泉。
今日の『山野ミュージック・ジャム』(インターFM76.1、午後1時半から)では、スティーヴィー・ワンダーのアルバム『トーキング・ブック』をご紹介します。「トーキング・ブック」ってなんだかわかりますか? これは、いわゆる目が不自由な人のために、内容を朗読したものが録音された本のことなんですね。
いわゆる「カセット・ブック」のようなものです。アメリカでは新刊本が出ると、たいがいその本のほとんどを朗読したテープが発売されます。目の不自由な人向けの、音で聞く本、というわけです。朗読本、とでもいいでしょうか。これを「トーキング・ブック」といいます。
現在は、カセット、もしくは、CDになっているようですが、昔は、ソノシートあるいはレコードだったようです。そして、70年代初期にはそのレコードも33と3分の1回転の半分の速度、16と3分の2の回転数だったそうです。それだけに収容時間が長くとれるわけですね。
スティーヴィーは71年に21歳になってから、自作曲をふんだんに作るようになりました。そして、次から次へと曲のアイデアがでてきて、どんどんそうしたものを録音するようになりました。ひたすら、アイデアが浮かび、録音し、曲をとりだめしていったわけです。
そこで、アルバムを出す時にはそうしたストックの中から何曲かを選ぶということになるわけですが、それでも、曲が泉のごとくわくので、彼はこれも、あれも、アルバムの中に入れたいと言い出すようになるのです。
そして、一緒にレコード作りをしていたマルコム・セシルとロバート・マーグゥレフの二人があるとき、スティーヴィーにこう言ってたしなめたそうです。「スティーヴィー、これはトーキング・ブックじゃないんだから」と。こうして出来あがったのが『トーキング・ブック』というわけです。
マルコムとロバートは、初期シンセサイザーの第一人者。71年の『ミュージック・オブ・マイ・マインド』から『キー・オブ・ライフ』ごろまで、ずっと一緒にレコード作りをしてきました。
そんな話を中心にお送りします。話すネタには困らないので、早口になってしまうかもしれません。気をつけないと。