●ルーファス・ライヴ@ブルーノート

●【ルーファス@ブルーノート・ライヴ】
タイト。
1970年代に多くのヒットを放ったブラックのセルフ・コンテインド・グループ(自分たちで曲を書き、演奏し、歌う、すべてを自給自足でやるグループ)のひとつとして大きな人気を放ったルーファス。グループとしては、アース、クール&ザ・ギャング、コモドアーズ、オハイオ・プレイヤーズらと並んで人気となったが、リード・シンガーからソロに転じ大きな成功を収めたシャカ・カーンのいたグループとしても有名だ。
前回のシャカ・ソロ・ライヴ(2008年6月、ビルボード・ライヴ)で実にかっこいいギターを聴かせたオリジナル・ルーファス・メンバー、トニー・メイデン率いる強力バンドだ。今回はもうひとりのオリジナル・メンバー、ケヴィン・マーフィー(いい味でハモンドを弾く)も帯同していて色を添える。ルーファスとしては、1976年6月(東京音楽祭)、1984年12月(赤坂ムゲン)以来、3度目約24年ぶりの来日。
今回は、ドラムス、ギター2人、ベース、キーボード3人、パーカッション、歌4人という最大12人がオンステージという、まさに大型バンド。基本的には、トニーがバンドマスターで、全体的にはよくまとまったリズムとグルーヴを生み出し、なかなかタイトなバンドとなっていた。
いくつも見所があるが、ヴォーカル4人の中で一番強力だったのが、マダム・ディーというシンガー。それはそれは迫力あるパンチの効いたヴォーカルを聴かせる。一方、トニーの娘というアマンダが一番多くリードを取るがマダムあたりと比較すると若干力不足の点は否めない。他にシンガーは、インコグニートなどで有名なメイサ・リーグ。ヴァル・ヤングは、「オール・ナイト・ロング」のヒットを放ったメリー・ジェーン・ガールズの一員でもあり、『セダクション』というアルバムも出しているシンガー。メイサもヴァルでさえも、マダムの前にひれ伏す感じだ。このマダム、トニーがロスアンジェルスのライヴハウスで見つけてスカウトしたシンガーで、まだCDなどはだしていない、という。
白人のイケメン・キーボード、ブライアンも自身のアルバムを出したところで、そこからブッツィー・コリンズとの共作曲などをがんばって演奏した。かなりのエンタテイナーで、サックスのデイヴ・コーズに対してキーボードのブライアンという立ち位置になりそう。彼は彼で、ソロでのライヴも楽しみ。
この中ではトニーの技量がずば抜けているのは間違いないが、ドラムス、ベースとのリズム隊はかなりいい。ドラムスは最近ではジョディー・ワトリーで来ていたという。なので、バンドとしてかなりまとまり、ヴォーカル陣の弱点をカヴァーする。
僕はシンガーの主役をマダムにすると一番いいと思う。いわゆる1970年代風のシャウト系ヴォーカルで、いかにもシャカ・カーン系なヴォーカルだ。リハーサルなどの時間的制約で、他のシンガーが歌わざるを得ないようだが、バンド・サウンドがまとまっているだけに惜しい。ひとついえるのはシャカのバンドは、かなりひどいので、このバンドにシャカ・カーンが入ったら相当いい感じになるだろうということ。あっちを立てれば、こっちが立たず。そううまく行かないのが、この音楽業界の難しいところ。
ルーファス曲としては、他に「At Midnight」、「Hollywood」(これは他の日にやった)、「Tonight We Love」「Pack’d My Bags」「 I’m A Woman (I’m A Backbone)」なども聴きたい。
アンコールでメイサがスティーヴィーの「オール・アイ・ドゥー」をカヴァーして歌ったが、これは彼女の最新アルバムに収録されていて、イギリスでヒットしているためだそうだ。ヴァル・ヤングは他の日には、メリー・ジェーン・ガールズの「オール・ナイト・ロング」を歌ったそうだが、そうなるとブライアン、メイサらも含めてそれぞれのショーケース的な雰囲気もでてくる。それはそれでひとつの方向性ではあるだろうが、ルーファスに焦点を集めることも重要だ。ま、難しいところではあるが。
僕はシャカ・カーンの日本での人気を10とすると、ルーファスは8くらいの人気や知名度があるのかと思っていたが、それは若干楽観的すぎたようで、実際は5くらいしかないのかもしれない。ただし、しっかりとこれくらいのライヴをやっていればリピーターもつくはず。シャカとルーファス、いわゆる人気、ヒット曲の数、というものの差を感じた。シンガー陣を立て直して、また来て欲しい。
ライヴ後、彼らはすぐにサイン会。そこで、トニーらと少し話す機会があった。その模様は明日以降に。
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June 03, 2008
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http://blog.soulsearchin.com/archives/002552.html
2008年6月2日(月)ビルボード・ライヴのライヴ評
■メンバー
トニー・メイデン(ヴォーカル、ギター)Tony Maiden(vo,g)
ケヴィン・マーフィー(キーボード、オルガン、ヴォーカル)Kevin Murphy(key,org,vo)
ブライアン・カルバートソン(トロンボーン、キーボード、ヴォーカル)Brian Culbertson(tb,key,vo)
メイサ・リーク(ヴォーカル)Maysa Leak(vo)
アマンダ・メイデン(ヴォーカル)Amanda Maiden(vo)
ヴァル・ヤング(ヴォーカル)Val Young(vo)
マダム・ディー(ヴォーカル)Madam Dee(vo)
ダレル・クロックス(ギター)Darrell Crooks(g)
ミチコ・ヒル(キーボード)Michiko Hill(key)
ロバート・ヒル(ベース)Robert Hill(b)
ドネル・スペンサー(ドラムス)Donnell Spencer(ds)
レニー・カストロ(パーカッション)Lenny Castro(per)
■セットリスト ルーファス ブルーノート東京 2008年11月12日
Setlist : Rufus featuring Brian Culbertson & Maysa Leak @ Blue Note Tokyo, November 12, 2008
( ) lead singer or artist
show started 21:37
01. Once You Get Started (Tony) [Rufus – 1975]
02. Any Love (Maysa) [Rufus – 1980]
03. Dance With Me (Val) [Rufus – 1976]
04. You Got The love (Amanda) [Rufus – 1974]
05. Funkin’ Like My Father (Brian) [Brian’s solo album]
06. So Good (Brian) [Brian’s solo album]
07. Everlasting Love (Madam Dee) [Rufus – 1977]
08. Going In Circles (Madam Dee) [Friends Of Distinction – 1969]
09. Tell Me Something Good (Amanda) [Rufus – 1974]
10. Sweet Thing (Amanda) [Rufus – 1975]
11. You’re Welcome, Stop On By (Amanda + Tony, Tony on guitar solo) [Bobby Womack – 1974]
12. Ain’t Nobody (Maysa → Val → chorus) [Rufus -1983]
Enc.1. All I Do (Maysa) [Stevie Wonder – 1980] [Maysa’s new album]
Enc.2. Do You Love What You Feel (Maysa)[Rufus – 1979]
show ended 23:10
(2008年11月12日水曜、東京ブルーノート=ルーファス・ライヴ)
ENT>MUSIC>LIVE>Rufus
2008-186
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