△ゴールデン・ライフを生きて~ブレンダ・ヴォーン・ライヴ

△【ゴールデン・ライフを生きて~ブレンダ・ヴォーン・ライヴ】
黄金。
ブルーズ・アレーでの2008年3月以来ブレンダ・ヴォーン・ソロ第4弾ライヴ。回を増すごとに本当に充実し素晴らしい内容になっていくブレンダのライヴ。回を増すごとに動員も増やしているが、今回は通路までかなりの立ち見が出た。4回で一番多くの観客が集まった。しかもメンバーも、強力なラインアップを揃え、セットリストも充実だ。これを続ければ観客は決して減ることはなく必ず増えていくだろう。
「私は50歳になります。恥ずかしいこと? そんなことはないわ。50年生きてきたことを誇りに思います」 ライヴの冒頭で堂々とブレンダは宣言した。誕生日は12月30日(1958年=戌年~いぬどしです)なので正確には3日後だが、盛大な誕生パーティーになった。今回のライヴのコンセプトは、ジル・スコットの作品「ゴールデン」から取った「自身の人生をゴールデン(黄金)のように生きて」というもの。まさに彼女の人生そのもののようだ。
見所もたくさんあったが、ジル・スコットの「ゴールデン」、イスラエルの「カム・イン…」など彼女が初めて歌う曲も実によい。木下航志を迎えたレイ・チャールズ曲でのからみあいなどは、航志&ブレンダが堂々と渡り合うところが驚く。航志はこうした黒人ばかりの中に入ると本当に影響されて、黒くなる。この日はジーノはもちろんのこと、マサ小浜のギターもいつになくファンキーに感じられた。
第一部で「ハッピー・バースデイ」の後に、ビデオが流されたが、ここで彼女の恩人の1人、ジェフリー・ピートさんの「50歳おめでとう。これからの50年も期待してるよ」というメッセージが流されると、ブレンダも涙を隠さなかった。このジェフリーはブレンダによると、彼女がオークランドにいた頃にすごくよくしてくれたライヴ・ハウスのオウナーで、彼の持つ「ジェフリーズ・イナー・サークル」という店でブレンダはレギュラーで歌い始め、大きなきっかけをつかんだという。その後、ブレンダはその場で涙を少しぬぐいながら、即興でケイリブのキーボードにあわせて、「アイ・サンキュー」と歌った。ブレンダによれば、「ケイリブが弾いていたコードにあわせてその場で出てきたメロディーと歌詞よ。早く忘れる前に書きとめておかなければ(笑)」と言う。
第二部で飛び入りで入ったドラムス、デイヴィッド・ハインズはフランク・マッコムのドラマー。所要で日本に来ていて、遊びに来た。彼は左利きだが、この日は右利き用ドラムで急遽プレイしたが、かなりのもの。彼はフランクのステージではいろいろな音がでるシンセ・ドラムみたいなのをやった人。
「ユー・ガット・ザ・ラヴ」「エイント・ノーバディー」などのシャカ・カーン曲を聴くと、まさにブレンダは「日本のシャカ」かと思う。そして、彼女がグラディスの「ニーザー・ワン・オブ・アス」を日本人男性3人を舞台に上げ、即席ピップスにして歌うのを聴くと、「日本のグラディス」かとも思う。もちろん、アレサの曲を歌えば、「日本のアレサ」になる。これはスタイルが似ているという以上の意味での褒め言葉として受け取ってもらっていい。僕は個人的には、パティー・ラベル的なブレンダの甲高い声より、グラディス系の落ち着いた低めの声の方がより彼女の魅力が増すのではないかと思う。
緩急取り混ぜてのセットリストは、聴かせ、躍らせ、ハッピーにさせ、ときにしんみりとさせる。第二部の圧巻は、カーク・フランクリンの「リーン・オン・ミー」。「今年、2008年はたくさんいいことがありました。そのひとつは、この曲をカーク・フランクリンと一緒に録音できたことです。ゴスペラーズとカークでの録音を、ガイドし共同プロデュースできました。ゴスペラーズのみなさんは、さきほど来てくれていました。ありがとう」
ケイリブ、ロビー、ブレンダらが少しずつソロを歌い、この日のコーラス隊、メロディー・セクストン、ロビー・ダンジー、ソニヤ・ロジャース(なんとハウスのCCロジャースの妹だそう!)を従え、遊びに来ていたアンソニー・ベイリー、ミーシャ、アル・マーティン、タイらが少しずつ客席から歌い、ステージに向かい、最後ステージには7人のゴスペル・クワイアが出来てしまった。20分に及んだこの「リーン・オン・ミー」はけっこう来た。
アンコールでの木下航志くんの「アメージング・グレイス」のソロは、周りのコーラス隊があきれるほど堂々としていた。この後、予期せずにブレンダが「ホワット・ア・ワンダフル・チャイルド」というゴスペルを歌い始め、バックがそれに急遽ついていくというハプニングも。
それにしても、バックバンドも強力で、今、東京ベースのミュージシャンで見られる最高のソウル・ショーと言っていいだろう。
充実の中身の濃いライヴだ。セカンドだけで1時間50分。たっぷりたっぷりである。最後は途中で紹介されたブレンダの大きなバースデイ・ケーキがお客さんに振舞われた。
ハッピー50th! 半世紀、おめでとう! そして、Thank you for your great music, as always. You’re living in your life like it’s golden.
ゴスぺラーズからは、黒沢さん、酒井さん、北山さんらが観戦。例の「1-2-3-For-5」がシングルに決定し、そのPV撮影が翌日(日曜)にあるそうだ。これは嬉しい!
■ 過去関連記事ブレンダ・ヴォーン 
March 14, 2008
Brenda Vaughn’s Third Her Own Live Gig
http://blog.soulsearchin.com/archives/002381.html
(前回ライヴ評。ここに過去記事一覧があります)
■ メンバー
Brenda Vaughn Celebrates Her Birthday
Living Life Like It’s Golden!~
(Vo)Brenda Vaughn (B)日野JINO賢二 (G)マサ小浜 (Ds)Bert Adams (Key)Kaleb James、Penny-K (Cho)Sonya Rogers、Robbie Danzie、David King、Melodie Sexton
~GUEST MUSICIAN~(Vo/Rhodes)木下航志 (Pf)秋谷えりこ,
Jump in: Anthony Bailey, Al Martin, Misha, Ti, Chizuko Yoshihiro, Nobu&Fuki, David Haynes
■セットリスト ブレンダ・ヴォーン
Setlist: Brenda Vaughn Live At Blues Alley, December 27, 2008
[ ] indicates original artists
show started 19:45
01. Intro
02. Golden (I’m Living My Life Like Its Golden) [Jill Scott]
03. Come In From The Outside [Israel]
04. Night Time Is The Right Time [Ray Charles] (with Kishita Kohshi)
05. Ooh Child [Five Stairsteps]
06. Alright [Ledisi]
07. You Got The Love [Rufus & Chaka Khan]
08. (Soft Music Jam) ~ Happy Birthday To Brenda
> Video Message From Geoffrey Pete, Message from Brenda’s Family
09. (Adlib, Improvisation) I Thank You (Acapella)
10. Manzai (Nobu & Fuki)
show ended 20:55
show started 21:27
01. Chameleon [Herbie Hancock] (David Haynes on drums, Kaleb, Masa, Jino)
02. (Drawing by name cards) (Going Home=Jam)
03. Take Your Time [SOS Band]
04. Ain’t Nobody [Rufus & Chaka Khan]
05. In The Morning [Ledisi]
06. Neither One Of Us [Gladys Knight & The Pips]
07. Signed, Sealed, And Delivered I’m Yours [Stevie Wonder]
08. Lean On Me [Kirk Franklin] (Anthony, Micha, Al Martin, Ti)
Enc. Wonderful World [Louis Armstrong] (Erico on Keyboards)
Enc. Amazing Grace [Traditional] (Kishita, Sonya, Melodie, Robbie, Chizuko on keyboards, and all) ~ What A Wonderful Child [Gospel]
show ended 23:12
(2008年12月27日土曜=目黒ブルーズ・アレー=ブレンダ・ヴォーン・ライヴ)
ENT>MUSIC>LIVE>Vaughn, Brenda
2008-209

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