兵(つわもの)。
名は体を表す。名は体を作る。名は体を生き長らえさせる。
超つわもの(兵)たちがひとつの空間に集まり、そこで才能を結集させ、ぶつけあう。そんなわくわくするような現場が、彼らソウル・サヴァイヴァーズのライヴだ。つわもの1、ギターのコーネル・デュプリー。つわもの2、ベースのチャック・レイニー、つわもの3、キーボードのレス・マッキャン、つわもの4、サックスのロニー・キューバ、そして、つわもの5はドラムスのリッキー・セバスチャン。彼ら5人が思い思いにジャムセッションを奏でる。5人の集合体の名前が、ソウル・サヴァイヴァーズという。
いずれもが、老練であり熟練。ソウル・サヴァイヴァーズは、料理好き、ジョギング好き、ジャズ好きのスペンサー探偵のお眼鏡にはかなうだろうか。
彼らがボビー・ヘブの大ヒット「サニー」を演奏すると、実にファンキーになる。彼らのパフォーマンスを聞いていると、東京のブルーノートがニューヨークの、もっと天井が低いタバコの煙が蔓延しているような小さなジャズ・クラブになったような気にさえなる。
キーボードのレス・マッキャンはかなりの巨漢だ。ステージを降りるのにもちょっと苦労している。だが、彼が2曲ほどその喉を聞かせた。ファンキーだ、これも。
アンコール前のラストソング「ウェイ・バック・ホーム」は、モータウンのサックス奏者、ジュニア・ウォーカー&オールスターズの代表的ヒット。これを吹いて、家に帰ろう、ということになるわけだ。
まさに、彼らのようなリアル・ミュージシャンがソウルをサヴァイヴ(生き長らえ)させているのだ。生き残った男たち、それが、サヴァイヴァー。
つわものとは、戦争に使う器具、武器をも意味する。そしてサヴァイヴァーたちのつわものは、楽器だ。
(5日東京ブルーノート)