教訓。
「おじいちゃんは僕にこう言ったんだ。いいか、太陽が朝昇るだろう。そして、太陽に真正面に向かう。太陽はさんさんと輝く。太陽の日をあびれば気持ちいい。だが、後ろを見てみるがいい。後ろには、黒い影がある。それは、人生と一緒なんだ。真正面を見れば、とてもいいことがあっても、後ろにはなんらかの黒いトラブルがある。いいことと悪いことはいつも一体になっているんだ。気をつけなきゃ、いかん。それでもな、嫌なことがあって落ち込んだとしてもだ。夜が終わり、また朝になれば昨日と同じように必ず太陽は上がってくる。昨日のトラブルなんかも、今日、朝、太陽が上がってくれば、どこかに飛んでいってしまう。そう教えてくれた。そんなメッセージを託したのが、『モーニング・サン』という曲なんだ」
こうしておじいちゃんの教訓をタイトルにしたのは、ブルーイことジャン・ポール・モニーク。そう、インコグニートのリーダーです。昨日1時間ほどじっくり話を聞いてきました。その曲はインコグニートの最新作『フー・ニーズ・ラヴ』に収録されている一曲です。
ブルーイは、モーリシャスの生まれだったんですね。モーリシャスってわかります? どこかの南の島だろうくらいしか知らなくて、よくわからなかったんで、調べました。インド洋の西側、アフリカ大陸のすぐ右側にある小さな小さな島です。東京都と同じくらいの広さしかありません。人口110万人。イギリスから68年に独立したそうです。
毎日、モーリシャスでは太陽が水平線から昇り、一年中暖かく、たとえ雨が降っても明るいそうです。そんな自然一杯のモーリシャスに生まれたブルーイはそこに10歳くらいまで住みますが、そのころ、そこに住むおじいちゃんからいろいろなことを教わりました。
そのうちのひとつが、冒頭の朝日の話です。
ブルーイはとても話しやすいフレンドリーな人でした。そして、なにより、彼もまたレコード・ジャンキーでした。たくさん話ができて、それでもまだまだぜんぜん話たりませんでした。彼もまた水道管の蛇口をひねったように60分間しゃべりつづけました。
たくさんいい話が聞けたので、いずれ、まとめたいと思います。インタヴュー記事としては、毎日新聞に近いうちに書く予定です。