Wolfman Jack: Another Legendary DJ

猪突猛進。

日曜日『ソウルブレンズ』で映画『アメリカン・グラフィティー』のサウンドトラックを紹介するので、近くのツタヤでDVDを借りて、それを見ながら、原稿を書いていた。この映画は、何度もテレビなどでも放映されているだろうが、まあ、改めて見ても、なかなかいい映画だなと思う。ちょうど、しばらく前に紹介した『スタンド・バイ・ミー』とちょっと似たような香りがある。時代的にもほぼ同じだし。

『アメリカン・グラフィティー』で一番好きなシーンは、東部の大学への奨学金を獲得したカートが、DJウルフマン・ジャックのスタジオに行くところ。車を放送局のところにつけると、そこには高いアンテナが立っている。カメラはそのアンテナを下からずっとなめる。アメリカの放送局は必ずそういうアンテナが立っている。

深夜の生放送のスタジオは、男がひとりだけ。ポプシクルというアイスキャンディーをなめながら、彼はDJをしていた。だが、突然の訪問者にDJは、自分はウルフマンジャックではないと正体を隠す。カートは一瞬街で見かけた美女ともう一度連絡を取りたくて、ウルフマンに頼みに来る。

彼女に、電話をしてくれるよう、ウルフマンに放送でしゃべってもらいたいのだ。そして、彼はカートに、そんなにご執心なら、きっとウルフマンならこう言うだろう、と言ってアドヴァイスする。「Get your ass and gear」 ケツに蹴りでもいれて、突き進め、っていうあたりが直訳なのかな。うまく訳せないが、たとえば「猪突猛進(ちょとつもうしん)で行けよ」ってなかんじだろうか。

そして、カートが「明日、東部の大学に行ってしまうから」と言うと、ウルフマンはこうもらす。「There’s a great big world out there」(外の世界はすばらしいぞ) この映画も西部カリフォルニアあたりのどこか小さな田舎町を舞台にしているので、そういう小さな街からすると、外の世界、大きな都市なんかは、本当に輝くところなんだと思う。この田舎対大都市っていうのは、アメリカのいつの時代でも、日本でも同じかな、いいテーマだ。ウルフマンがもらすこのセリフはいい。

「あなたも行けばいいじゃない」とカートが言うとウルフマンは、「もう若くないからな」と情けないことを言う。でも彼は今の自分の仕事がとても気に入っているのだ。そのDJは、「じゃあ、これをウルフマンに伝えておくよ」と言ってカートと別れるが、帰り際、そのDJが実はウルフマンジャックだったことを知る。このあたりのやりとりは、なかなかいい感じだ。

ウルフマンジャックは、70年代初期に日本のFENでも番組が放送されていた。アメリカから録音されたものが毎週送られてきて、それがオンエアされていたのだが、よく聴いたものだ。糸居さんも伝説のDJなら、ウルフマンジャックもまさしく伝説のDJである。

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