ダバダ。
回る、回る、頭の中を、止めどもなく回る。アップテンポの「ダバダ・・・」の響き。スキャットマン・ジョン風のノヴェルティー・ソング「ミスター・ダバダ」をヒットさせているのが、スペイン生まれのカルロス・ジーン。「バダバ、ダバダバ、ダバダバ・・・」 一度聞いたら、決して忘れません。超強烈な、いつのまにか口ずさんでしまいそうな、この夏に大ヒット間違いない一曲です。
そのカルロス・ジーンのショーケース・ライヴが24日(土曜日)、東京・青山のレストラン「カイ」で行われました。ほんの40分程度でしたが、バンドを従えてのもの。しかも、オープニングは、かなり凝ってました。
彼のファーストアルバム(日本未発)で、宇宙に行ったらしいのですが、このセカンド(本邦デビュー作=『ミスター・ダバダ』=原題バック・トゥ・ジ・アース)では、地球に戻ってくるわけです。そこで、宇宙服のようなものを着たメンバーがステージに登場して、大爆音とともにライヴが始まるという演出です。
ちょっと大げさに言えば、その昔のアース・ウィンド&ファイアーの演出にも似たものを感じました。もちろんアースほどおおがかりではありませんが。ドラム、ギター、ベースなどが刻むリズムは、すっきりしたファンク系の音。ま、言ってみれば、これが新しい「スパニッシュ・ファンク」ってところでしょうか。あるいは「ユーロディスコ・ファンク」かな。現地では昨年大ヒット、若干、テクノ系のようにも捉えられているようですが、ライヴバンドを見ると、ポップなファンク系の比重が強いように思えます。
そして、スキャットマン・ジョンなどに通じるめちゃくちゃ明るさがあって、ポップ、わかりやすくて、理屈抜き、それが最大の魅力です。ダバダのリズムは、誰でも踊れます。彼らがファンク、あるいは、ダンス・ミュージックへアプローチする方法は、ちょうど日本人やイギリス人がそうする方法と似ています。だから、日本人ミュージシャンもこれくらいできるだろう、と思えてきます。そういう意味ではゆるいファンクかな。
「オーラ・サンバ」は、サンタナのヒット「オエコモバ」をフィーチャーしてやっていました。この日ライヴではやりませんでしたが、CDでは「カンフー・ファイティング」をカヴァーしています。
ライヴが一通り終わり、カルロスがステージに戻ってきました。司会者のケイ・グラントさんといくつかの一問一答。ライヴ前にケイさんが彼のプロフィールを紹介したときに、「カルロスは1973年の6月生まれで、来月30歳になります」と言うと、観客から「えええっ」という驚きの声が。これは一体どういう意味でしょう。(笑) つまり、あの風貌からすると、もっと年をとっているように思えたのでしょうか。ま、きっとそうなんでしょうね。
そして、「今度のアルバムは、いろいろな音楽的要素を取り入れた。だから、これを聞けば世界中を旅できる、そんなアルバムだ」と彼はスペイン語で説明しました。スペイン語、皆目わかりません。「影響を受けたのは、最初の頃はマドンナ、マイケル・ジャクソン、それからファットボーイ・スリム、ジャミロクワイ、エミネム、ミゲール・ホセ、ウィリアム・オービット・・・などなど」 うむ、アーティスト名のところだけ、聞き取れた。
打ち上げの席にやってきた彼に、「ムーチョグスト」(こんにちは)、「メ・アレグロ・デ・コノセルレ」(お会いできて光栄です)の二つの言葉を、レコード会社の人が持っていたスペイン語会話の本から覚えて、本人にお声がけしました。通じたのかねえ。(笑) もうひとつ覚えました、スペイン語。「サル~」(乾杯)
(2003年5月24日(土)東京青山レストランCAY)
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