☆ソウル・パワー2008~2日間を見て

【ソウル・パワー2008~2日間を見て】
意義。
今年で3回目を迎えた『ソウル・パワー』。昨年より1時間超延び4時間半近く。2バンドが常にバックを支えるために、セットチェンジの間がない。そこで、本当に見ている人は気を抜くところがない。トイレ休憩がない、飲み物を飲んだりする時間がない、ということになる。まあ、それでも、結論から言うと、みなさんが好きなときにトイレなり、飲み物を飲みに行かれるのがいいのではないだろうか。これで、アーティストの転換時に休憩をいれると、その時間だけトイレの行列が長くなってしまう。さて、それはともかく、4時間超のノンストップ・ライヴ、足腰が痛くなる人がでてくるのもわかる。(笑)
これだけ盛りだくさんだと全部のアーティストには触れられなくなってしまうが、少しずつ。まずゴスペラッツ。個人的にはフォー・トップスの「エイント・ノー・ウーマン」と新曲「禁煙Swing」が特に気に入った。前者はそれこそマーチンが20年以上前によくカヴァーしていたというので、そのころからのファンには涙ものだったようだ。そして、竜ヶ崎宇童の「禁煙音頭」を今風ニュー・ジャック・スウィングのサウンドでやるという斬新な試み。最後の「スイ~~~ング」という低音、佐藤さんの声が実にいい。
そして、スクープ。1曲目は、なんとガッツがリードでインプレッションズ(カーティス・メイフィールド)の「ムーヴ・オン・アップ」を堂々披露。自身のライヴでもよく歌っているだけに手馴れたもの。タケさんは2日目では「ホワッツ・ゴーイン・オン」を歌い、「ソウル・パワー・シフト」へ。そして、タケさんのエロエロ・ソウルは独自の世界を醸し出す。この路線、もっと突き進めてください。(笑)
ジェイ&ズーコは実におもしろいユニット。彼らに限らずみなトークが漫才風になっていて、これはこれでこの『ソウル・パワー』の隠し味になりつつあるような気がしてきた。そして、何度も書いているが、このジェイさんのド演歌ソウルにはひれ伏す。
そして、マーチンのソロ部分は、次々とサプライズ・ゲストを惜しげもなく出す。若手のメイJ.そして東京初日は、つのだ☆ひろさん。巨大なミラーボールが回り、ディスコの永遠のチーク定番「メリー・ジェーン」が流れ始め最初の1番をマーチンが歌うと、つのださんがおもむろに登場だ。そして、昨年のサプライズ、ブラザー・コーンが登場し、サム&デイヴを、そして、同じくマーチンと過去にサム&デイヴをカヴァーしたブラザー・クロが加わる。まさに、この『ソウル・パワー』だけでしか見られないユニットというのが、このイヴェントの存在価値をあげている。
そして、ダンスマン。バンドでやるとやはり違う。ためが、ためが、いいです。(笑)ホイットニーの「グレイテスト・ラヴ・オブ・オール」の荘厳な歌詞が、こんなになってしまって…。(笑) でもせつなくていい詞だ。
今年のトリはゴスペラーズ。今回はいつになく「ソウル・パワー・シフト」。今回の新企画は、北山陽一&佐藤善雄の「ミスター・ベースマンズ」。しかも歌う曲が山下達郎作・フランク永井歌の「ウーマン」。これはおもしろい! 来年の前座、トップバッターは決まりではないか?(笑)ところで、ふと思ったのだが、「ベースマン」の複数形って、ひょっとして「ベースメン」じゃないかな、と。(笑)英語ネイティヴに聞いてみよう。
ゴスは、やはり、新曲「1,2,3…」「ベッチャバイ…」「ラヴ・マシーン」などの振り付けがソウルフルなムードを醸し出す。これらの振り付けをしたマイケル鶴岡は、ドン勝本、ニック岡井とともに、「キング・オブ・ソウル」の一員であり、振り付け師だ。そういう意味で、ニック直系のソウル・ステップがこうしたところにも宿っている。ゴスペラーズの通常のライヴでは見られない、「ソウル・パワー・シフト」がここだけで見られることに大いに価値がある。
最後のアンコール、武田と哲也。ショート・コントからこの「スタンド・バイ・ミーに贈る言葉」。2曲を挟み込んだもの。セットリストをこうして振り返ると、ライヴの模様がよみがえる。
最後の最後は、「可愛いいひとよ」。ここにブラザー・コーン、そして、木梨憲武が登場で大いに沸く。このオリジナルを歌ったニック岡井、そして、ニックとともにカヴァーしたドン勝本は昨年相次いで亡くなった。最後にマーチンとブラザー・コーンが、「ニック岡井さん、ドン勝本さんをリスペクトし、この曲をずっと歌い続けていきたい。そして、ニックさんの踊った足跡が作品となったフット・ペインティングが入り口に飾られています」とアナウンスしてくれた。アリーナの観客は入口と出口の動線が、横の出入口だったために、正面玄関前を通らなかったので、ひょっとしてごらんになっていない方もいらしたかもしれない。だが1階席、2階席の方は、帰り際、作品の前で足を止め、携帯で写真を撮っていた。ブラザー・コーン、マーチンもこの作品の前で写真を撮影してくれた。
この岡作品『アフター・ザ・ダンス』を見て、ニックさんのことを思い出した、という方もいた。そして、黒沢さんは打ち上げの席で声を枯らしながら、「いやあ、ミラーボールの上で絶対ニックさん、(ライヴを)見てたよ、見てたよ」と言ってくれた。今回は4点を飾らせていただいたが、20数点を展示する展示会が10月16日から新宿ビームス・ギャラリーで始まる。ニックやそのダンスに興味のある方はぜひおいでください。個人的にはニックにとっていい供養になったと思う。
3年間、続いている『ソウル・パワー』。毎回、前回よりも長くなり、盛りだくさんになってきている。そして、内容も充実、密度も濃い。新人の挟み込み方もいい。あとは、いかにこのイヴェントに「ソウルの意味づけ」ができるかだけだろう。例えば、今年でいえば、ゴスペラッツが「エイント・ノー・ウーマン」、ゴスペラーズが「ベッチャバイ・ゴーリー・ワウ」、スクープが「ホワッツ・ゴーイング・オン」、伊藤由奈が「アイム・エヴリ・ウーマン」を歌ったりといったポイントが今後どれだけ演出できるかということだ。いろいろなアーティストがこの『ソウル・パワー』に出たい、あるいは出てソウル・クラシックを歌ってみたい、と思うようになれば、そのとき『ソウル・パワー』が真の意味で一人歩きを始めるだろう。来年も楽しみだ。
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(2008年9月20日土曜、国立代々木競技場第一体育館=ソウル・パワー・サミット2008)
(2008年9月21日日曜、国立代々木競技場第一体育館=ソウル・パワー・サミット2008)
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