【ジョー・サンプル飛び入りのデイヴ・コーズ・ライヴ】
伝説。
急遽デイヴ・コーズのライヴをジョーと鑑賞することになり、ブルーノートへ。頭が欠けたが、到着するとすでに彼は来ていた。デイヴは、サックスを吹きながら、横のベース奏者、ギター奏者とともに、ゆったりした振り付けをしながら、演奏していた。彼は、いくつかの曲で、実におもしろい振り付けをする。デイヴ・コーズは、「フュージョン界でもっとも振り付けをするサックス奏者」だ。観客をエンタテインすることに徹底している。実に楽しい。
これを見たジョーは、「He does big production(ずいぶん、作りこんでるな)」と笑いながら言った。そして、「後でプレイするよ」と付け加えた。おおっ、やった!
日本語を巧みに交えて、デイヴはよくしゃべる。メンバー紹介で、「やるね!」「チョい悪オヤジ」などなど。そして、こんなアナウンスも。「ウェイマン・ティーズデール(Wayman Tisdale=ベース奏者、元NBAのバスケート・ボール選手)が今回は来る予定だったが、彼はガンと闘っていて、今回は来れなかった。だけど、みなさんにはっきりとお伝えしたい。彼はその闘いに勝利した。今は休んでいるけど、次の来日の機会には必ずや一緒に来てくれると思う」
調べてみると、昨年(2007年)ガンが発見され、2008年8月になって、右足の一部を切除したそうだ。デイヴ同様に、復帰を期待したい。
そして、デイヴがまたまたしゃべりだした。「このブルーノートでは何でも起こる。ファーストとセカンドの間に、ある人物がやってきました。まさに『レジェンド(伝説)』というにふさわしい人物です。そこで僕は彼の腕を掴んで、頼みました。(笑) これからご紹介する紳士は、過去2-30年以上、僕たちだけでなく、多くのミュージシャンに多大な影響を与えた人物です。コンテンポラリー・ジャズ界のパイオニアのひとり、それ以上に、実際に会うととても素晴らしい人間です。ジ・インクレディブル(素晴らしい)、ジ・インフルエンシャル(影響力のある)、ミスター・ジョー・サンプル!」
大拍手に迎えられ、ジョーがステージに進んだ。キーボードが2台、台の上にのせられていて、いくつか音を確かめると、演奏を始めた。ジョーによると、ハービー・マンが1964年に録音したアルバムに入っている「スインギン・シェパード・ブルーズ」という曲だという。のりのいいブルーズ曲で、ジョーのタッチがものすごく強いということが、そのキーボードが上下に揺れる度合いからもわかる。途中からデイヴのサックスがはいり、ドラムスがちょっとだけからむ。アイコンタクトを取って、無事、終了。再び拍手。
席に戻るとジョーは言った。「キーボードがぐらぐら揺れて、力、入れられなかったよ。(笑)」 確かに、ジョーがピアノ(グランド・ピアノ)、あるいは、しっかり足の付いている固定式のキーボードをプレイしているときは、そのタッチの強さがわからないが、あのようにゆるいキーボード・スタンドに乗せてるだけだと、力はいれられないだろう。
キーボード、ブライアン・シンプソンのソロCDに入っている曲(シャカタクみたいだった=彼がプレイするときは、キーボード・スタンドはほとんど揺れない)、さらに、観客を「シャララ~~」で巻き込む「キャント・レット・ユー・ゴー」、ゴー・ゴー・サウンドのリズムを思わせる「シェイキン・シャック」などなど。振り付けのついた徹底したエンタテインメントは楽しい。しかも、首も腕も長いビルもキーボードのブライアンらも、みな、芸達者。このショーだったら、彼の音楽を知らなくても、楽しめるだろう。
最後、日本の曲メドレー。なんと一緒に見ていたジョーのCDを出しているレコード会社・ビデオアーツ社長海老根さんがネタを提供しているそうだ。デイヴから日本の曲で何やったらいいかと相談され、しばらく前から曲と楽譜、ものがあれば、音源も渡しているという。今回は時間がなかったので、ネットで楽譜を探して、送ったという。ただ、「秋桜(コスモス)」だけはどうしても楽譜が見つからず、音源を送ったそうだ。こういうのは、日本人受けする。サーヴィス精神旺盛なデイヴならではだ。
最後、最初のアンコールが終わったあと、照明もつき、モニターも映像を出し始めたが、拍手は鳴り止まず、結局彼らが再度登場。開口一番「もうやる曲がないんだ。…。(笑)そうだな、じゃあ、『オーヴァー・ザ・レインボウ』でもやろうか…」とメンバーに言い、1曲軽く演奏した。
ショーが終わると、メンバーがみなジョーのところにやってきて、握手を求めた。
(このジョー・サンプルの項、つづく)
■ デイヴ・コーズ関連記事 (ジョー関連記事一覧は最後にまとめます)
April 07, 2006
Dave Koz & Kirk Whalum Live
http://blog.soulsearchin.com/archives/000935.html
前回、ソウル・サーチャーが見たライヴ評。
■ メンバー
デイヴ・コーズ(サックス)Dave Koz (sax)
ブライアン・シンプソン(キーボード)Brian Simpson (key, musical director, little dancing)
ランディ・ジェイコブス(ギター)Randy Jacobs (guitar)
ビル・シャープ(ベース)Bill Sharpe (b)
スティーヴォ・セオード(ドラムス)Stevo Theard (ds)
ロニー・グッティエラス(パーカッション)Ronnie Guitierrez (per)
■セットリスト デイヴ・コーズ@ブルーノート東京、2008年10月2日木曜
Setlist : Dave Koz @ Blue Note Tokyo, October 2, 2008
show started
01. Life In The Fast Lane
02. Let It Free
03. All I See Is You
04. Surrender
05. Silver Lining
06. Swinging Shepherd Blues [Herbie Mann](with Joe Sample on the keyboard)
07. Together Again
08. Saturday Cool (a riff of "Mister Magic") (Brian Simpson)
09. Can’t Let You Go (The Sha La Song)
10. Shakin’ The Shack
11. Japanese Songs Medley:
Sakura Sakura / Haru Yo Koi / Natsu No Omoide / Chiisai Aki Mitsuketa /
12. Cosmos [Yamaguchi Momoe]
12. You Make Me Smile
Enc. Over The Rainbow
show ended 23:08
(2008年10月2日木曜、東京ブルーノート=デイヴ・コーズ・ライヴ)
ENT>MUSIC>LIVE>Koz, Dave
ENT>MUSIC>ARTIST> Koz, Dave
ENT>MUSIC>ARTIST>Sample, Joe
2008-165
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