Just Hit The Stage! Michael!

ステージ。

2万人の大観衆のステージにクリス・タッカーが登場しました。登場するなり、セリフもしゃべらずに、アクションで、マイケル・ジャクソンの真似をします。観客はやんやの喝采。そして、例によってまくしたてます。「実はこの前、マイケル・ジャクソンから電話がかかってきたんだ。オレは電話に出た。オレは聞いた。『誰だい?』 すると(か細いマイケルの真似をして)『クリス、マイケル・ジャクソンだけど、君に一言言いたいんだよ』、オレは尋ねた。『何だい?』、マイケルが言った。『「ラッシュ・アワー2」を見たんだけど、君のステップが間違ってるんだよ』」 そして観客、大爆笑。

これは、2001年9月にニューヨーク・マジソン・スクエア・ガーデンで行われたマイケル・ジャクソン活動30周年イヴェントにおけるワンシーンです。このライヴは、大変な数のアーティストがマイケルにトリビュートしたものです。登場したアーティストも、グラディス・ナイト、ホイットニー・ヒューストン、ディオンヌ・ワーウィック、デスティニー・チャイルド、ミッシー・エリオット、マーク・アンソニー、98°&ルーサー・ヴァンドロスなどなど錚々(そうそう)たるものです。

そして、最大のハイライトはジャクソンズ(ジャーメインとランディー・ジャクソンを含む)の再結成です。「アイ・ウォント・ユー・バック」「アイル・ビー・ゼア」「シェイク・ユア・ボディ」などなど。84年の『ヴィクトリー・ツアー』を思わせる大復活です。

やっぱり、マイケルはゴシップでテレビに出るより、ステージで所狭しと歌い、踊っている姿が本当に一番です。no more gossip, just hit the stage! (ゴシップはいらない! ただ、ステージに上がってくれ!)という感じですね。

2001年9月の7日と10日に行われたのですが、日本では残念ながらテレビ放送されませんでした。僕はエアチェックのビデオを見ることができました。2度目のショウは9月10日でした。そう、その翌日あの9月11日の事件が起こるのです。もし、あの事件が先に起こっていたら、このイヴェントは間違いなく中止になったでしょう。9月10日の夜、ガーデンに集まった2万人は疑うことなく最高に幸せを感じて帰路についたことに違いありません。

しかし、夜が明けて11日の朝、前日最高の幸せを感じていたニューヨーカーたちは、最悪の悲しみに打ちひしがれるわけです。アース・ウィンド&ファイアーの歌声が聞こえてきそうです。”That’s The Way Of The World…” 世界とは、そんなものなのでしょうか。それにしてもこの2時間余にわたるエンタテイナーたちのパフォーマンスはものすごいものでした。そして、マイケルの人生はステージの上にこそある、ということを改めて確認したわけです。

(2001年9月7日、10日、ニューヨーク・マジソン・スクエア・ガーデン、ビデオで)

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