(これからごらんになる方は、あなたのリスクにおいてお読みください。ライヴ内容に触れます)
■【ラティムーアの中の愛】
色気。
ソウル界のおしどり夫婦シャンテ・ムーアとケニー・ラティモア、二人あわせてラティムーアの2006年9月以来約2年3ヶ月ぶりの来日ライヴ。今回は、まずシャンテが歌い、ケニーが歌い、デュエット、またシャンテ、ケニー、デュエットという構成。
どちらもじっくりと歌を聴かせるシンガー。観客は文字通り歌に酔いしれる。中盤のデュエット1曲目、「ウィズ・ユー・アイム・ボーン・アゲイン」(元はビリー・プレストン&シリータの大ヒット)あたりは、まさしく彼ら二人のテーマ曲ではないかと言えるほどはまっている。「あなたとともに、生まれ変わる」わけだから。それぞれが歌い、歌唱がデュエットになるところなど、もう圧巻。
ドラムス、ギター、ベース、キーボードに3人の女性コーラスという編成。コーラスの3人はちゃんと振りをつけ、いかにもバックコーラス風でいい感じ。
シャンテで一番印象に残ったのは、ミニー・リパートンの「ギヴ・ミー・タイム」。個人的にもすごく好きな曲だっただけに、最初に歌われたときはびっくりした。彼女のヴァージョンは初めて聴いたが、2008年6月に出た新作『ラヴ・ザ・ウーマン』に収録されていた。ライヴ後のサイン会で二人になぜこの曲をと尋ねると、「僕らが結婚したときに、僕がこの曲をかけたんだ」とケニー。「私たちの記念の曲なのよ」と答えてくれた。これはどんぴしゃの曲だ。
シャンテは下記セットリスト12の「ストレート・アップ」を歌う前に、「この曲を歌うのは、ここ(日本・コットン・クラブ)だけよ」と言った。これが流れると、アップテンポで一番知られているせいもあってか、一番観客の反応があった。「なぜ、彼女はこの曲が嫌いなの?」と同行松尾潔さんにきくと、「それまで大人のシンガーとして売り出されてきた彼女が、ある意味『セルアウト』したからじゃないですか。これだけいきなり十代向けの曲をプロデューサーに歌わされたわけで。プロデュースはジャーメイン・デュプリです」と解説してくれた。なるほど。納得。今日のセットリストの中で、これだけポップ。後はみなじっくり聴かせるタイプだ。でも、いい曲です!
ケニーの中では、じっくり聴かせる「フォー・ユー」が圧巻。1996年発売のデビュー作『ケニー・ラティモア』収録のヒット。堂々とした楽曲にまさに息吹を与えるパフォーマンスだ。スキンヘッドで体全体を使って歌う様は実に絵になる。ちょっとどこかエリック・ベネイ風、平井堅風に見えた。彼はビートルズ楽曲をとりあげたり、30歳で死去した悲劇のシンガー・ソングライター、ジェフ・バックリーの作品(セットリスト9)を歌ったりとヴァーサタイルなシンガーとしての面を見せる。これら2曲とも最新作『タイムレス』に収録されている。ちょっと他に聴きたい曲もあったのだが。たとえば、『エクスポーズド』の「ラヴズ・スティル・オールライト」とか、デュエット・アルバムから「イズ・イット・スティル・グッド・トゥ・ヤ」とか。
ちなみに日本人ギタリストのケイタさんは、音楽ディレクター、デヴァントによると、地元(LA)の教会でやっているときに知り合ったそうだ。
それにしても、シャンテも色気たっぷりだが、ケニーも男の色気たっぷりたっぷり。こりゃあ、二人のそばにいるだけで、子供ができそうだ。(笑) ライヴ後二人仲良くサイン会に応じた。ファンとの接し方もほんといいカップルだ。
(ところで、彼らの年齢を以前、「シャンテが3歳年上」と書いてしまったが、今回調べてみると、どちらも1967年生まれになっている。どうなんだろう。同じ年なのかな。(謎) シャンテ誕生日は2月17日とのこと)
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ライヴ後、近くできちんと蝶ネクタイに盛装したソウル・マンを松尾さんが紹介してくれた。なんと久保田利伸さんのところで踊ったり、歌ったりしているワーナーさんだった。「あああ、以前フィリップ・ウーの吉祥寺ライヴでダニー・ハザウェイの『ア・ソング・フォー・ユー』歌ったの聴きましたよ!」 なんとシャンテの大ファンで「シャンテに会うなら、盛装で来ないと」ということで、黒いスーツに身を包んでの登場だった。アフロがかっこよかった。
■ シャンテ・ムーア 最新作
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■ ケニー・ラティモア最新作 『タイムレス』
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■ ケニー&シャンテ デュオ
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■ ライヴは10日を除いて12月12日まで丸の内コットンクラブ。
■ 過去記事 (前回ライヴ評)
September 25, 2006
Chante Moore & Kenny Lattimore: Moody’s Mood For Lovers
https://www.soulsearchin.com/soul-diary/archive/200609/2006_09_25.html
■ メンバー
シャンテ・ムーア & ケニー・ラティモア
Chante Moore(vo), Kenny Lattimore(vo), Amanda Dandy(back vo), Tamika Peoples(back vo), Elica Morrison(back vo), Devon Johnson(key, MD), Kay-Ta Matsuno(g), Lance Tolbert(b), Bennie Rodgers(ds)
■ セットリスト シャンテ・ムーア&ケニー・ラティモア
Setlist: Chante Moore & Kenny Lattimore @ Cotton Club, December 08, 2008
show started 21:33
01. (Chante) Can’t Do It
02. Love’s Taken Over
03. Do For You
04. Give Me Time [Minnie Riperton]
05. (Kenny) Come To Me
06. Days Like This
07. And I Love Her [Beatles]
08. Never Too Busy
09. Everybody Here Wants You [Jeff Buckley -1998]
10. (Chante & Kenny) With You I’m Born Again [Billy Preston & Syreeta]
11. (Chante) It’s Alright
12. Straight Up
13. (Kenny) For You
14. (Chante & Kenny) You’re All I Need To Get By [Marvin Gaye & Tammi Terrell]
Enc. (Chante & Kenny) Clap Your Hands
show ended 22:47
(2008年12月8日・月曜、丸の内コットン・クラブ=シャンテ・ムーア&ケニー・ラティモア・ライヴ)
ENT>MUSIC>LIVE>Moore, Chante & Lattimore, Kenny
2008-201