◎【木下航志ライヴ@ブルース・アレイ】
ソウル。
ソウルフルな平成生まれのシンガー・ソングライター、木下航志がこのところ目黒ブルース・アレイで約3ヶ月に1回定期的にライヴを行うようになっている。タイトルは『ドゥ・ザ・ソウル』で今回はその第3回。バックバンド・メンバーはほぼ前回と同じだが、ドラムスがJRに、またコーラスにニューヨークからソニヤが参加。今回は、なんと席が満員で立ち見もでるほどの盛況ぶり。人気の裾野が広がっているようだ。
航志の声が「ソウル向き」であることはまちがいないが、19歳でミュージシャンを率いてこれだけの2時間以上のライヴが出来てしまうところがやはりすごい。彼がキーボードを弾いて、歌を歌っていると、まさに「アイ・ビリーヴ・トゥ・マイ・ソウル(僕は自分のソウルを信じてる)」という言葉が彼の体のあちこちから放射線状に飛び散る感じだ。今回初お目見え曲も多く、かなり楽しめた。
それにしても、毎回確実に力をつけている木下航志というのが第一印象。テーマはソウルを歌うというもので、ほぼソウル・カヴァー曲で、バックのフィリップを始め強力なメンバーがソウルフルな航志をサポートする。ファーストの圧巻はスティーヴィーの「ユー・アンド・アイ」のほぼ弾き語り。声の伸びがすばらしい。この曲は彼の18番になるほどあっている。声が上に上がり、ぐーんと力強く伸びるところなんか、ちょっと言い過ぎだが、スティーヴィーを彷彿とさせる。ラジオなどにゲストで行った場合、キーボードひとつでできるので、今後も歌う機会が増えそうだ。
そして、飛び入りでシャンティが入り、ダニー&ロバータの「ホエア・イズ・ラヴ」を航志とデュオで披露した。しばらく前に、鹿児島でのシャンティのライヴに航志が飛び入りで歌ったので、今回はデュエットをしてみたという。二人のデュエットはなかなか相性がいいみたいだ。シャンティはこんど日本語の曲でデュエットしてみたい、という。
またあいかわらず、とぼけた自然体のMCがおもしろい。セカンド2曲目山下達郎さん楽曲を終えたところでこんなことを。「今日から山下達郎さんも、ツアーを始めたみたいで、会場は違いますが、同じ日にこのようにライヴが出来て幸せです(笑)」 今日(12月5日)からツアーが始まること、さすがご存知。毎回必ず達郎曲をカヴァーしているが、今回は「レッツ・キス・ザ・サン」をカヴァー。これを聴いてて、シャンティの「ウェイク・アップ・トゥ・ザ・サン」とメドレーにして歌ったらいいのではないかとも思った。
フィリップがMD(音楽監督=バンドマスター)だけに、存分に各ミュージシャンにソロ・スペースを与える。これがなかなかいい感じでバンドとしてもまとまっている。ソロのインタープレイでは、「ア・ソング・フォー・ユー」で、フィリップが思いつきでメロディーを弾くとそれを聴いてすぐに航志くんが同じ音を弾きなおすというゲームをやるのだが、これがかなりおもしろい。航志くんはよく聴いた音をすぐに再生できるものだ。そしてこの曲の最後のヴォーカル部分も圧巻。曲が終わっても拍手が鳴り止まない。
またサム・クックの「ユー・センド・ミー」では、ブレンダ、ピエール、ソニヤなどのソロ・シンガーにヴォーカルを回し、これもおもしろかった。ブレンダはもちろんいつもの通りの大迫力だが、ライヴでは初めて聴いたソニアというシンガーも相当すごかった。第一部と第二部をあわせると2時間20分。たっぷりたっぷり。アンコール最後に「サイレント・ナイト」を歌ったが、最初英語で、途中から日本語になり、やはりこういう曲だと航志君の日本語の持つパワーが倍化する。今まで3回で一番よかった。これからもどんどん成長、進化していくだろう。
以前書いたと思うが、航志くんのピアノのプレイ・スタイルがフィリップの影響を受けている。またヴォーカルのうなり、こぶしが利いてきた。何をやっても音楽の申し子だ。ステージの上で本当に楽しいのだろう。
この日はグレイ(GLAY)のギタリスト、たくろう(TAKURO)さんが観戦。彼はふだん何万人も集める幕張などでライヴをやるが、「大きいところでやっても、こういう小さいところでもちゃんと出来ないとだめですねえ、と強く感じました。ギミックなんか何もないストレートなライヴいいなあ、とすごく感激しました」と興奮気味に話してくれた。
■ 木下航志『Do The Soul』次回は、2009年3月7日(土曜)ブルース・アレイで。
■ 木下航志 最近の過去記事
September 12, 2008
Kishita Kohshi Live At Blues Alley: Started With "Sun Goddess" With Sunglass
http://blog.soulsearchin.com/archives/002669.html
June 09, 2008
Kishita Koushi First Live At Blues Alley
http://blog.soulsearchin.com/archives/002562.html
(ここに過去記事一覧リンクがあります)
July 18, 2008
Kishita Koushi & Les Freres Live
http://blog.soulsearchin.com/archives/002611.html
■ メンバー
木下航志 『Do The Soul!! vol.3』 @BAJ on 5th December 2008
(Vo/Pf/Rhodes)木下航志 (HAMMOND A-100)Phlip Woo (B)Takeshi Namura (G)Masa Kohama (Ds) J.R.Robinson (Vo)Brenda Vaughn (Vo/Sax) Pierre Andre (Vo) Sonya
(Jump in) Shanti (Vocal)
■セットリスト 木下航志 ブルース・アレイ
Setlist : Kishita Koushi @ Blues Alley Japan, December 5, 2008
[ ] indicates original artists
1st set
show started 19:44
01. Chameleon [Herbie Hancock]
02. Gimme Some Lovin’ [Spencer Davis Group]
03. I Believe To My Soul [Ray Charles]
04. You & I [Stevie Wonder]
05. Where Is The Love [Roberta Flack & Donny Hathaway](with Shanti)
06. Love, Love, Love [J.R.Bailey, Donny Hathaway]
07. Knocking On Heavens Door [Bob Dylan]
08. We Got Rhythm [Original]
show ended 20:45
2nd set
show started 21:18
01. Soulful Strut [Young-Holt Unlimited]
02. Let’s Kiss The Sun [Yamashita Tatsuro]
03. A Song For You [Leon Russell, Donny Hathaway, Christina Aguilera]
04. Mess Around [Ray Charles]
05. Ain’t Nothing Like The Real Thing [Marvin Gaye & Tammi Terrell] (with Brenda Vaughn)
06. Love Is Everywhere [Original]
07. You Send Me [Sam Cooke]
08. Another Star [Stevie Wonder]
Enc. You’ve Got A Fried [Carol King, James Taylor, Donny Hathaway] (with Brenda & Pierre)
Enc. This Christmas [Donny Hathaway]
Enc. Silent Night (Kohshi & Philip only)
show ended 22:38
(2008年12月5日・金、目黒ブルース・アレイ、木下航志ライヴ)
ENT>MUSIC>LIVE>Kishita, Kohshi
2008-199
ソウル。
ソウルフルな平成生まれのシンガー・ソングライター、木下航志がこのところ目黒ブルース・アレイで約3ヶ月に1回定期的にライヴを行うようになっている。タイトルは『ドゥ・ザ・ソウル』で今回はその第3回。バックバンド・メンバーはほぼ前回と同じだが、ドラムスがJRに、またコーラスにニューヨークからソニヤが参加。今回は、なんと席が満員で立ち見もでるほどの盛況ぶり。人気の裾野が広がっているようだ。
航志の声が「ソウル向き」であることはまちがいないが、19歳でミュージシャンを率いてこれだけの2時間以上のライヴが出来てしまうところがやはりすごい。彼がキーボードを弾いて、歌を歌っていると、まさに「アイ・ビリーヴ・トゥ・マイ・ソウル(僕は自分のソウルを信じてる)」という言葉が彼の体のあちこちから放射線状に飛び散る感じだ。今回初お目見え曲も多く、かなり楽しめた。
それにしても、毎回確実に力をつけている木下航志というのが第一印象。テーマはソウルを歌うというもので、ほぼソウル・カヴァー曲で、バックのフィリップを始め強力なメンバーがソウルフルな航志をサポートする。ファーストの圧巻はスティーヴィーの「ユー・アンド・アイ」のほぼ弾き語り。声の伸びがすばらしい。この曲は彼の18番になるほどあっている。声が上に上がり、ぐーんと力強く伸びるところなんか、ちょっと言い過ぎだが、スティーヴィーを彷彿とさせる。ラジオなどにゲストで行った場合、キーボードひとつでできるので、今後も歌う機会が増えそうだ。
そして、飛び入りでシャンティが入り、ダニー&ロバータの「ホエア・イズ・ラヴ」を航志とデュオで披露した。しばらく前に、鹿児島でのシャンティのライヴに航志が飛び入りで歌ったので、今回はデュエットをしてみたという。二人のデュエットはなかなか相性がいいみたいだ。シャンティはこんど日本語の曲でデュエットしてみたい、という。
またあいかわらず、とぼけた自然体のMCがおもしろい。セカンド2曲目山下達郎さん楽曲を終えたところでこんなことを。「今日から山下達郎さんも、ツアーを始めたみたいで、会場は違いますが、同じ日にこのようにライヴが出来て幸せです(笑)」 今日(12月5日)からツアーが始まること、さすがご存知。毎回必ず達郎曲をカヴァーしているが、今回は「レッツ・キス・ザ・サン」をカヴァー。これを聴いてて、シャンティの「ウェイク・アップ・トゥ・ザ・サン」とメドレーにして歌ったらいいのではないかとも思った。
フィリップがMD(音楽監督=バンドマスター)だけに、存分に各ミュージシャンにソロ・スペースを与える。これがなかなかいい感じでバンドとしてもまとまっている。ソロのインタープレイでは、「ア・ソング・フォー・ユー」で、フィリップが思いつきでメロディーを弾くとそれを聴いてすぐに航志くんが同じ音を弾きなおすというゲームをやるのだが、これがかなりおもしろい。航志くんはよく聴いた音をすぐに再生できるものだ。そしてこの曲の最後のヴォーカル部分も圧巻。曲が終わっても拍手が鳴り止まない。
またサム・クックの「ユー・センド・ミー」では、ブレンダ、ピエール、ソニヤなどのソロ・シンガーにヴォーカルを回し、これもおもしろかった。ブレンダはもちろんいつもの通りの大迫力だが、ライヴでは初めて聴いたソニアというシンガーも相当すごかった。第一部と第二部をあわせると2時間20分。たっぷりたっぷり。アンコール最後に「サイレント・ナイト」を歌ったが、最初英語で、途中から日本語になり、やはりこういう曲だと航志君の日本語の持つパワーが倍化する。今まで3回で一番よかった。これからもどんどん成長、進化していくだろう。
以前書いたと思うが、航志くんのピアノのプレイ・スタイルがフィリップの影響を受けている。またヴォーカルのうなり、こぶしが利いてきた。何をやっても音楽の申し子だ。ステージの上で本当に楽しいのだろう。
この日はグレイ(GLAY)のギタリスト、たくろう(TAKURO)さんが観戦。彼はふだん何万人も集める幕張などでライヴをやるが、「大きいところでやっても、こういう小さいところでもちゃんと出来ないとだめですねえ、と強く感じました。ギミックなんか何もないストレートなライヴいいなあ、とすごく感激しました」と興奮気味に話してくれた。
■ 木下航志『Do The Soul』次回は、2009年3月7日(土曜)ブルース・アレイで。
■ 木下航志 最近の過去記事
September 12, 2008
Kishita Kohshi Live At Blues Alley: Started With "Sun Goddess" With Sunglass
http://blog.soulsearchin.com/archives/002669.html
June 09, 2008
Kishita Koushi First Live At Blues Alley
http://blog.soulsearchin.com/archives/002562.html
(ここに過去記事一覧リンクがあります)
July 18, 2008
Kishita Koushi & Les Freres Live
http://blog.soulsearchin.com/archives/002611.html
■ メンバー
木下航志 『Do The Soul!! vol.3』 @BAJ on 5th December 2008
(Vo/Pf/Rhodes)木下航志 (HAMMOND A-100)Phlip Woo (B)Takeshi Namura (G)Masa Kohama (Ds) J.R.Robinson (Vo)Brenda Vaughn (Vo/Sax) Pierre Andre (Vo) Sonya
(Jump in) Shanti (Vocal)
■セットリスト 木下航志 ブルース・アレイ
Setlist : Kishita Koushi @ Blues Alley Japan, December 5, 2008
[ ] indicates original artists
1st set
show started 19:44
01. Chameleon [Herbie Hancock]
02. Gimme Some Lovin’ [Spencer Davis Group]
03. I Believe To My Soul [Ray Charles]
04. You & I [Stevie Wonder]
05. Where Is The Love [Roberta Flack & Donny Hathaway](with Shanti)
06. Love, Love, Love [J.R.Bailey, Donny Hathaway]
07. Knocking On Heavens Door [Bob Dylan]
08. We Got Rhythm [Original]
show ended 20:45
2nd set
show started 21:18
01. Soulful Strut [Young-Holt Unlimited]
02. Let’s Kiss The Sun [Yamashita Tatsuro]
03. A Song For You [Leon Russell, Donny Hathaway, Christina Aguilera]
04. Mess Around [Ray Charles]
05. Ain’t Nothing Like The Real Thing [Marvin Gaye & Tammi Terrell] (with Brenda Vaughn)
06. Love Is Everywhere [Original]
07. You Send Me [Sam Cooke]
08. Another Star [Stevie Wonder]
Enc. You’ve Got A Fried [Carol King, James Taylor, Donny Hathaway] (with Brenda & Pierre)
Enc. This Christmas [Donny Hathaway]
Enc. Silent Night (Kohshi & Philip only)
show ended 22:38
(2008年12月5日・金、目黒ブルース・アレイ、木下航志ライヴ)
ENT>MUSIC>LIVE>Kishita, Kohshi
2008-199