●黒沢薫ライヴ~ヴァーサタイルなソング・スタイリストを目指す

●Kurosawa Kaoru “Sweet Chili” : From Gene Kelly To R.Kelly

【黒沢薫ライヴ~ヴァーサタイルなソング・スタイリストを目指す】
歌好き。
約1年ぶりの黒沢薫ソロ・ライヴ。今回は、会場を六本木スイート・ベイジルに移して2日計4回公演、すべてソールドアウト。会場入口あたりから、ずいぶんとカレーの香りがするなと思ったら、限定60食で黒沢さんのレシピによるカレーを出していた。運良くそのカレーにありつけ、食べたのだが、最後ライスがなくなりカレーが若干残った。なんでだ。でもカレーおいしかった。
BGMでフランク・シナトラが静かに流れている。まもなく、暗転し、バンドがでてきてイントロへ。そして、「ウィンディー・ラヴ」さらにメドレーで「あまく危険な香り」。前回もこの流れで始まったが、ここのメドレーは実にいい流れを作る。そして、今回は、昨年の雨を思い、「レイニー・デイズ・メモリー」と題して、雨ソングをメドレーで。そのトップは、ジーン・ケリー、フランク・シナトラでおなじみの「雨に唄えば」。
黒沢さんは、このところすごくよくフランク・シナトラを聴いていて、かなり勉強したそうだ。そして、フランク・シナトラ、マーヴィン・ゲイ、ダニー・ハサウェイ、スティーヴィーのように、ソウルもポップもあらゆるタイプの歌を歌えるヴァーサタイル(多様性のある)なソング・スタイリストを目指したい、という。そこでライヴが始まる前のBGMはフランク・シナトラにしたそうだ。
「雨メドレー」は、ピアノの松本圭司さんと2人だけ。「イン・ザ・レイン」をピアノ1本のバックで歌うとは驚いた。この2人のアコースティック・セットも味わい深い。「はじまりはいつも雨」が歌われて、僕はこの曲を知らなかったので、隣の松尾潔さんに尋ねると、「これは、チャゲアスの飛鳥さんのソロで、けっこう大ヒットです」と教えてくれた。「ほんと、邦楽、ご存知ないんですねえ」と呆れられ、続く曲で「ちなみに、これは黒沢さんのソロで、僕が作詞してるんです」との解説が。勉強になるなあ。やはりライヴは松尾先生と見ないと。
そして、続いてはディズニーから2曲。「ホール・ニュー・ワールド」は、なんとこの日のスペシャル・サプライズ、平原綾香さん。前日は、ベース下野さんがプロデュースしているナオ・ウェストがデュエットを披露したという。平原さんは声が実に低く、一方、黒沢さんの声がハイヴォイスなので、普通の男女デュエットと逆なので、ものすごく新鮮だった。彼女はアンコールでもういちどマーヴィン&タミーのデュエットを歌ったが、こちらはさらにソウルフルになり、彼女がソウルのカヴァー・アルバムを作ったら、かなり強力なものが出来るのではないかと思った。黒沢&平原デュエット作品は、いずれ何かの形でCD化するといいと思う。
「電話のむこう」のところで衣装チェンジ、白のスーツから、皮ジャケ&ジーンズに。そして、Rケリーとジョーという稀代のエロエロ・ソウル・シンガーをカヴァー。ここで、腰をぐりぐり動かすバンピン・グラインドを披露するが、なぜか観客の反応が静かだった。全体的にこの回は観客が静かだったように感じた。R&B系のライヴだったら、ここでやんやの喝采、歓声が巻き起こるところなのだが。さらに、ジャケットを脱ぎ、白のタンクトップだけになり、それをはだけさせるのだが、なんと体にキラキラ・ラメが!! もう思い切って、タンクトップ、どうせなら、破いてしまえばいいのに、と思って、ライヴ後そう言ったら、「破いちゃったら、もったいないじゃないですか(笑)」と笑って返された。ジョーの「オール・ザ・シング」で、観客から花が続々とステージの彼の元に手渡されたが、「吉岡せんせいのブログの影響でしょうか」と言ったのだが、そう言われて、前回そんなことを書いたことを思い出した。(笑)
アンコール最後「遠い約束」の途中では、マイクを離し、オフマイクでワンフレーズ歌う。小さな会場に彼の生声が響く。途中のMCで「この前、サム・ムーアのライヴを見たんですけど、彼は72歳なんですね。でも、全盛期のときより声が出てるんじゃないかと思うほど、現役なんですよ。僕も70歳になっても歌っていたいと思っています」と70歳まで歌い続ける宣言。
同行松尾潔さん「黒沢さん、ほんとに歌歌うのが好きって感じですよね」。「そうそう、ほんとほんと。カラオケ行っても、マイク離さないもんね(笑)」と僕。黒沢さん「今回(3回目)で、なんとなく自分がソロとしてやりたいことが見えてきた。もちろん、グループでやることが前提にあって、ソロとして来年かあるいは次回やるときはもう少し回数を増やし、地方にも回りたい」と抱負を語ってくれた。彼はどこでも歌うし、どこでも飛び入りするし、本当に歌好き、歌うことが好きなんだなあ、とつくづく思う。
■前回過去記事
September 07, 2007
Kurosawa Kaoru: You Are In The Circle Of Destiny
https://www.soulsearchin.com/soul-diary/archive/200709/2007_09_07.html
April 06, 2006
Kurosawa Kaoru Live “Love Unlimited”
http://blog.soulsearchin.com/archives/000934.html
March 24, 2006
Kurosawa Kaoru Solo Live; Knowing Main Ingredients Of Group
http://blog.soulsearchin.com/archives/2006_03_24.html
■ メンバー
黒沢薫 (Vocal)
松本圭司(Key.Pf, Musical Director)下野人司(B)福原将宣(Gt)田中栄二(Ds) Kazco(Cho)maru(Cho)富永祐輔(Cho)
平原綾香 (スペシャル・ゲスト)
■セットリスト 黒沢薫 スイート・ベイジル139
Setlist : Kurosawa Kaoru @ Sweet Basil 139, September 15, 2008
[ ] indicates original artist
show started 19:30
00. Opening Theme
01. Windy Love ~ あまく危険な香り[山下達郎]
02. 雨ソングメドレー (Rainy Days Memories)
Singing In The Rain [Gene Kelly, Frank Sinatra] ~
Raindrops Keep Fallin’ On My Head [B.J.Thomas] ~
In The Rain [Dramatics] ~
Umbrella ~
はじまりはいつも雨 [飛鳥]~
After The Rain
03. So Close [Disney Movie “Enchanted 魔法にかけられて”]
04. A Whole New World ( Aladdin’s Theme) [Disney, Peabo Bryson &Regina Belle] (with 平原絢香)
05. 電話のむこう ~
Bump N’ Grind [R. Kelly] ~
All The Things (Your Man Won’t Do) [Joe]~
流星
06. Groovin’ ~ Happy People [R.Kelly]~ Groovin’
07. アンジュナ
Enc. Your Precious Love (with 平原絢香)[Marvin Gaye & Tammi Terrell]
Enc. 遠い約束
show ended 22:00
(2008年9月15日月曜、六本木スイート・ベイジル139=黒沢薫ライヴ)
ENT>MUSIC>LIVE>Kurosawa, Kaoru
2008-157
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