★【マーヴィン・ゲイ自伝翻訳・遅々として…進む…】
カウントダウン。
2009年4月に発売予定のマーヴィン・ゲイ唯一の自伝『ディヴァイデッド・ソウル~引き裂かれたソウル』(デイヴィッド・リッツ著=ブルース・インターアクションズから発売)の翻訳作業に没頭している。現在、本文340ページのうち、昨日までで288ページまで来た。あと52ページ、もうひといきだ。
マーヴィンが『離婚伝説』を出し、なんとか、最初の妻アンナとの離婚が成立し、しかし二度目の妻ジャンともうまくいかず、ジャンはテディー・ペンダーグラスとできてしまい、マーヴィンは失意のうちにロンドンにいつく。このロンドンでのマーヴィンは廃人同様で、どうしようもなく落ちぶれており、そこからどうやって這い上がっていくことができるのか。日々ドラッグに溺れ、しかし、そのドラッグ代はなく、彼は一文無し。新作の録音もままならないために、モータウンからの一銭ももらえず、まさに路頭に迷っていると言ってもいいどん底状態だ。
彼の人生には問題が山積している。税金・経済問題(自宅は没収され、滞納の税金の支払いを迫られている)、女性問題(一番愛しているジャンとうまくいかない)、ドラッグ問題(ずっとドラッグ中毒で、そこから抜け出せない)で八方塞り、自ら死を望むかのような状況にさえ陥る。
マーヴィンはこの後ベルギーのオステンドへ逃避行。そこで、かの「セクシュアル・ヒーリング」の原型が生まれるが、モータウンとの契約をどのように切るのか。ベリー・ゴーディーとの確執をどのように解決するのか。
マーヴィンの人生、そしてキャラクターには、すべて二面性がある。神的存在と、超俗人としての存在、音楽に没頭する男と、ドラッグに溺れる男、クリエイティヴでは完璧なアーティストだが、自堕落なだめ人間。プライドは誰よりも高いが、実は気がものすごく小さく、嫉妬深い。すべて彼の魂は2つに引き裂かれているのだ。だから、ディヴァイデッド・ソウル。幼少の頃からの実父との確執、父に愛されたいと思いつつも、一度も愛されなかったことが、大きなトラウマとなっているその人生。そして、2人は最後までお互い相容れることはなかった。
この本を読んだ映画人なら、だれでもこれを映画化したいと思うことがよくわかる。これほど、劇的な、しかも状況なども完璧なドラマなどなかなかない。事実は小説より奇なりとはよくいったものだ。
ちょうど今翻訳が進んでいるところは、マーヴィンの人生が「セクシュアル・ヒーリング」、そして凱旋公演へと一歩一歩進むあたりだ。それは、まさにマーヴィンの終焉へのカウントダウンだ。そして、翻訳作業もいよいよカウントダウン。ご期待ください。
ENT>ARTIST>Gaye, Marvin
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