミスター・ブラウンに歌唱指導した人なんて後にも先にもいないでしょう。しかも20年以上前から日本人でダニー・ハザウェイ張りに歌うと東京のバンドシーンで言われていたという人物。(BBS情報) Truly R&B connect.
エミリーのプロフィールにはダニー・ハザウェイ、アリシア・キーズ、クリスティーナ・アギレラが好きなアーティストとあります。ダニー・ハザウェイって、生まれる前の話でしょう、それ。(笑) すごい一家に生まれたものです。
ちなみに、みなさん純粋の日本生まれの日本人の一家で、エミリーはアメリカに住んだことはありません。これも驚愕。ただ学校がインターナショナルスクールなので、英語はネイティヴになっていったのでしょう。教会というのは国内にあるアメリカの教会ということかな。what a family.
やはり何がすごいかというと、歌いまわしでしょうね。どこで覚えた、こんな歌い方、って感じでしょうか。そして、曲が日本人好みのメロディーで襲ってくる。しかも、マライア、アリシア、メアリーJ風の要素もある。
僕が最初新人アーティストを見るときに、判断する基準に「これから10年、そのアーティストとつきあっていくか。10年後に聴いているか」というのがあります。ホイットニーなんかあのデビューアルバム聴いて、10年は絶対いけるって確信しましたね。マライアもそうかな、あるいは古いですがドナ・サマーのファースト、マイケルの『オフ・ザ・ウォール』(これは、デビューとは言えませんが)などもそうでした。『オフ・ザ・ウォール』を聴いて、これから10年この彼はどうなっていくのだろうか、っていう感じでした。
でもファーストで必ずしも衝撃をうけるということでもありません。例えば、プリンスはそういう確信を持ったのは4枚目の『コントラヴァーシー』でした。1枚目、2枚目はOK、3枚目はなんだこれ、ていう感じで、4枚目でがつ~んっていう。ジャネットはやはり3枚目の『コントロール』かな。そこから、10年行ける、と。正直最初の2枚のアルバムのときは、このまま消えるかと思った。メアリーJはファーストはすごいアルバムだと思ったんですが、正直10年後についてはわからなかった。途中でふっきれましたね、彼女は。で、見事にサヴァイヴァルしています。ここ2作は特にアーティストとしてすばらしい。テイク6もファーストおよび初めて見たライヴでやられた。10年アーティストだと確信した。それからもう15年ですか。conviction.
そうした判断をする材料が、1に作品(LP、今はCD)、2にライヴ、3に会ってみての本人の雰囲気なんですね。この3つをクリアすれば10年行けると思うわけです。エミリーは、10年行けます。他のシンガーとの比較というのは僕はあまり好きではないのですが、わかりやすく説明するためにあえて言うなら、例えば、今年会ってライヴも見たニヴェアあたりは、10年後には聴いてないと思うんですよ。もちろんアルバムが1-2枚ひょっとしたら売れるかもしれませんが。
日本では、ミーシャ、宇多田ヒカル、クリスタル・ケイといったアーティストたちがこうした路線の地盤を築いています。それは、現時点で彼女にとってプラスでもありマイナスでもあります。プラスはもちろんそういうタイプの音楽を聴く人が圧倒的に多いということ、パイは大きいということ。マイナス点はそうしたアーティストのフォロワーだと一見思われてしまう危険性があるということ。だからそのマイナス点をできるだけ排除するようにしていくのがいいのでしょう。でも、大丈夫です、基本的には作品力で走れると思います。最初のブレイクまで時間がかかるかもしれないですが、はやいところオリコンの1位でもとってください。
オンエアでジャム&ルイスに会ったときの話をした後、他に誰かプロデュースして欲しい人はいますか、との問いに、「LAリードとか、クライヴ・デイヴィス」と答えられたのにはまたまた腰抜かしました。(笑) クライヴ・デイヴィスは、古くはスライ・ストーン、ジャニス・ジョプリン、バリー・マニロウ、ホイットニー・ヒューストン、サンタナ、モニカなどなど多数のアーティストをスターにしてきた人です。レーベル的には同じだから会えるチャンスもありますね。そして「東京ドームでライヴをやりたい!」との希望。
彼女のエンタテイナーとしての第一歩はドームから始まっているのだから、ドームに出たときは、人生の第一周目がちょうど一回転したことになります。すばらし。
そうそう、一緒に来ていた6歳年下の妹も「歌、うまいんですよ」とのこと。お母さんによると「エミリーより、もっと太い声でアレサフランクリンとか歌ってる」そうです。まだ9歳・・・。恐るべし。時代は間違いなく変革している。A Change Is Gonna Come.
それにしても、番組のスタッフが、僕がエミリーのことを気に入っているのが可愛い女の子だからだと思っているのが、困ったもんだねえ。(笑) 才能だよ、才能。