▼Bobby McFerrin Said I Have Imperfect Pitch
【指揮者ボビー・マクファーリン~音の魔術師は健在】
500兆回。
前回僕が彼のライヴを見たのが2004年2月なので、ほぼ4年ぶり。初来日が1990年だったからもう18年も前のこと。毎回、彼のステージには度肝を抜かされる。今回はフルオーケストラの指揮者だ。おそれいった。
彼の指揮ぶりが、おもしろい。第一楽章が終わって客が拍手をしそうになると、振り向いて、手で「まだ拍手はしないで」と押さえる。時に、指揮棒を振らずに、あごに手をやりながら、演奏者たちを見ている。
モーツァルトをやった後、彼がひとりになり、いわゆるヴォイス・パフォーマンス。ほとんど即興で、彼の口と手だけで音を生みだす。毎度のことながら、圧倒的だ。4曲目にスタンダードの「スマイル」をやった。複数の音が出ているように聴こえる。口はひとつなのに。まさに音の魔術師ぶりは健在だ。
観客の取り込み方も実にうまい。3-4の音を教え、その音を観客に歌わせる。観客が出した音にあわせて、スキャットでメロディーを作って歌う。観客がいつのまにかヴォイセストラ、伴奏をつけているのだ。
圧巻は「アヴェ・マリア」。彼がリズムのぱぱぱぱぱぱ~というところを繰り返し、観客が「アヴェ・マリア」の主旋律を歌う。観客がちゃんとそれを歌詞付きで歌ったから驚いた。最初の一・二行ならなんとかわかるかもしれないが、けっこう最後までみんな歌った。クラシックを聴く人は「アヴェ・マリア」のメロディーなど、歌えて当然なのだろうか。すごい。主旋律が観客で、ボビーはその装飾リズムを歌うのだ。会場がひとつになって「アヴェ・マリア」を紡ぐ。感動的で涙がでそうになった。歌を覚えていき、歌ったあなたがシンガーなら、バイオグラフィーに「ボビーと共演」と書ける。
本編が終わり、4回ほど拍手に迎えられて登場。最後は、通訳を伴って、観客に「僕に何か聞きたいことがあったら、何でもきいてくれ」と言って質疑応答になった。こんなこと、ありか。(笑) 帰り始めた観客が戻ってきた。ユーモアあふれる、ジョークを交えた質疑応答になった。
「あなたの声は何オクターヴ?」 ボビーが低い音から高い音まで歌ってみせ、「うん、4(オクターヴ)だな」(笑)
「ステージ前、声のウォームアップはどうしてるんですか」 「僕は一日中歌っているから、ウォームアップは必要ないんだ」(笑)
「楽団員には、どのように接しましたか」 「リラックスするように言ったよ」
「なぜ、あなたは今日『ドント・ウォーリー、ビー・ハッピー』を歌わなかったんですか」「いや、あの曲は1988年の11月以来やってないんだ。大ヒットするまでに、僕はその曲を500兆回やったからね、もうやらないんだ。それをやると、留まっている感じだろう。僕はもっと前に進みたいんだ」 500トリリオンと言ったのだ。そう彼が言った瞬間、僕は数字がわからなくなった。(笑) もっとも1988年11月以来やっていないというの彼特有のジョークだが…。
僕も質問した。「あなたは、絶対音感をお持ちですか」「僕は不完全音感だよ(I have imperfect pitch)」と彼は答えた。普通、絶対音感に対しては、それがない場合、反対語の「相対音感(リレイティヴ・ピッチ)」と答える。そこをインパーフェクト(不完全な)という言葉を選ぶあたりが、ボビーらしい。
●ライヴは、今日1月23日(水)もすみだトリフォニー・ホールであります。座席は余裕であります。(苦笑)
■ 過去関連記事
2004/02/04 (Wed)
Bobby McFerrin Live: The Master Of Voice
https://www.soulsearchin.com/soul-diary/archive/200402/diary20040204.html
2004年、ボビーのソロライヴ
■ セットリスト ボビー・マクファーリン
The Art Of Bobby McFerrin Super Orchestra Concert
Setlist : Bobby McFerrin @ Sumida Triphony Hall, January 22, 2008
ジョセフ・リン (ヴァイオリン)
新日本フィルハーモニー交響楽団
First set
Show started 19:04
01. レオナード・バーンスタイン 『キャンディード』序曲 Leonard Bernstein: “Candide” Overture
02. ウォルフガング・アマデウス・モーツァルト 『ヴァイオリン協奏曲第5番 イ長調 K.219 「トルコ風」 Wolfgang Amadeus Mozart : Concerto For Violin and Orchestra No.5 in A Major K.219
第一楽章 快速に、明瞭にーゆるやかにー快速に、はっきりと I. Allegro aperto ; Adagio ; Allegro aperto
第二楽章 ゆるやかに II. Adagio
第三楽章 ロンド/メヌエットのテンポでー快速にーメヌエットのテンポで III. Rondeau: Tempo di menuetto ; Allegro ; Tempo di menuetto
* カデンツァ(ソロの即興)はジョセフ・リンによるもの
03. ヴォイス・パフォーマンス Voice Performance
–01. Improvisation #1
–02. Improvisation #2
–03. Improvisation #3
–04. Smile
–05. Blackbird
–06. Improvisation #4
–07. Ave Maria
Performance ended 20:15
-break-
Second set
Performance started 20:35
04. フェリックス・メンデルスゾーン・バルトルディ 交響曲第4番 イ長調「イタリア」 Felix Mendelssohn Bartholdy : Symphony No.4 in A Major, “Italian”
第一楽章 快速に、生き生きと I. Allegro vivace
第二楽章 歩くような速さで、動きをもって II. Andante con moto
第三楽章 動きをもって中庸の速さで III. Con moto moderato
第四楽章 サルタレロ/極めて速く IV. Saltarello : Presto
Enc.1.
Enc.2.
Enc.3 ベートーベン 第9第二楽章(ほんのイントロ)
Enc.4 Question And Answers
Show ended 21:26
(2008年1月22日火曜、墨田トリフォニーホール=ボビー・マクファーリン・ライヴ、スーパー・オーケストラ・コンサート)
ENT>MUSIC>LIVE>McFerrin, Bobby with New Japan Philharmonic Orchestra
2008-7
500兆回。
前回僕が彼のライヴを見たのが2004年2月なので、ほぼ4年ぶり。初来日が1990年だったからもう18年も前のこと。毎回、彼のステージには度肝を抜かされる。今回はフルオーケストラの指揮者だ。おそれいった。
彼の指揮ぶりが、おもしろい。第一楽章が終わって客が拍手をしそうになると、振り向いて、手で「まだ拍手はしないで」と押さえる。時に、指揮棒を振らずに、あごに手をやりながら、演奏者たちを見ている。
モーツァルトをやった後、彼がひとりになり、いわゆるヴォイス・パフォーマンス。ほとんど即興で、彼の口と手だけで音を生みだす。毎度のことながら、圧倒的だ。4曲目にスタンダードの「スマイル」をやった。複数の音が出ているように聴こえる。口はひとつなのに。まさに音の魔術師ぶりは健在だ。
観客の取り込み方も実にうまい。3-4の音を教え、その音を観客に歌わせる。観客が出した音にあわせて、スキャットでメロディーを作って歌う。観客がいつのまにかヴォイセストラ、伴奏をつけているのだ。
圧巻は「アヴェ・マリア」。彼がリズムのぱぱぱぱぱぱ~というところを繰り返し、観客が「アヴェ・マリア」の主旋律を歌う。観客がちゃんとそれを歌詞付きで歌ったから驚いた。最初の一・二行ならなんとかわかるかもしれないが、けっこう最後までみんな歌った。クラシックを聴く人は「アヴェ・マリア」のメロディーなど、歌えて当然なのだろうか。すごい。主旋律が観客で、ボビーはその装飾リズムを歌うのだ。会場がひとつになって「アヴェ・マリア」を紡ぐ。感動的で涙がでそうになった。歌を覚えていき、歌ったあなたがシンガーなら、バイオグラフィーに「ボビーと共演」と書ける。
本編が終わり、4回ほど拍手に迎えられて登場。最後は、通訳を伴って、観客に「僕に何か聞きたいことがあったら、何でもきいてくれ」と言って質疑応答になった。こんなこと、ありか。(笑) 帰り始めた観客が戻ってきた。ユーモアあふれる、ジョークを交えた質疑応答になった。
「あなたの声は何オクターヴ?」 ボビーが低い音から高い音まで歌ってみせ、「うん、4(オクターヴ)だな」(笑)
「ステージ前、声のウォームアップはどうしてるんですか」 「僕は一日中歌っているから、ウォームアップは必要ないんだ」(笑)
「楽団員には、どのように接しましたか」 「リラックスするように言ったよ」
「なぜ、あなたは今日『ドント・ウォーリー、ビー・ハッピー』を歌わなかったんですか」「いや、あの曲は1988年の11月以来やってないんだ。大ヒットするまでに、僕はその曲を500兆回やったからね、もうやらないんだ。それをやると、留まっている感じだろう。僕はもっと前に進みたいんだ」 500トリリオンと言ったのだ。そう彼が言った瞬間、僕は数字がわからなくなった。(笑) もっとも1988年11月以来やっていないというの彼特有のジョークだが…。
僕も質問した。「あなたは、絶対音感をお持ちですか」「僕は不完全音感だよ(I have imperfect pitch)」と彼は答えた。普通、絶対音感に対しては、それがない場合、反対語の「相対音感(リレイティヴ・ピッチ)」と答える。そこをインパーフェクト(不完全な)という言葉を選ぶあたりが、ボビーらしい。
●ライヴは、今日1月23日(水)もすみだトリフォニー・ホールであります。座席は余裕であります。(苦笑)
■ 過去関連記事
2004/02/04 (Wed)
Bobby McFerrin Live: The Master Of Voice
https://www.soulsearchin.com/soul-diary/archive/200402/diary20040204.html
2004年、ボビーのソロライヴ
■ セットリスト ボビー・マクファーリン
The Art Of Bobby McFerrin Super Orchestra Concert
Setlist : Bobby McFerrin @ Sumida Triphony Hall, January 22, 2008
ジョセフ・リン (ヴァイオリン)
新日本フィルハーモニー交響楽団
First set
Show started 19:04
01. レオナード・バーンスタイン 『キャンディード』序曲 Leonard Bernstein: “Candide” Overture
02. ウォルフガング・アマデウス・モーツァルト 『ヴァイオリン協奏曲第5番 イ長調 K.219 「トルコ風」 Wolfgang Amadeus Mozart : Concerto For Violin and Orchestra No.5 in A Major K.219
第一楽章 快速に、明瞭にーゆるやかにー快速に、はっきりと I. Allegro aperto ; Adagio ; Allegro aperto
第二楽章 ゆるやかに II. Adagio
第三楽章 ロンド/メヌエットのテンポでー快速にーメヌエットのテンポで III. Rondeau: Tempo di menuetto ; Allegro ; Tempo di menuetto
* カデンツァ(ソロの即興)はジョセフ・リンによるもの
03. ヴォイス・パフォーマンス Voice Performance
–01. Improvisation #1
–02. Improvisation #2
–03. Improvisation #3
–04. Smile
–05. Blackbird
–06. Improvisation #4
–07. Ave Maria
Performance ended 20:15
-break-
Second set
Performance started 20:35
04. フェリックス・メンデルスゾーン・バルトルディ 交響曲第4番 イ長調「イタリア」 Felix Mendelssohn Bartholdy : Symphony No.4 in A Major, “Italian”
第一楽章 快速に、生き生きと I. Allegro vivace
第二楽章 歩くような速さで、動きをもって II. Andante con moto
第三楽章 動きをもって中庸の速さで III. Con moto moderato
第四楽章 サルタレロ/極めて速く IV. Saltarello : Presto
Enc.1.
Enc.2.
Enc.3 ベートーベン 第9第二楽章(ほんのイントロ)
Enc.4 Question And Answers
Show ended 21:26
(2008年1月22日火曜、墨田トリフォニーホール=ボビー・マクファーリン・ライヴ、スーパー・オーケストラ・コンサート)
ENT>MUSIC>LIVE>McFerrin, Bobby with New Japan Philharmonic Orchestra
2008-7