▽3人のスター・ベース・プレイヤーが集結

▽S.M.V.: Stands For Stanley, Marcus, Victor

【3人のスター・ベース・プレイヤーが集結】
三者三様。
しかし、誰が一体こんなことを考えたんだろう。稀代のスーパー・ベース奏者を3人も集めてCDを作って、ひとつのステージに立たせる、なんて。みな、それぞれでソロ・パフォーマンスができ、しかもそれなりの集客も可能なアーティストたちばかりが一堂に会する。しかも、その楽器がベースである。ギターやキーボードではない。
と思って調べてみるとこんなことがわかった。2007年10月、ニューヨークで「ベース・マガジン」主催のイヴェントでヴェテラン、スタンリー・クラークを表彰することになり、そのとき、3人がワンタイム・パフォーマンスを900人の観客の前で見せた。するとそのときの観客の反応が圧倒的で、また、3人自身も素晴らしい手ごたえを感じたので、2008年1月、3人でスタジオに入り、アルバムを録音。それが8月にリリースされ、アルバムをサポートする意味でツアーに出た、というわけだ。
一体、3人のベースが同時に鳴ったらどうなるのだろうか。音の区別はできるのか。まったく見当もつかずライヴを見た。ステージ下手(舞台向かって左)から、スタンリー・クラーク(1951年6月30日生まれ)、マーカス・ミラー(1959年6月14日生まれ)、ヴィクター・ウーテン(1964年9月11日生まれ)の3人が立ち、後ろにドラムスとキーボードがいる。
一言で言えば、3人がそれぞれ弾いたり、2人で弾きバトルを繰り広げたり、3人バトル、インタープレイをしたり、という感じだ。三者三様のプレイを目の前で繰り広げ、それがしっかりと見られるところがおもしろい。各人の曲がプレイされるが、それを他の2人がそれなりの味付けでプレイしたりする。
おもしろかったのは、4曲目マーカス作品「ツツ」のところ。マーカスがベースからクラリネットになり、そのとき、最初ヴィクターが中心になってベースを弾き、次にスタンリーがベースを弾いた。そのスタンリーは、「ミラノ」ではアコースティック・ベースを存分に叩いた。
3人とも指を弦に当てて演奏するチョッパー奏法でバチバチやることも多いのだが、一方でベースをギターのように使い、メロディアスなメロディーも弾いてしまうところもおもしろい。いつの間にか、そのベースプレイに集中してしまっていた。やはり、演奏家が超一流だからなのだろう。見惚れてしまう、というか。難しいことをやっているのに、そうは見せない、そのあたりがプロたるゆえん。そして、各曲で、相当各人に「自由なスペース」が与えられているような気もした。これだけスペースがあれば、3人とも、そして、キーボードもドラムスも、みな思い切りエンジョイしてプレイできるにちがいない。
基本は、彼ら3人が出したアルバム『Thunder』収録の曲が中心。こういうのを観ていると、まさに音楽はバトルだ、と思う。観客は圧倒的に30代から40代と思われる男性が多く、男女比は9:1くらいではないだろうか。みな、ベースをたしなむ、もしくは、この種の音楽が好きな人たちが多いような感じがした。そう、彼らが演奏しているとき、テーブルの下で指でチョッパーをやるかのように、エア・ベースをみんながしているように思えた。
三人でサイン会メモ
■ アルバム S.M.V.『サンダー』
サンダー
サンダー

posted with amazlet at 08.09.13
S.M.V.
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■メンバー
スタンリー・クラーク/Stanley Clarke(Bass)
マーカス・ミラー/Marcus Miller(Bass)
ヴィクター・ウッテン/Victor Wooten(Bass)
フェデリコ・ゴンザレス・ペナ/Federico Gonzalez Pena(Keyboards)
デリコ・ワトソン/Derico Watson(Drums)
■セットリスト SMV 
Setlist : SMV (Stanley, Marcus, Victor) @Billboard Live, September10,2008
LOS MAESTROS DE LAS FRECUENCIAS BAJAS
show started 21:31
01. Los Maestros De Las Frecuencias Bajas
02. Thunder
03. Mongoose Walk (Victor)
04. Tutu (A riff of "When I Fall In Love") (Marcus)
05. Milano (Stanley)
06. Grits
Enc. School Days
show ended 22:53
(2008年9月10日水曜、ビルボード・ライヴ・東京=SMVライヴ)
ENT>MUSIC>LIVE>SMV
2008-153
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