◆【オバマ大統領就任演説の同時通訳】
神業。
1月20日のオバマ大統領就任式の生中継を僕は、最初CNNで見ていて、それを録画しつつ、演説が始まったところから、NHKで見ていた。何気なく同時通訳を聴いていたら、おや、聞き覚えのある声。しかも、めちゃくちゃくうまい。普通に放送を聴いているみたいだ。と思ったところ、通訳の人の名前が出た。松浦世紀子(まつうら・せきこ)さんだった。安定した口調、はっきりとした発音、なまりのないきっちりとした日本語。面識などないのだが、以前、彼女の通訳のうまさを書いたことがあるその人だった。
で、それにしても話すスピードが一定で、はしょらない。どうなってるんだろう。神業というか、またさらに腕を上げたというか感心したのだが。5分ほどで、次の通訳の人に代わった。重要な通訳ものは、通訳者の集中の問題もあり、5分程度で人をチェンジするのだ。次は篠田顕子さんという方だった。ちょっと後半、スピードが早くなってしまった。あと、少しアクセントがあること、若干つっかってしまったところが惜しい。
ただ通訳者の肩を持つなら、英語を日本語にすると倍以上になるので、どうしても早口になるのは構造的にしようがない。翻訳でも、英単語が100ワードあれば、日本語は100文字ではなく、最低3.5倍くらい、つまり350から多いと400文字くらいになる。
さて、この松浦さんの同時通訳を聴いていて、ひょっとして何か読んでるのかとさえ思った。それほどうまいのだが、どうやら、この演説、事前に草稿があったようだ。
というのも、NHKの生放送が終わり、CNNの分を録画で見たら、なんとCNNの同時通訳者、英語の単語が出る前に、日本語の訳を読み出していたのだ。つまり、明らかに事前に原稿があったということになる。これだと、いわゆる「同時通訳」ではなく、「時差通訳」(同時ではなく、準備の時間がある場合の通訳)ということになる。
その点、松浦さんはすごい。ちゃんと英語の最初の単語が出てから読み出すから、いかにもその場で同時通訳をやっている風に聴こえる。万一、草稿と違ったことをオバマ大統領が読んだとしても、これなら対応できる。2回目の松浦さんの同時通訳になった冒頭で(You Tubeパート2の冒頭)、オバマ大統領が「アメリカの建国の父は~Our Founding Fathers~」というところがあるが、草稿では一度しか書かれてないが、オバマはこれをその場で2度言った。すると松浦さんも瞬時に2度「アメリカの建国の父は~」と言ったのだ。反射神経だ。
今回はある程度、読みもはいっていたかもしれないが、前回も書いたが、松浦さんの同時通訳が聞きやすいのは第一に彼女の声がいいからだ。さらに、きちんとした標準語の日本語を滑舌よく一定の速度でしゃべるから素晴らしい。他の同時通訳者はどうしても、英語なまりというか、きっちりとした日本語がしゃべれない。
それにしても、同時通訳者というのは本当に損な黒子だと思う。どんなに上手にやっても、「うるさい」とか「字幕のほうがいい」などと言われてしまうのだから気の毒だ。(笑)
彼女の同時通訳付きのYou Tubeがあった。改めて聴いてみると、後半、少し早くなっているところもあったが、全体的なトーンはお見事、日本語が頭に入ってくる。しかし、彼女のことをもう少し知りたいと思ってヤフーで検索すると、ソウル・サーチンのブログがトップに出てきてしまい、まいってしまいました。(笑)本人のブログなんかあるのかもしれないが、出てこない…。
2003/03/29 (Sat)
Simultaneous interpreting
https://www.soulsearchin.com/soul-diary/archive/200303/diary20030329.html
CNNで聴いた松浦さんの同時通訳に感銘。もう6年も前のことですか…。
オバマ大統領の演説を書いているのが27歳のジョン・ファヴロー(1981年6月6日生まれ)というスピーチライターで、第一稿はワシントンDCのスターバックスで書いたとか、そういう話も興味深いのだが、それはまた後日。
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